理由
スカイは、先ほどから続く
ミカエルの素早く重たい蹴りの回避を諦め
腕で、ガードする
(くそ、間に合わねえ
受けたくないな、ミカエルさんの蹴りは
くそ重いし、やべえ痺れてきたぜ)
スカイはミカエルの重い一撃をガードし
腕の痛みに耐えて姿勢を低くして両足で踏ん張ると
スカイは、意をけして床を素早く蹴り、ミカエルの側面へと向う
正面からではなく、比較的ガードが緩い横から短剣を突きます
ミカエルは、スカイが短剣を握る左の手首を
捻り上げると、ガラ空きのわき腹へと
腰を入れた、素早く重い蹴り放つ
スカイは、避けることが出来ず
蹴りを横腹にうけ、体が一瞬硬直した瞬間を
ミカエルは、見逃さずに
スカイの正面に回り込み、ガードがガラ空きになった
スカイのボディに、同じ箇所に的確に
拳を、鋭く捩じる様に数発叩きこみ
完全に体勢が崩れたスカイに、さらに頭突きを食らわす
意識が朦朧として、ダウンしようとする
スカイの腕を掴み、壁側に投げ飛ばす
(頭は、カバーしなきゃ不味い)
スカイは、手をつき受け身をとりますが背中を強く打ちつけ
苦悶の表情を浮かべる
直ぐに立ちあがり、構えるが
腹部の激痛にみまわれ、その場に足を付き倒れ込み蹲る
(息が出来ん、呼吸が止まったよ一瞬マジで
うお、痛みが遅れて襲ってきた
もう、無理立てない)
スカイを投げ飛ばした、ミカエルは乱れて視界に入り邪魔な前髪を
手でかきあげる
スカイにゆっくりと歩み寄り、笑顔を浮かべて手を差し出した
スカイは、ミカエルの手を掴み
足取りが怪しいが
何とか立ちあがる
「よく立ったな、スカイ
今日は終わりにしてやろうか?」
ほっとした表情を浮かべて
スカイは頭を下げた
「有難うございます、ミカエルさん」
力が抜け、その場に倒れるように座り込んだ
ミカエルも、スカイに視線を合わせるように
その場に、腰を落ろす
「まあ~良くやったよスカイはさあ
俺は、普段はお子様に教えてるからよ
やっぱり、教えを請う目上に対しては敬意を払うべきだと思うべきよ
その点、お前は合格だよ
お前、攻撃魔法バンバン使いたんだっけ?」
スカイが、期待を込めた表情で顔を上げる
「教えてくれるんですか?、ミカエルさん」
「お前もう使ってるからよ、
好きな時に撃てよ、魔力の放出が出来てるんだから
そのまま撃ってもよいし、形や形状を変えれば良いだけだから
スタンダードの奴はよ」
「こう火が出たり、氷は出ないんですか」
「もちろん出来るが、まだお前には無理かな?
魔力を放出して操作するだけじゃなく、術式を正確に理解し
構成し発動しなきゃ出来ん」
「大変そうですね」
「良いじゃないか、歯ごたえがあってな
よし早速行くか、図書館
魔道書読みに行くぞ、時間は限られてるんだぞ
来い」
(マジですか?うりゃ~)
スカイは、気合いを入れて立ちあがる
そして、先を歩いて先導するミカエルの
後ろを疲れた体を引きずりながら
付いていく
学院内にある、外観が茶色で四階建ての図書館に入る
ミカエルが、閲覧許可の申請をしている姿をボッ~と見ていた
スカイは、館内を見渡す
今は、放課後の時間なのですが学院の生徒の姿は
疎らだ
ミカエルの手続きが終わり、二階へと階段を上り
ミカエルは、適当に近くにある魔道書を本棚から
取り出し、スカイが座る机に山の様に積み上げていく
「有難うございます、ミカエルさん」
(ミカエルさん、積み過ぎですよ
倒れるってマジで)
「まあ、適当に読んでみな
適性があれば、魔道書が読めるはずだ
ないと、読めんよ不思議だな~」
スカイは、適当に一番上の魔道書を手に取り
読み始める
(読めるから、適性は有るのか~
ドラゴンブレスか~ドラゴンのブレスを参考にして
考案された、ミドルクラスの攻撃魔法ね~
