表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/50

第41話 はじめての「買い出し」と、手作りの城

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

前回、ついに自分たちの拠点マイホームを手に入れたリトル・リンク。

ガランとした石造りの家を自分たちの色に染めるべく、彼女たちは今日、金貨を握りしめてリフェルナの街へと繰り出します。

生活必需品の買い出しに、プロの技術が光る家具作り。

そして、新居のキッチンで初めて作る、お祝いのレバー料理……。

「最弱」と呼ばれた彼女たちが、自分たちの「居場所」を自分たちの手で作っていく、温かい日常回をお届けします。

1. 水都リフェルナ、爆買いツアー?

「さあ! 今日はうちらの新しい生活の第一歩だよ! 必要なものは全部揃えちゃうからね!」

朝日がキラキラと運河の波紋に反射する、水都リフェルナの朝。

リーダーのクレアが、腰に『とりあえず突っ込む用の剣』を下げたまま、意気揚々と拳を突き上げました。

「……落ち着きなさい、クレア。財布の紐を握っているのは私です。論理的に優先順位をつけますよ」

女性僧侶のセインが新しい手帳を開き、羽ペンを走らせます。

彼女の横顔は、家計を預かる者としての厳しい決意に満ちていました。

今回の買い出しリストは以下の通りです。

• 生活必需品: 清潔なシーツ、お風呂の石鹸、タオル。

• 調理器具: ケトルが選定した最高級の銅鍋。

• 食材: 霧降り牛のレバー(ミルの強い要望)。

「カノン、そっちの安い鍋に手を出すのはやめな。安物は火の通りがムラになって、料理が不味くなるよ。こっちの銅製にしな。アタシが後で魔力伝導の微調整をしてやるからさ」

ドワーフの女の子、ケットルが職人としての厳しい眼差しで道具を選別していきます。

カノンが「でもこっちの方が銀貨3枚も浮くよぉ」と食い下がりますが、セインが「長期的な燃料効率を考えれば、ケットルの意見が合理的です」とバッサリ。

最高級の銅鍋が、リトル・リンクの新しい備品に加わりました。

2. ケットル工務店、開店!

家に戻るなり、ケットルが地下の工房から愛用の工具箱を引っ張り出してきました。

金貨を節約するために、大きな家具は「自分たちで作る」というのがセインとケットルの方針です。

「甘いねぇ、クレア。既製品はアタシたちの独特な『癖』に合わないのさ。あんたのベッドは寝相が悪くても落ちないように。カノンのベッドは、寝返りの音すら立てずに静かに眠れるように……。 全部、アタシが設計図を引いてあるんだよ」

ケットルの指揮のもと、リトル・リンクの面々はにわか大工へと変貌しました。

• クレア: 力任せに重い木材を運ぶ担当。

• カノン: 素早い身のこなしで高い場所の釘を打つ担当。

• ミル: 微弱な火の魔法で木材の乾燥を早める担当。

• セイン: 『静かになさい(物理)の槌』を使い、杭を正確に打ち込む担当。

夕暮れ時、リビングには木の香りが立ち込め、少し歪ながらも、世界で一番彼女たちに馴染むテーブルと椅子、そしてそれぞれの個室にふさわしいベッドが出来上がりました。

3. 「城」での初めての晩餐

「……ふぅ。お腹、空いた。もう、……限界」

吸血鬼の少女、ミルの喉がコクリと鳴りました。

五人は新しく整えられたキッチンに集まり、リフェルナの市場で仕入れた最高級の『霧降り牛のレバーステーキ』を調理し始めました。

「よし! 記念すべきリトル・リンクのマイホーム、初の祝勝会……開始ー!!」

クレアの音頭で、賑やかな食卓が始まりました。

「……おいしい。こんなに分厚いレバー、初めて。血が、満たされていく……」

ミルが頬を赤く染め、至福の表情で肉を口に運びます。

「このスープ、あの銅鍋のおかげか。火の入り方が均一で、野菜の甘みが最大限に引き出されていますね。論理的に言って、100点です」

セインも珍しく、柔らかな表情でスプーンを動かしていました。

「ハッハァ! だろ? 道具を大事にするパーティは、絶対に強くなるのさ!」

ケットルがリフェルナ特産の白ワインを煽り、上機嫌で笑います。

カノンは、自分のために作られた、寝返りを打っても軋み音が一切しない「特製サイレント・ベッド」を思い浮かべました。

「これなら、どんなに小さな気配でもすぐに気づいて飛び起きられそうだよ。借金取りの足音も、絶対に見逃さない自信があるね」

4. 繋がる場所

食後、広々としたリビングで思い思いに寛ぐ五人。

窓の外を流れるリフェルナの運河のせせらぎを聞きながら、自分たちの手で作った椅子に座り、それぞれの部屋にある自分たちのベッドを思い、笑い合います。

「……ねえ。やっぱり、家を買って良かったね」

クレアが、窓から差し込む月光を眺めながら、ぽつりと呟きました。

「……ええ。ここが、私たちの新しい『核』になります。ここから、さらに効率的かつ強固に、繋がっていきましょう」

セインが手帳に、これからの遠征計画ではなく、明日の朝食の献立を書き込みながら、静かに頷きました。

最強にはまだ遠いけれど、五人の「繋がり」を支える石造りの城には、希望という名の温かい灯が、いつまでも灯り続けていました。

リトル・リンク、今日もちょっとだけ成長中。

第41話をお読みいただき、ありがとうございました。

ついに新生活が始まったリトル・リンク。

ドワーフの女の子であるケットルの職人魂が、家具作りという意外な形でも発揮されました。セインの家計管理、ミルのレバー欲、カノンの「静かに眠るためのこだわり」、それぞれの個性が「家」という空間でより鮮やかに描かれるようになりました。

「水都リフェルナ」の片隅にできた、小さな、けれど確かな彼女たちの城。

次回からは、この拠点を足がかりに、さらに大きな依頼や、近所の住人たちとの交流、そして家を狙う新たなトラブルなどをお届けしていく予定です。

リトル・リンクの新章、どうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