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魔人

人も疎らな、うす暗い朝早い時刻に

スカイは足音を立てない様に、気をつけ階段を下り

組合から出て、帝都の石畳の道を歩く




以前トーマスと、数回巡回で行った事がある

帝都でも、老舗の甘味処に入る




朝の早い時間でも、広い店内は明るく

多くの従業員達が、動きまわる


店内に入るスカイの姿を、見つけた主人が出迎えた




「スカイ様、いらっしゃいませ

 今日は、どんな御用で?」




「宅配してますよね、注文出来ますか?」


「はい、勿論でございます

 さあ、こちらへお座りください」




スカイは、店舗の奥にある個室へと通されると

椅子へ腰かけた





「何か、ご希望はございますか」




「そうですね、なるべく数が多くて

 長期間保存出来そうな物ですね


 瓶に詰めた物が、希望です」




「そうですね、飲み物に致しましょう

 今の季節で旬の物ですと、新種のオレンジですね

 偶々、今季から入荷を初めました


 そうですね加工しまして、瓶に詰めましょう

 ゼリー状にしまして、喉越しが良い物で宜しいでしょうか」




「良いですね、では20ダースほどお願いします

 期日は指定はしませんので」





「スカイ様有難うございます、

 ではこちらにサインを」




スカイは、主人に差し出された契約書にサインをすると

店を後にした




「じゃあ、御主人よろしく」




「又のご利用を、お待ちいたしております」


スカイは、魔術師、魔道師組合の塔へと戻ると

1階の事務所に居る


トーマスに、昨日製作した魔法薬を渡す

トーマスは瓶の中身を確かめる




「そう言えば、スカイ様今日はどちらへ?

 朝早く、お出かけでしたが」




「少し買い物ですよ、折角なので

 組合の職員の皆さまにも、後でプレゼントが届きますから


 特に事務の方には、大変な御苦労かけたようで

 薬師と蘇生師の申請の件で」




「スカイ様、有難うございます

 職員一同を代表しまして、御礼を言わせて頂きます


 そうでした、此方の魔法薬はスカイ様特製ですね

 良い出来です、薬の効果も高いですね

 そうですね金70枚で、様子を見てみましょう


 追々、価格は変更致しましょう」






「了解です、トーマスさん、修練場の鍵を貸してください」




トーマスは、奥の部屋から鍵を取りだし

スカイに手渡しす




「スカイ様、お気をつけて」


「はい、十分注意して行動しますよ」


スカイは、修練場へと入ると

早速、召喚を開始する





手を前方に突き出しながら、魔力を放つ

空間が歪み、スカイは風圧により少し後ろへと押され始める


氷竜が、空間の裂け目から姿を現す


スカイは、剣を構成し構える

向かって来いと、正面に居る氷竜へと命じた

氷竜は、迷いなど一切なく主人の命令に従い


首を下げると口から氷塊を四方に放つ


スカイは剣を振るい、真っ二つに四方の氷塊を切り落とす

大きな体を感じさせないほど、身軽に氷竜は突進してきた


大きな前足を、振り上げる氷竜を

スカイは受けとめようと剣に氷を付与すると、

勢いをつけて、大きな氷竜の前足に剣を這わせる




鈍い音が、辺りに響きわたる


スカイは、完全に動きが止まった氷竜の側面に回り込み

魔力で押し潰すように、叩き込む


そのまま吹き飛ぶ氷竜に、スカイは追随し更に

特大の氷塊を、円状に構成すると一揆に放つ




大きな音がし、氷塊が砕け散り氷竜は床に

倒れ伏せた





「良い訓練になったよ、氷竜」



スカイが、魔力放出を止めると氷竜は

存在を保つ事が、出来なくなり消え去る





スカイは、氷竜が消え去ると

床に膝を付けた





(マジで疲れるぜ、魔力消費が半端ないな召喚魔法は

 俺には、魔法攻撃は向いてないかもな~)





