第50話 有名パーティの勧誘と、譲れない「城」
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
数々の困難を乗り越え、ついに「第50話」の大台に乗ることができました!
これもひとえに、リトル・リンクの成長を見守ってくださる皆様のおかげです。
拠点の秘密を一つ解き明かし、名実ともにリフェルナの住人となった五人。
しかし、彼女たちの急成長と、あの「魔道具師の家」の噂は、街の有力な冒険者たちの耳にも届き始めていました。
節目となる今回は、彼女たちの前に「格上のパーティ」が現れます。
リトル・リンクは、自分たちの手で掴み取ったこの居場所を守り抜けるのでしょうか。
1. 穏やかな朝と、響く鐘の音
「……ふぅ。……今日のご飯も、最高。……レバーのパテ、パンに合う」
新居のリビング。ミルが上機嫌で朝食を堪能しています。
セインは地下二層から引き直した魔力ラインの安定度を計算し、ケットルは**『巨大背負い袋』**のベルトを補強していました。
そんな平和なひと時を破ったのは、洗練された「鐘の音」でした。
「……? 誰だろう、こんな朝早くに」
クレアが扉を開けると、そこには優雅な法衣を纏い、扇子を片手にした一人の女が立っていました。
その後ろには、銀色の鎧に身を包み、鋭い眼光を放つ大柄な男が控えています。
「……あなたが『リトル・リンク』のリーダーかしら? 私はBランクパーティ『轟雷の牙』のリーダー、シルヴィア。……そしてこちらが、私の副官のエドワードよ」
2. シルヴィアの傲慢な提案
「……『轟雷の牙』。リフェルナでも指折りの実力派パーティですね。……そんな方々が、私たちの小さな城に何の御用でしょうか」
セインが眼鏡を押し上げ、冷ややかに応対します。
リーダーのシルヴィアは、家の中を品定めするように見渡すと、扇子で口元を隠して笑いました。
「単刀直入に言うわ。この家、私たちが買い取ってあげる。……元は曰く付きの物件だそうだけど、あなたたちが地下の異常を解決したおかげで、魔力の供給源として価値が出たのよ。私たちの『サブ拠点』にぴったりだわ」
「なっ……!? いきなり来て何を……!」
クレアが色めき立ちますが、後ろに控える男・エドワードが一歩前に出て、重圧を放ちます。
「……騒ぐな、小娘。シルヴィア様は慈悲深い。金貨200枚を出そうと言っている。さらに、君たち五人を我々の『傘下』として使ってやってもいいそうだ。……路地裏の雑用から卒業できる、破格の条件だぞ?」
「……傘下。……つまり、……パシリ?」
ミルがジロリとエドワードを睨みます。
3. 譲れない「城」と、リトル・リンクの意地
「ガハハ! 笑わせるんじゃないよ!」
奥からケットルが、自分の背丈ほどもある**『巨大背負い袋』**をドスンと床に置いて歩み寄りました。
「あんたら一流様がどれだけ偉いか知らないがね、この家はアタシたちが自分たちで床を磨き、自分たちで家具を打ち、自分たちで地下の暴走を止めて守った『城』なんだよ。……金貨ごときで、アタシたちの居場所を売るわけないだろ!」
「……そうです。論理的に考えて、あなたの提案にはメリットがありません」
セインが静かに続けます。
「私たちは、誰かの背中を追うのではなく、自分たちの『繋がり(リンク)』でここまで来ました。……お引き取りください」
シルヴィアの目が、冷たく細められました。
「……生意気ね。たかが中級に上がったばかりの寄せ集めが、私たちの申し出を断るなんて。……エドワード、少し『礼儀』を教えてあげなさい」
4. 進化したリーダーの意志
エドワードが腰の剣に手をかけ、威圧的に一歩踏み出したその時。
クレアが**『折れたら切ない・ミスリル配合のすんごい斬れ味(予定)の剣』**を、一切の迷いなく正眼に構えました。
「……これ以上は、見逃しません。……もし力ずくで奪おうとするなら、うちらだって全力で抵抗します!」
クレアの瞳には、かつての「最弱」と呼ばれていた頃の怯えはありませんでした。
森のベヒモスを斬り伏せ、地下の暴走を食い止めた、一人のプロとしての意志。
そして何より、仲間との居場所を守るという強い決意が宿っています。
エドワードはクレアの剣から放たれる、ミスリル特有の鋭く澄んだ魔力のプレッシャーに息を呑みました。
(……この小娘、ただの初心者じゃないな……?)
「……ふん。いいわ、エドワード。……今日は挨拶だけにしておきましょう。……でも、覚えておきなさい。リフェルナで『轟雷の牙』を敵に回して、平穏に暮らせると思わないことね」
シルヴィアは扇子を閉じると、優雅に身を翻して去っていきました。
銀色の鎧を鳴らしながら、エドワードもその後を追います。
「……ふぅ。……怖かったけど、……スッキリした」
影から姿を現したカノンが、ようやく安堵の溜息をつきました。
「よし! せっかくのご飯が冷めちゃう前に、続きを食べよう! ……今日はもっと強くなるために、特訓だよ!」
クレアの明るい声が、五人の「城」に響き渡ります。
外からの圧力さえも、彼女たちの絆をより強く、より固く結びつけるスパイスに過ぎませんでした。
リトル・リンク、今日も(誇りを持って)ちょっとだけ成長中。
第50話をお読みいただき、ありがとうございました。
中心に立つ優雅な女リーダー・シルヴィアと、その実力行使担当の男副官・エドワード。
二人の格上冒険者との対峙で、リトル・リンクの「自分たちの足で立つ」という決意がより鮮明になりました。
次回、第51話「ギルドの嫌がらせと、ケットルの新発明」。
シルヴィアたちの圧力により、ギルドで不利な扱いを受けるようになった五人。
しかし、そんな逆境を笑い飛ばすような、ケットルの「とんでもない新装備」が完成します!
引き続き、応援よろしくお願いします!




