スカイ、期待しながら討伐依頼へと向かう
何時もの様に、トーマス主任に依頼をされ
工房でスカイは、魔法薬飲料水の製作を始めた
棚の一番下の前で、しゃがみ込むと両手で大きな鍋を
ゆっくりと棚が、傷つかないように丁寧に取り出した
大鍋に水を少量入れて、火にかけると加熱消毒を行う
スカイは、部屋の隅に大量に積み置いてある箱の中から
組合の敷地で湧き出た水が入った瓶を、数本取り出し
大鍋に注いだ、沸騰させるとスカイは
作業台の上に置いて有った蜂蜜の瓶を
手に取り、スプーンを持ち寄り大鍋へとドロッと入れると
軽く煮込みかき混ぜた
鍋の水に、少しとろみがつくとスカイは
大鍋の上に手を翳し、魔力を注ぐ
今回は、魔法薬の様に濃縮しないので
時間をかけて魔力を、魔法薬の２～３倍注ぎこんだ
魔力注入を暫く続け、大鍋の水が半分ほど蒸発すると
火を止め、スカイは工房の隅に積んでいた箱の中から
空の瓶を、数本取り出すと
指先で、瓶の内側を低温の炎を放出し
炎で消毒を行う
スカイは、大鍋から透明な液体を瓶へと注ぎこむと
漸く魔法薬飲料水が、完成する
（良い匂いだな、蜂蜜の香りが僅かに鼻を擽るな
結構飲みやすいかな）
スカイは、完成した魔法薬飲料水をドア前の作品棚へと置く
スカイはドアを閉めると、鏡の前でローブを着付け確認する
そして討伐依頼書を、読み始める
（妖精か～一度は見てみたいと思っていたし
良い機会だな、会いに行こう
楽しみだな妖精なんだから、目の保養になるだろうし）
スカイは、工房の窓を開けると魔力を放出させながら
窓から滑空した、目的地は妖精が居るアイネの森
スカイは、魔術師、魔道師組合の塔から飛び下りると
帝都上空を飛び去り、北へ位置するアイネの森へと
速度を加速させながら飛び去る
すっかり日が落ちた時刻に、スカイはアイネの森へと到着した
木が生い茂る森を、低空で飛行を続ける
（暗いから、視界が悪いな）
集中し僅かに魔力を確認すると、スカイは地面に降り立ち
ゆっくりと、森の中のけもの道を進む
スカイは、目を凝らし妖精の気配を探す
漸く魔力反応を捉え、妖精の姿を前方に発見した
人型の体に整った人形の様な容姿、半透明な大きな羽を
羽ばたかせている
（確かに美しい姿だが、軽く２メートル超えてるし
真っ平らなお体ですね、起伏が無いよな
きずかれたか、夜目が効くのかよ
何なんだよ、この甲高い鳴き声は耳痛え）
スカイが様子を窺っていると、妖精が視線を向け接近する
甲高い鳴き声を更に増し、スカイに雷を落とす
スカイは回避すると、一気に加速し空中へと飛び
妖精の側面へと、蹴りを放つが分厚い魔法障壁が邪魔をする
足に雷が当たり、スカイは鈍い痛みを感じるが構わず
妖精の後方へと、回り込み炎を妖精の翼へと放ち
意識を翼へと向けさせると、スカイは魔力を集中させ
渾身の一撃を加えるべき、妖精の後頭部へと
魔力で覆った足を振り落とす
妖精を守る魔法障壁に、ヒビが入り突き破るとそのまま頭部を強打した
地上へと落下する妖精に、スカイは空中から素早く移転魔法を発動すると
異界への空間壁が現れ、妖精を包み込む
（あれが妖精だなんて、納得出来ん
耳痛え～凄い声だな）
スカイは、討伐依頼書を懐から取り出す
（今度こそ、俺の元居た世界と同じであってほしいと
切実に思う）
アイネの森から、スカイは立ち去ると次の討伐対象が居る
アイネの森の中央付近にある、廃墟に向かう
まったく舗装されていない道を、スカイは首、手足、頭に
黒い布を巻き付け、森を進んだ
（夜の森は、不気味だな
昼間も、うす暗いし急ごう）
道中を急ぐスカイを、木々が邪魔をするが
迂回しながら、音も極力立てずに進む
スカイは、廃墟を見つけると
這いつくばりながら廃墟の中の様子を見つめた
スカイの視線の先、廃墟の中には黒い翼を生やした人型の体に
何も身に着けていない、下級悪魔のサキュバスが見える
スカイは、ため息をつき立ち上がる
（なんてこった、現実は厳しいんだな
さようなら、俺の桃源郷
男性の精を奪うと言われる、サキュバスが
どう見ても俺には、唯の黒い翼を生やし
腕の長い、カマキリのようにしか見えない
確か理想の異性に見えるのでは無いのか）
スカイは魔力を爆発的に高めると、両手を前に構え
暴風を起こし、目の前の廃墟を吹き飛ばす
地面を削り取る様に、暴風が廃墟を破壊した
スカイの目の前に、無傷のサキュバスが現れ長い腕を振りおろす
スカイは、横に体をのけ反り回避すると
サキュバスの側面に動き、わき腹へと腰が入った重い一撃を与え
スカイは素早く重い拳を、サキュバスの顔面に叩き込んだ