突如、スカイの前方の空間が歪み

大きな炎竜が現れ

大きな音を立て、床に落下した




体の至る所が傷つき、尾からは大量に血が流れて

その場には、血だまりが出来る




スカイは、立ち上がると急いで炎竜に近ずき観察する




(酷い傷だな、まあ何とかなるだろう俺でも

 緊急事態だからな、失敗しても怨むなよ)




スカイは、魔法陣を炎竜を中心に置き描き

外円と内円の間に立つと、魔力を指先へと漂わせ

魔法陣に、触れる




陣がひと際、光を放ち炎竜を包み込むと

炎竜の、傷が塞がっていく


スカイは、目を開ける炎竜の頭部を撫でた




「何かあったら、俺の召喚に応えろよお前

 俺は、命の恩人なんだからな」





スカイは、前方の気配に気が付くと視線を向けた

空気が揺れ、一直線に縦に空間が割れ開く



大きな角を2本頭に生やし、肌が浅黒く

鎧を身につけ、腰に真っ赤な長剣を携え

2メートルは軽く超える、大柄な魔人が現れる




「邪魔するぞ、その炎竜を躾をしていたのだが

 逃げ出してな、返してくれるか」




魔人の視線に怯える炎竜の前に、スカイは立ちはだかった


「ダメですよ、もう私の物なんで

 貴方には、返せませんね


 それに、相当酷い扱いをしているようですね

 ですから尚更、貴方には返せませんよ」




魔人は、赤い長剣を鞘から抜く

全身から、鮮血の様に真っ赤な長剣からも


魔力が、あふれ出て空気が揺さぶられている



「そうか残念だな、我々の世界では強さこそが全てなのだ

 弱い物を従わせるのは、至って普通の事


 この意味が分かるだろう、力を我に示せ

 我に勝てば、炎竜は諦めよう」




スカイは、炎竜に軽く触れると

空間が歪み裂け、そのまま炎竜を異界へと送り返す





「邪魔だったので、返してしまいしたが

 問題ないですよね」




「無い、では始めよう」




(マジかよ、魔力があふれ出してるよ

 俺、生き残れるか


 くそ~、何でかこの世界に来てから

 俺は、熱い奴になったみたいだな


 傷ついた炎竜を、無視できずに

 挙句に、ヒーロー気取りで


 実力差が、どれだけ有るか分からないほどの

 魔人に、無謀にも立ち向かうなんてな)




スカイが、動く前に既に魔人は

スカイを捉えると、長剣を振う


あふれ出た魔力を飛び散らせながら、長剣を振るい

スカイは、剣を瞬時に構成するが


剣圧に耐えきれず、長剣に刃をぶつけること無く

真っ二つに砕け散る



スカイは、予め展開していた

氷塊を四方から、幾つも放つが


全て、長剣に届く事は無く

砕け散る




(魔力で、何か作用してるのか

 レベルが、違いすぎてどんな状況なのか

 分かんねえよ)






「その程度か、 話しにならんな」




魔人は、長剣を鞘に戻し、スカイへ拳を放つ


スカイは、氷壁を築きますが拳圧のみで突き破られ

スカイは後方へと、吹き飛ばされた


魔人は瞬時に近ずくと、スカイに打撃を放つ


スカイは、両腕でガードするが

ガードを突き破り、体をくの字に曲げ数メートル後方へと

床を滑り後退する




(化け物かよ、ガード破るし

 踏ん張っただけで、俺が床を滑ってるし


 早すぎて、目で追えねえ

 今のは、蹴りなのか?)