全体攻撃って感じか、足止め様に、使ってみるか
威力を出すには、まだ慣れてないしな
とにかく使ってみないと何ともいえないしな)
スカイが、熱心に読んでいた魔道書を
ミカエルは横から覗きこむ
「スカイ、それはミラさんが考案した魔法だ
そう言えば、俺が一階で申請書を書いている時
スカイは学院の女性徒を見つめていたな
ムッツリめ」
(なんか、変な方向に勘違いしてるなミカエルさん)
スカイは、読んでいた魔道書から視線を外す
「誤解ですよ、ミカエルさん
特に意味は無いですよ」
「そう言えば、スカイは今ミラさんとルナと
一緒に住んでいるんだろう、大変だな
いろいろと男して」
「いえ、この世界に来た日だけ泊まっただけでしたし
自分の事で、精一杯でしたし
特には」
「因みに俺のタイプは、知的スレンダー美人のミラさんも良いが
勿論お誘いが有れば、男として女性に恥はかかせない
いや寧ろ望むところだが、そうそれが男いや紳士の努めだ
でもやっぱり、ルナだなスタイルも良いし、程よく世間慣れしてないから
可愛らしいからな、彼女になら一晩中腰を振り続けられるな」
「ミカエルさん、表現が露骨すぎますし
何で?真剣に熱く僕に語ってるんですか」
(顔近いですよ。ミカエルさん暑苦しいこの人)
「スカイ俺は、何事も何時も真剣だぞ
学生に対しては、お客様として誠心誠意丁寧に対応してるし
スカイに対しても、短い期間で出来るだけ成長してくれる様に
応援してるから、俺を信じて一緒に突き進もう
という訳で、魔道書読み終えたみたいだな
早速実戦で、効果を確かめに行くぞ」
ミカエルは、魔道書を返却棚に置き
スカイの返事も待たずに、階段を下りて行く
スカイが、ミカエルの後を走って追いかる
図書館を出て、暫く歩き確りと周りが外壁で囲まれている
闘技場へと、スカイは足を踏み入れた
ミカエルは、準備は出来た様子でたたずむ
「スカイぶっ放せよ、魔法を
初見だと、魔法は特に効果的だからな
予見が出来ないから、対処のしようがない
しかし当たらないと意味が無い、
避けられない状況を作るべきだな
超至近距離とか、疲労して動けない相手とか
実力差が在り、必ず倒せる状況なら直ぐぶっ放せよ」
スカイは、頷く
(よし、行くぞやってみせる)
スカイは、魔力を素早く両手のひらに集中し
扇状に、放出し広範囲に氷の結晶が砕け散る
スカイが、気がつくと既に目の前にはミカエルが迫っていた
(意味無いじゃん、当たらないんじゃ
眼つぶし程度には、なると思ったんだけどな)
ミカエルが放つ早く鋭い蹴りを、スカイは避けるが
徐々に避けきれなくなり、受け流す
腕や、足が痺れスカイの動きが鈍くなっていく
(やっぱり、受け流すだけでも少しくるな
何なんだよ、身体強化の魔法かけてるのにこれかよ
どんだけ強いんですか、ミカエルさん武器も魔法も使って無いのにこの強さかよ)
ミカエルは、スカイの緩慢な動きを見て
素早く懐に、飛び込み腰が入った拳を
下から上へ放ちます、スカイは咄嗟に身を後ろへ引くが
あごに、かすり膝から崩れ落ちる
(ふわっとするんだな、マジでこれ)
「スカイ、無理して立ちあがるなよ
危険だからな」
「そうします」
ミカエルは、屈みスカイの目の焦点を確認する
「大丈夫そうだなスカイ、よかったぞスカイ自分なりに
魔法をカスタマイズ出来てたしな、ただ魔法を放った後がいただけないな
無防備すぎるぞ、追撃するとか次の動きをしとけよ
受け流しもマシになってきたしな、成長してるぞ確りと」
「有難うございます」
(そう言えば初めて、ミカエルさんに誉めてもらったな
お世辞でも嬉しいな)
ミカエルは、スカイに手を差し出す
「さあ、もう大丈夫だ
俺の手を掴め」
ミカエルはスカイを引き起こす
(あ~回復したのか俺、結構俺頑丈じゃないか)
