表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

第2章/旅の準備はお早めに

どうも、またお会いしましたね。テストが近いため投稿が遅れました、ごめんなさい!


              ~       Ⅰ        ~ 


・メルティッド大陸南部聖王国ハウリ王都マズルハ


 ここは異世界。私、風見疾花(かざみはやか)は今おかしな状況に置かれている。ついこの間まで病院のベッドで寝ているだけの病弱な普通(ちょっと不幸だけど)の女の子だったのにある夜、この世界の神様に喚ばれ勇者として世界を救え、とほとんど一方的に頼まれ小一時間程前にその旅が始まった次第・・・・・・。召喚された遺跡から歩いて十数分ほどしたとこにあるこの国、聖王国ハウリの王都マズルハに私たちはいる。たち、とは私と遺跡で出会った騎士、クロード・C・ラインフォートさんとエステル・ブライトさんのこと。二人の話によるとこのまま城へ行きそこで王女様と会うらしいが・・・・・・堅苦しいのはニガテだなぁー。

「あの、首府城までは歩いて行くんですか?随分遠いように見えるんですけど?」

「ああ、首府城までは自走車に乗っていくんだ、ほらあれだよ。」

クロードさんが指差す方から一台のトレーラーの様な車が走ってきた。クロードさんたちの後に続き荷台に乗ってみるとそこには簡素なマットレスが敷かれているだけだった。エステルさんの話によるとここから首府城までは数十分ほどかかるらしい。何やらひそひそ話をしている二人を横目に見ながら私は荷台の手すり(といってもフチに古びた鉄棒を取り付けただけのかなり脆そうな作りだが)の近くに座り、そこから流れていく街並みを眺めていた。でも十数分たった頃にはいつしか街を出て、荷台からみえる景色は翠の草原に変わっていた。ふと空を見上げるとそこには大きな鳥のような何かがいくつも飛んでいた。

「クロードさん、あれ何ですか?」

「ん、ああ、あれはリュージュだよ。」

「リュージュ?」

「うん、この国にしかない乗り物なんだ。それとあれはエンジンを積んでないんだ。」

「じゃあどうやって飛んでるんですか?」

「風の力だけで、だよ。空を流れる気流を捕まえて飛んでるんだ。」「へ~、スゴイ・・・!」

それから首府城に着くまで私はずっと空を見上げていたのだった。


~ Ⅱ ~


・メルティッド大陸南部聖王国ハウリ首府城


首とお尻が痛い。なぜかって?首が痛いのは首府城に着くまでずっと空を見上げていたから、お尻が痛いのは自走車のマットレスが固かったから。まぁ、それはそれとして。首府城に着くとクロードさんが城門のところの兵隊さんと話し、お城の中に入ってエステルさんとクロードさんとはそこで別れた。少しすると二人の兵隊さんが来て、その人たちについていくとひとつの部屋に案内された。部屋に赤い絨毯が引かれており見るからに高級そうな壺や絵が飾られいた。とりあえず気分を落ち着かせようとソファーに座ってみるが逆に柔らか過ぎて落ち着かなかった。すると部屋のドアがノックされる音が聞こえた。

「はい、どうぞ~」

「失礼します、お召し物を持ってまいりました。着替えが終わりましたらお呼び下さい。」

「は、はい。ありがとうございます・・・・・」

入ってきた女性から服を受け取り、女性が出たのを確認してから受け取った服を広げてみる。上半身は白地に青いラインが引かれたシンプルなロングコートと体にピッタリくっつく黒いインナー。下半身はグレーのズボン。着てみるとこれまたサイズはピッタリときた。誰が選んだんだろ?鏡の前に立ち自分の姿を確認してみるとなかなか似合っていると思う。ソファーの上に放り投げていた魔導書を掴み、部屋をでると外で待っていてくれた女性に似合っているとほめられ、照れつつ彼女の後をついていった。・・・・・・・まぁ迷子になりそうにながらだけど・・・。案内されたところにはすでにクロードさんとエステルさんがいた。

「ハヤカ、サイズは大丈夫?」

「はい!ピッタリです。」

「そう、それはよかった。」

「この服って誰が選んでくれたんですか?」

「私だよ。いやーよく似合っているよ~!」

「あ、ありがとうございます!!」

「いいって、いいって。これから王女様に会うんだからこれくらいカッコつけないとね。」

「王女様?ですか?」

「うん、聖王国ハウリ第87代王女クローディア・S・ハーディスト陛下だよ。謁見の間に入ったら僕たちと同じように動いて」

なんて話している間に謁見の間っていうところに案内された。そこは広い石畳の床に赤い絨毯が引かれていて、その奥に綺麗に装飾された椅子があってそこにドレスを着た一人の女性が座っていて、その隣には顎にヒゲを蓄えた50代くらいに見える太ったオッサンとクロードさんと同じような服を着て腰から細身の剣を下げた20代くらいの女性が立っていた。二人に従い王女様の少し前まで進み、そこで立て膝を着くようにゆっくりと座った。