最後に頭部へ、加速度を増した蹴りを振り落とすと
地面へとサキュバスが、叩きつけられ動きが止まる
スカイは、転移魔法を発動し異界へとサキュバス転移した
スカイは、森から様子を窺っていた
サキュバスの男性型インキュバスへと、氷塊を四方から放つ
スカイは、加速すると氷塊を防いだインキュバスへ
拳を放つ、難なくスカイの拳を受け止めると
インキュバスは、スカイを空中へと投げ飛ばす
空中で停止するとスカイは、上空から巨大炎を
インキュバスへと放ち、爆炎が起き森の木々がなぎ倒された
爆心地の中心には大きく抉れた地面には、インキュバスが立っていた
スカイは、既に無防備なインキュバスの背中に
魔力で覆った拳を放ち続け、数十発もの重い拳を受けると
前のめりに倒れる、インキュバスへと転移魔法を発動させると
空間が揺らぎ開くと、インキュバスの姿が引き込まれ消え去った
（もう居ないよな）
スカイは、見通しがよくなったアイネの森の様子を窺う
懐から、討伐依頼書を取り出すとスカイは
アイネの森の北にある湖へと、向かう
スカイは低空で飛行しながら、湖が見渡せる
場所へと辿り着くと、慎重に音を立てずに降り立ち
湖の様子を、伺う
障害物が無い、見晴らしいが良い周辺の様子を窺い
安全を確認すると
スカイは湖へと、視線を向ける
湖で人魚の姿を観察した、体のいたる所に水草が生え
顔を水草が覆い尽くし、肌は真っ赤な色で
口が顔の半分を占める程の、大きさだ
（凄い個性的な顔を、お持ちなんだな人魚とは
流石に、威圧感があるぜある意味で
有る意味、ふくよかな体形か～）
スカイは、湖に居る人魚へ四方から氷の障壁を放ち
魔力を強め障壁を強化し、人魚の大きな体を拘束すると
直ぐに異界への送転魔法を発動させた
（さっさと帰ろう、精神的に今日は疲れたし
もう、日が明けてるし）
スカイは、日が明けた空を眺めると組合へとラインを繋げ
移転魔法を発動すると、その場から消え去る
スカイ日記抜粋
俺は何時もの様に、トーマス主任に依頼された
魔法薬飲料水の製作を開始した
大鍋へと、湧き水を入れ沸騰させると
蜂蜜を加えかき混ぜる、俺は魔力を魔法薬の時よりも多めに注ぎこむ
魔法薬と違い、今回は濃縮作業はしないから
魔力は多めに、注入する
僅かに蜂蜜の香りがする、無色透明な魔法薬飲料水を完成させると
玄関前の台に置き、休む間も無く討伐依頼書を手に取ると
４階の窓から飛び降り、帝都を滑空しアイネの森へと向かった
今回の討伐対象は、妖精と言う事で最速で滑空した
俺の期待は、裏切られる事に
初めて妖精を見た感想は、デカイだ
２メートルを軽く超える身長で、何と行っても俺に襲いかかって来た時の
威嚇の声は、忘れられないほどの高音で耳に今も
残っている、イメージが完全に崩れてしまった
それに、妖精と言う事で魔法障壁を張っていたから
気合いを入れて、対処した
唯一、顔は綺麗だったがやっぱり残忍な表情だったな
俺の命を、刈り取る顔だし
気持を切り替えて、次にサキュバス討伐に向かう
少し期待してたんでけど、いや今度こそはと思って行ったら
何故なんだ、男性を誘惑する為に理想の異性の姿に見えるというのは
ガセなのか、結構グロい姿だった
俺にはカマキリの姿にしか見えない
俺の怒りの一撃で、地面へと叩き倒すと異界へと移転させる
様子を隠れながら、窺っていたサキュバスの男性形
インキュバスへと、俺は攻撃を開始した
大火炎で陽動し、魔力で覆った拳で意識を借り取ると
強制送転
最後は、人魚討伐へ心の中に僅かながらの期待を持ち
人魚が居る湖へと行く、人魚の様子を見た瞬間俺は
体から、力が抜けてしまった
全身水草だらけで、口が顔の半分を占めているとは
冗談がキツイぜ、
全く誰なんだよ、期待させやがって
あれが人魚かよ
俺は遠距離から氷の障壁で人魚を拘束し
巨体であらされる、人魚様を
素早く異界へと送転する、まあ彼女らには悪いが
この世界に存在する時点で、一般の方々にとっては脅威なので
このように対処をしている、無暗に一般の人が接触したら
命の危険があるからな、彼女らは規格外な存在だし
この世界の人を守る為だ、怨むなよ
その後に、組合へと戻り討伐の報告をしたら
組合職員に報告したら、彼女らはどんな容姿だったんですか？
と聞かれたので、愛嬌があるお姿でしたよと答えておいた
本当にある意味、愛嬌はあるんだろうし
俺の桃源郷が
こんな事になろうとは何故だ
皆様、読んでいただき有難うございます
少しずつ文章や誤字は改善したいと思いますので
温かい目でご覧ください、ご指導有難うございます