スカイは、全身を魔力で覆う



(絶対絶命って、今の状況の事だよな

 全力で、余力なんて残すなよ)




魔人は、突進するとスカイに蹴りを放った


体を捻ねりなげら、蹴りを咄嗟に避けると

スカイは拳を魔人の腹に打ち込むが

片手で難なく、受け止められる


魔人は、スカイの手首を片手で掴んだまま

万力の様に、ガッシリと掴まれ

動きが取れないスカイを殴り続けた


腹部へと、執拗に拳を放ち続け

スカイは、手首を掴まれたまま

一方的に、殴られ続け

意識が飛びそうになる





(腹が潰れる、焼けるように腹が熱い)


口から、血をだらりと垂らしながらも

目は、大きく見開いたまま

何とか、隙が無いか探し続けていた




魔人は、腕を大きく後ろへ引くと

魔力が、渦のように覆う拳をスカイに放った




正面から、拳を受けたスカイは体を打ち付けながら

吹き飛ばされた





(血が出てる、口の中は切ってないから腹からか

 くそ~、力がはいらねえ)




スカイは、口から血を吐き出した

ドバッと、赤黒い血液が床に広がる


何とか、足を踏ん張り立ち上がる




「つまらん」




魔人は、後ろを向くと腰の真っ赤な長剣を抜き

空間を引き裂き、空間へと手を入れ体も入れると

徐々に、空間へと入りこんでいく


スカイは、その様子を力の無い目で見ていた


(このままだと、魔人が異界に戻ってしまう

 あの炎竜は、死んでしまうかもしれない


 もっと、酷い扱いにあうのかもしれない

 俺に何が出来る?いいのかよ


 このままで俺は、助けられないままで

 まだ出来るはずだろが、この世界で生きていくんだ

 この程度で、俺は負けられないんだよ)





スカイは、雄たけびをあげると

魔力を全力で、体の節々から集めると


魔力がスカイの体を、グルグルと覆い空気が振動する


今にも、異界へと帰還する為に

空間へと、消え去ろうとしている魔人へと


突進し、大きな長剣を構成し

無防備な魔人の首へと、突きあげるように長剣を突き刺した




魔力を全身から、集め長剣を更に奥へと突き刺す

剣先が魔人の喉を突きぬけ、脳をも突き抜け

剣先が頭部から突き出る、魔人はそのまま空間に消え去る





スカイは、床に倒れ込む


(やったのか?確かに感触は有ったが

 分かんねえな、

 流石に疲れたなし、少し休もう)




スカイは、そのまま目を閉じた

 






スカイ日記抜粋





俺は朝早くに起きると、帝都の老舗甘味処に向かった

俺の、薬師と蘇生師の組合認定の為に


おそらく、トーマスさんに急かされたであろう

組合職員の方の為に、御礼の品をお送りする為に


お店に入ると、御主人が来てくれたので

色々と希望を言うと、ジュースを送る事に


サンプルは飲んで無いんだが、まあ大丈夫だろう


そして、組合の塔に戻ってトーマスさんに

俺の特製の魔法薬を鑑定してもらうと、金70枚らしい


結構高価だよな、でも結構手間はかかってるんだから良いよな

あと組合に荷物が、届くから職員の方に配ってとか伝えると


俺は、修練所に行き

氷竜を召喚し、戦闘訓練を終えると


何故か炎竜が突然現れた

傷ついていたので、治療を終えると


炎竜の所有者っぽい、魔人が現れてたんだが

俺は、酷い扱いしていると指摘し


変に正義感が強い行動を、無意識にしてしまい

魔人と死闘を繰り広げる事に



まあ、俺が一方的にボコられたんだが

もう、最初からレベルが違い過ぎて

どれ位、差があるのか全く分からない


魔力が、魔人から溢れ出ていて

俺は、圧倒されてたからな

戦う前から



予想は付いていたんだけど、マジで死ぬかと思った

この世界に来て初めてだな、


まあ、瀕死の状態になったんだけど

俺には、隠され才能も火事場の馬鹿力も

期待はしたが全く無かった




だから後は何とか、俺の折れた心を自分で叱咤激励しながら

力を振り絞り、魔人が帰還の為に

無防備に後ろを向いている時に

騙し討ちの様に、首に長剣を突き刺した



かなりグロイ事をしてしまったと

後で、自己嫌悪したが


でも、あれは本当に致命傷になったのか?


怪しいものだな


有難うございます

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