「クローディア殿下、世界樹(イグドラシル)の使者をお連れしました。」

「ご苦労様でした、その真ん中にいる方ですね。 お名前は?」

「は、はい、風見疾花と申します。」

(わたくし)はここ、聖王国ハウリの王女、クローディア・S・ハーディストです。よろしくお願いいたします、ハヤカさん。」

「よろしくお願いします。ところで私は何をすればいいんですか?」

「貴様、陛下に対して無礼であろう!身分をわきまえろ!!」

単刀直入に質問したら隣にいた太ったオッサンに怒られてしまった。まぁ、そりゃそうか。いきなり段階も踏まずに目的を聞くのはよくないよなぁ~、確かに・・・。

「構いません。」

「し、しかし!」

「構わない、と言っているのです。」

「・・・・わかりました・・・。」

わぁお、さすが王女様。一言でオッサンを黙らせちゃった。

「これからどうすればよいか、でしたね。それではまず神君廟へ行くとよいでしょう。そこには『時の羅針盤』があります。きっと貴女の旅の助けになると思います。」

「ですが殿下、神君廟は王族のみが入れる神聖な領域、他の者が立ち入れば・・・・・・。」

「それはわかっています、それも含めてです。」

何を含めてだよ、と突っ込みたかったが相手が相手なのでぐっと我慢。ひとまず喉まででかかった言葉を飲み込み話を聞く。

「神君廟で時の羅針盤を手に入れたら報告はしなくても構いません。そのまま旅を始めてください。それと、クロード卿とエステル卿はハヤカさんの護衛をお願いします。あなた方が出会ったのはきっと何かの運命でしょう、二人ともハヤカさんのことをお願いします。」

「「はっ!仰せのままに!!」

こうして私の旅は本格的に始まったのだった。


~ Ⅲ ~


メルティッド大陸南部聖王国ハウリ領王都マズルハ聖殿騎士団(テンプルナイツ)詰め所


今はとりあえず着替えやその他もろもろを用意するため私たちは首府城から王都にある騎士団の詰め所に向かっている。当然帰りも自走車だったからまたお尻が痛くなったけど行きほどではなかった。それと乗っている間にエステルさんがこの世界についていろいろと教えてくれた。この世界はに5つの大陸があり、私がいるのが一番大きなメルティッド大陸。そしてここを中心に東側にグランセル連邦領のエリン大陸、西側にゼピルム共和国領のゼピルム大陸、北側にアールディオン帝国領のレムリア大陸。南側には謎の霧の壁『ヴァルハラの境界』がある。もともとはハイパボーリアという大陸があったそうだが今はどんどん南下してきたヴァルハラの境界に飲み込まれ幻の大陸となっているらしい。それでメルティッド大陸には3つの国があってひとつがここ聖王国ハウリ。東にグリーテン帝国、北にガリア王国。真ん中から西側には遺跡郡と大平原が広がり、端には海底遺跡へ行くための港があるそうだ。古代技術と機械のグランセル連邦、魔術と剣のゼピルム共和国、鉱石と鍛冶のアールディオン帝国、農業と秩序のガリア王国、漁業と船のグリーテン帝国、そして神話と騎士の聖王国ハウリ。と、このように各国は目立った特徴があるらしい。街の中央部まで行き、自走車を降りてすぐ目の前にある大きな建物へ向かった。ここが騎士団の詰め所なのだろう。

「団長、ただいま戻りました。」

「オッサン、急用で戻ったからね~。」

建物の中にはいってすぐのところにある階段を上り、一番奥の部屋に入る。そこには大きな机があり頬に傷がある男の人が座っていた。

「うむ、そのことは既に姫様から聞いている。旅に出るんだろ?なら私服に着替えていけ。」

「はい、わかっています。それでこの子が。」「おお、その子か!俺はハンニバルという者だ、クロードの上司をやってる。よろしくな。」

「よろしくお願いします、ハンニバルさん。」

「じゃあ私たちは着替えてくるから、ちょっと待っててね。」

「はい、わかりました。」

そういって二人は部屋から出ていった。ーーーーただエステルさんが

「オッサン、変なコトはするなよ?」

と、笑顔で言い残してだが・・・・・。

二人が着替えている間に私とハンニバルさんは武器庫へ向かった。なんでもそんな格好でも丸腰じゃ意味がないらしいということで武器を一つくれるそうだ。でも武器をもらったからって使えるわけないし使う気もない。それに私にはイリスが作ってくれた創成の魔導書ってやつがあるからいらないんだけど・・・・・そういえば使い方きてなかったな・・・・・・。なんて考えを巡らせているうちに目的の場所に到着した。そこは武器庫というよりも宝物がしまってありそうな白い綺麗な建物だった。中に入ると壁には剣や槍、斧、盾などといった装備が掛けられていて床には鎧がおいてあった。