「スカイ、今日は終わりにするか」
「有難うございました、ミカエルさん」
ミカエルは、スカイの額に指を付きつけた
「本当に良いのかスカイ、後悔しないのか」
「いや~体調を整えるのも大事な事だと思います」
「上手く逃げたな、スカイ今日は勘弁してやろう」
「お疲れ様でした、ミカエルさん」
スカイは、素早く学生寮に駆けて行く
(スカイめ、逃げたな
まあ良いか)
スカイは、学生寮の階段をゆっくりと上り
部屋に入り、椅子を引き座る
(は~マジで疲れたな
ミドルクラスの魔法は、改善が必要だな
とにかく大事な事は俺には、魔道書が読めたんだから
適性があるんだ、必ず使いこなしてみせる
ドラゴンブレスは、ミラさんがドラゴンのブレス攻撃からヒントを
得て考案した魔法、広範囲の敵や目標物に対して有効
使用者の熟練度が、上がれば大変有効な広範囲攻撃魔法
牽制や陽動に効果的
スカイは、図書館で読んだ魔道書の内容を
思い出す
しかしミカエルさんには、接近戦でもダメだし
魔法でもダメだ、う~ん地道に行くしかないよな
そんなに簡単じゃないさ、頭も使わなきゃ何時も
よく考えて行動しろと、言われてたじゃないか
冷静に周りを、見渡すんだ
必ず、打開策が存在するはずだ)
スカイは頭を抱えこむ
(俺、何やってるんだよ
なんで強くなろうとしてるんだよ
こんな辛い思いしてまでよ、くそ)
スカイは、椅子を蹴り倒すと
ベッドに寝転び眼を閉じる
スカイは、落ち着き冷静になると
倒した椅子を直し、座り直す
(拾って貰った命だ、最悪死んでたんだよ俺は
この世界に来た時に、ミラさんとルナさんが運よくあの場に居なかったなら
なにか返さなきゃな、まずは俺が強くならないと
心も体もだ
何の手伝いも出来やしないじゃないか、しっかりしなきゃ
明日も、うん頑張る)
スカイは、椅子の上に立ちあがり
手を握り締め自分に誓う
翌日、ベッドで寝ていた
スカイは、昨日と同じように朝早く
ミカエルが、ノックをする音で眼が覚める
部屋の中央のテーブルには、ミカエルが持ってきた朝食が
並んでいる、パンの代わりに大きなイモと干したフルーツ類が
テーブルに並ぶ、スカイは喉に詰まり易い食べ物を口へ運び
コーヒーで、流し込む
(イモは、喉に詰まりやすいですよ
ミカエルさん、朝から、キツイ物持ってきますね)
「ミカエルさん、今日もすいません
美味しい朝食を有難うございます
ところで質問なんですが、今日は言葉づかいが丁寧ですね」
ミカエルは口へ、干しブドウをガバッと入れる
「思うところが、有りましてねスカイ
ああ、そう言えば君の表情が、朝から明るいですが
憂いが晴れたようですね、安心しましたよ私は」
「まあ、少しだけですが
それより、もっと強くなりたいと思いまして
ミカエルさんみたいに」
ミカエルは、う~んと顎に手をつけ考え込む姿勢をした
「スカイは、何故強くなりたいのですか?」
「助けてもらった、ミラさんやルナさんの
お役に立てないかと思いまして」
「スカイ、君は自分自身を過小評価しすぎだよ
十分強いと思うけどな君は、私から見れば
精神的にも肉体的にもね
まず、このような不安な心理状態に陥っているが
理性的に行動してるし、戦闘に関しても
私は、魔力の放出しか教えていないが
魔法をアレンジし、既に使用している
そして君は、格闘に関しても見様見真似で
こなしているじゃないですか」
「実感が無いもので、もっと強くなりたいと
思いまして」
「そうか、そうだな君は自分がどれほど強くなったか
確認出来れば、良い訳だね
自分の立ち位置を、知りたいわけだね
分るよ目標とか指針を、立てる参考になるからね
じゃあ、参考になると思うから
もう一人の、君に会いに行こうか」
ミカエルは、食事を終えてスカイを連れ
