第45話 ギルドの視線と、一枚の推薦状
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
自分たちの「城」を手に入れ、便利な魔導具も揃ったリトル・リンク。
万全の休息をとった五人は、ついに水都リフェルナの冒険者ギルドへと向かいます。
今回の目的は、単なる雑用ではなく、プロとしての「中級依頼」を受けること。
Bランクパーティから受け取った推薦状が、彼女たちの運命をどう変えるのか。
「最弱」と呼ばれた彼女たちの、新しいステージが幕を開けます!
1. いざ、リフェルナギルドへ
「よし! みんな、準備は万全だね。今日からうちらは『リフェルナのリトル・リンク』として再出発だよ!」
朝日を浴びてキラキラ輝く運河沿いを、リーダーのクレアが意気揚々と歩きます。
その腰には、ケットルが鍛え直した新装備『折れたら切ない・ミスリル配合のすんごい斬れ味(予定)の剣』が誇らしげに揺れていました。
「……新品の装備、適度な休息、そして魔導ヒーターによる快適な室温。論理的に見て、現在の私たちのコンディションは過去最高と言えます」
女性僧侶のセインが手帳を確認しながら歩きます。
「……ふふ。……お腹の調子も、バッチリ。……ギルドが終わったら、……またレバー、食べたい」
吸血鬼の少女、ミルもマントをなびかせ、足取りは軽やかです。
リフェルナのギルドは、以前の街よりも大きく、入り口には多くの冒険者たちがたむろしていました。
2. 変化した周囲の反応
五人がギルドの重厚な扉を開けて中に入ると、一瞬、ざわめきが収まりました。
「おい、見ろよ。あのパーティ……装備がやけに良くないか?」
「あのドワーフの小娘が背負ってる袋、ただもんじゃねえぞ。職人の気配がする」
以前の街では「最弱の寄せ集め」と笑われていた彼女たちですが、今の彼女たちからは、数々の修羅場を越えてきた自信と、ケットルの手がけた「本物」の装備の輝きが放たれていました。
「……ふん。カモに見られてる感じはしないね。……どっちかっていうと、『油断できない新顔』って扱いだよ、これ」
カノンが周囲の気配を察知して、不敵に笑いました。
「ガハハ! 当たり前さ。アタシが打った剣を下げてるんだ、安っぽく見えるわけないだろ!」
ケットルが『後ろから楽をするための弾き弓』を肩に担ぎ、胸を張りました。
3. 推薦状の威力
受付カウンターに向かったクレアは、少し緊張しながら、一枚の封筒を受付嬢に差し出しました。
「あの……依頼を受けたいんです。あと、拠点の変更手続きもお願いします。これは、蒼穹の剣のアリスターさんから預かった推薦状です」
「『蒼穹の剣』……? あのBランク上位の……?」
受付嬢の顔色が変わりました。
慌てて奥の部屋へ確認に走り、数分後、少し偉そうなギルドの職員を連れて戻ってきました。
「失礼いたしました。アリスター殿からの推薦状、確かに確認しました。……『実力は未知数だが、その連携と判断力はBランクに匹敵する』とありますね」
周囲の冒険者たちが、どよめきました。
あの厳しいことで有名なアリスターが、これほどまで評価するパーティ。
それはもう、「最弱」なんて言葉で片付けられる存在ではないことを意味していました。
「リトル・リンクの皆さん。あなたたちには、通常の昇格試験を免除し、本日より『中級依頼(Cランク)』の受注資格を与えます。……さっそくですが、ちょうどあなたたちに相応しい依頼が届いています」
4. 最初の「プロ」の仕事
職員が提示したのは、リフェルナの郊外にある「霧の森」での調査依頼でした。
「最近、その森で原因不明の魔力異常が発生しており、街への物流に影響が出ています。……調査と、必要であれば原因の排除。報酬は……これまでの雑用の十倍以上です」
「十倍……!?」
カノンの目が金貨の形に変わりました。
「……霧の森。論理的に、視界不良と属性魔法の減衰が予想されますが……私たちの今の装備と連携なら、十分に勝算があります」
セインがクレアを見て、静かに頷きました。
「よし! 決まりだね! ……みんな、行こう! これがリトル・リンクの、本当の初陣だよ!」
「「「「おおー!!」」」」
ギルドを出ていく五人の背中を、もう笑う者は一人もいませんでした。
水都リフェルナ。
新しい拠点と新しい装備、そして強固な絆を胸に、彼女たちは霧の立ち込める森へと踏み出していきます。
リトル・リンク、今日も(ランクアップして)ちょっとだけ成長中。
第45話をお読みいただき、ありがとうございました。
ついに、念願の「中級冒険者」としての第一歩を踏み出したリトル・リンク。
Bランクパーティ『蒼穹の剣』からの推薦状が、彼女たちの社会的立場を一気に押し上げました。