「さて、どれがいい?」

「どれって・・・・・言われても・・・・・・」

まぁ槍とか斧とかはパス、重そうだし。無難に剣にしようかなぁ。

「じゃあ剣いいです。」

「剣、といわれてもいろいろと種類があるからな・・・・・・ひとまず見てみるか?」

そう言って私たちは奥にある種類別の武器庫へ向かった。ついたらハンニバルさんが一通りの剣を持ってきてくれたが・・・・・・これまた数の多いこと・・・・

「ねえ、イリスどれがいいと思う?」

「さぁね、どうかしら?結局使うのは貴女なんだから自分で決めた方がいいんじゃない?ま、どうしてもっていうなら決めてあげてもいいけど。」

「・・・・・・おまえさん、取り憑かれてるのか?」

「あ、ああ、違います、彼女は世界樹(イグドラシル)の化身、だっけ?」

「まあそんなところよ、イリスよ。よろしくね。」

「そうか、ハンニバルだ、よろしくな。」

それから数分間、いろいろな剣を見せてもらたが結局最初に見たミドルソードというやつに決めた。持ってみるとずしりと重く、とても振り回せそうにない。

「それでいいか?」

「いえ、あの、やっぱりいいです。なんか使いこなせそうにないので・・・。」

「クスクス、やっぱり?いくら体が強くなっても使い方がわからなくちゃねぇ?」

頭上でクスクス笑いながら哀れみの目でこちらを見るイリス。わかっていたけどなんかムカツク・・・。わかっていたなら最初に忠告ぐらいしてくれてもいいじゃない!

「ま、そのためにこれがあるんだけどね。疾花、本を左手に持って右手を剣にかざして。この本の使い方を教えるから。」

「え、う、うん」

言われたとおりに左手に魔導書、右手を剣にかざす。

情報記録(レコード)といいなさい。それで終わりよ。」

胡散臭さMAXだが今までに起こったことから考えるとあり得なくない。とりあえずやってみる。

情報記録(レコード)!!」

次の瞬間、机に置いてあった剣が光り出し螺旋になって私の手に吸い込まれていった。

「え~っと、ねぇイリス、剣はどこいったの?」

「本を開いてさっきの剣をイメージしてみなさい、本が勝手に見つけてくれるから。それでページが出てきたら一番上の文章をなぞってみなさい。」

言われた通りに本を開き、さっきの剣をイメージしてみる。すると勝手に本のページがめくられはじめ、あるページで止まった。そこには剣の絵と謎の文字が描かれていた。一番上の文章をなぞってみるとなんとそのページ、というか剣の絵が光りそこから柄と鍔が飛び出してきた!引き抜いてみるとそれはさっき私が吸い込んだ剣と全く同じ形なのにものすごく軽く、使い方(?)まで把握していた!

「お、おいおい、何なんだ今のは!?いきなり剣が光って消えたと思ったら今度は本から出てくるなんて・・・・一体どんな原理だよ、そりゃ!?」

「ええと、その、私にも説明して欲しいんだけど。」

「そうね、簡単にいうと、まず本が物質を魔導力で原子レベルまで分解してそれをページに情報記録(レコード)するの。そして貴女が起動プログラムをなぞることでそれを元の形に戻して本から出すのよ。で、ここに記録されたものは貴女の脳内にも記録されるから使い方が分かるってワケ。因みに軽い理由は貴女の体にあわせて中身を作り替えてるから。」

「え~っと、つまりここに記録されてれば何でも使いこなせるってワケ?」

「ま、そういうことね。」

「・・・・・・・ズルくない?」

「勇者だもん、いいじゃない。」

あ、ダメだ、この人。性格がどうとかじゃなくてもっと根本的なトコからダメだ・・・・・・。

「く、詳しいことはよくわからんが、とにかく便利なんだな。」なんかハンニバルさん納得しちゃったし!?とはいっても便利なのは助かるけど、これはちょっと気が引けるなぁ~。まぁそんなこんなで剣を手に入れ、クロードさんたちと合流するべく広間へ向かった。

ここまで読んでいただきありがとうございました!さて前回予告しましたバトルは書けませんでした、ごめんなさい!次こそはクロードの剣技が光ります!


・次回予告

神君廟へ突入した疾花たち。しかし、三人を待ち受けていたのは無数の魔導兵だった!疾花たちは時の羅針盤を無事に手に入れることはできるのか!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