学院内の、楕円形の建物に入る
ミカエルは、建物内のドア付近の球体に触れる
すると、部屋の中央にミカエルにそっくりな
人形が現れる
(お~凄いなそっくりだミカエルさんに)
スカイは、部屋の中央に立つ人形とミカエルを
交互に見る
「スカイ、感が良い君なら分ると思うが
一応説明しておこうか
あれはモドキ君だよ」
ミカエルは、ドアの近くに有る球体を指さす
「あれに触った者の、分身が現れる
コピーする訳だ、能力その他もろもろ
ただ一つ、注意する点だが
あの人形は、魔力切れしないから
今から早速、モドキ君と戦うのだが
早く倒さないと、こちらの体力と魔力が切れるわけなんだ
早めに倒すようにしよう、では私が今から君に手本をお見せしよう」
スカイが、前を見ると既にミカエルのモドキの体が
膝から崩れ落ち、床に頭を打ち付け
光り輝き消え去った
(ミカエルさん、早すぎて眼で追えませんし
あまり参考になりませんよ)
戦闘前と、変わらないミカエルがスカイに話しかける
「このように、瞬殺してしまえば
モドキが、例え無限の魔力が有っても簡単に倒せるわけだよ
さあ、スカイもやってみなさい」
ミカエルの言葉に頷き
スカイは球体に触る
すると、スカイのモドキが現る
(出たか、俺のモドキか変な感じだな
俺の能力を、コピーしてるのか
早めに倒さないと、俺が燃料切れしないうちにな)
スカイは、足元の床を素早く蹴りモドキに接近する
(アイスブレスで、動きを制限出来ればいいんだが
広範囲魔法だから、回避しずらいし)
モドキもスカイに、近ずくとアイスブレスをスカイの
眼の前で、放つ
スカイは、モドキの行動に面喰い、あわてて魔力を
シールドの様に身体の正面に作る
(やべえ、瞬時に発動してるし俺より早い
くそ、威力も桁違いだ俺よりも
後の展開なんて、今さら考えてられない
全力でぶっ放すべきだな)
防ぎきれなかった、氷の風圧と結晶が
スカイの膝や肩に、衝撃を与えます
モドキは、スカイの無防備な側面に既に動き
鋭い蹴りを、スカイの脚に決めた
スカイが、ウッと呻きます
「横からかよ、魔法防ぐのに精一杯だったからな
脚に完全入った、やっぱ動かねえ
無理にでも動かさなきゃ、動きを止めるつもりだろうしな
モドキは」
モドキは、スカイの逆の脚にも的確に思い蹴りを放つ
モドキは何度も何度も、動きが鈍い脚を狙い続ける
(やべ、このままだとこれで終わっちまう
俺なら、動きを止めたら必殺技で決めるな
来るのか、そう言えばモドキは
身体強化の魔法と攻撃魔法を
併用して行使するはずだ、
そうか俺の能力をコピーしているのだから
魔力の最大出力は、差が無いはずだ
二つより、一つに絞れば何とかなるんじゃねえか
俺でも
攻撃魔法は捨てて、身体強化魔法に全て回すぞ
後のことも考えるな、モドキに反撃だ)
モドキが、動きが鈍くなったスカイに
攻撃魔法を放とうと集中する、
一瞬にスカイは全てを賭け
魔力を、全身に漲らせモドキの
後ろへと回り込み、腰を入れた重い蹴りを
モドキの頭部側頭へ放つ
モドキが、ゆっくりと倒れ消え去る
スカイは、脚の痛みで床に座りこむ
大きく息を、吐き出す
(は~終わった)
「スカイ、よくやったよ
修行っていうのは、後から効いてくるものです
あまり深く考え無くて、良いですよ
もう一回やりますか、まだ足りないのなら
付きあいますよ、もちろん後方で控えて
私は、応援するだけだからね」
「有難うございます、もう良いですよ
ミカエルさん、モドキ君と対峙して色々為になりましたから」
(モドキめ、強すぎだよまったく
蹴り過ぎだ、人の脚をまったく
暫く顔は、合わせたくない人形だな)
「行きますよ、スカイ何時まで座っているんですか
早く立ちあがってください」
「了解です」
有難うございました