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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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36/65

第36話 エリートの背中と、届かない剣

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

前回、Bランクパーティ『蒼穹の剣』からの破格の指名依頼を受けたリトル・リンク。

金貨100枚という夢の報酬に胸を躍らせて遺跡へ足を踏み入れましたが、そこで彼女たちを待っていたのは、想像を絶する「実力差」という名の冷たい現実でした。

エリートたちの無駄のない動き、圧倒的な魔法、そして罠さえ無視する強靭さ。

自分たちの積み上げてきたものがすべて否定されるような空間で、彼女たちは何を思うのか。

そして、超現実主義の僧侶・セインだけが見据える「勝機」とは――。

圧倒的な絶望感から始まる、遺跡攻略編の開幕です!

1. 遺跡の「静寂」を切り裂く力

「……速い。……見えないよ、あんなの」

北の『忘却の遺跡』。

石造りの冷たい廊下を進む中、クレアが呆然と呟いた。

目の前では、Bランクパーティ『蒼穹の剣』のリーダー・アリスターが、現れた石像ガーゴイルの群れを瞬く間に切り伏せていた。

無駄な動きが一切ない。

一振りで二匹、二振りで三匹。

クレアたちが全力で連携してようやく倒せる相手を、彼はまるで作物を収穫するかのように片付けていく。

「……あれが、本物の『Bランク』。……効率が、違いすぎます」

セインが眼鏡を指で直し、冷徹に数値を弾き出す。

「私たちの全力の攻撃力が、彼らの『通常攻撃』にも及んでいません」

2. 「効率」という名の壁

「ちょっと、そこの小さいの。邪魔だから下がっててくれる?」

蒼穹の魔術師の女性が、杖を構えたミルの横を通り過ぎる。

彼女が短く呪文を唱えると、廊下全体を埋め尽くすような豪火が吹き荒れ、残ったガーゴイルを一瞬で炭に変えた。

ミルの『ブラッディ・ノヴァ』のような危うさはない。

完全に制御された、圧倒的な破壊の奔流。

「……す、すごい。……私の魔法より、ずっと……」

ミルが自分の杖を握りしめ、俯く。

自分たちの『小さな繋がり(リトル・リンク)』が、ひどくちっぽけなものに思えてくる。

「ハッハァ! こりゃ、アタシたちの出番はなさそうだねぇ」

ケットルが酒袋を煽るが、その目は笑っていない。

職人として、彼らが使っている最高級の装備と、自分が打った『変な名前の武器』の差を痛いほど感じていた。

3. 搦め手への嘲笑

「……ねえ。あそこに罠があるよ。私が解除しようか?」

カノンが廊下の床を指差すが、蒼穹の重戦士が鼻で笑ってそのまま通り抜けた。

カチッ、という音と共に矢が放たれるが、彼の重厚な鎧が火花を散らしてそれを弾き返す。

「罠? そんなもの、いちいち解除する時間がもったいない。……力で押し通れば済む話だ」

カノンが苦虫を噛み潰したような顔をする。

自分たちが必死に磨いてきた「生き残るための知恵」が、圧倒的な「力」の前では無意味な遊びのように扱われる。

4. 捨て駒の予感

「……アリスター。なぜこんな奴らを連れてきたんだ?」

蒼穹の魔術師が不機嫌そうに尋ねる。

「見ての通り、足手まといだ。金貨100枚の価値なんて、どこにもないわ」

アリスターは答えず、ただ真っ直ぐ前を見据えていた。

「……リトル・リンク。君たちはまだ、自分の役割に気づいていないようだな」

その言葉の意図を測りかねたまま、二つのパーティは遺跡の最深部、ゴーレムが眠る『王の間』へと足を踏み入れる。

「……セイン。うちら、本当にここにいていいのかな」

クレアが震える声で尋ねる。

「……今は、耐えなさい。……必ず、私たちの『論理ロジカル』が必要になる瞬間が来ます。……それまでは、最弱らしく、爪を研いでおくのです」

暗闇の奥で、巨大な岩の塊がゆっくりと動き出した。

リトル・リンク、今日もちょっとだけ成長中。

圧倒的なエリートの力に、プライドを折られかける5人。

でも、セインだけは何かを見極めようとしています。

第36話をお読みいただき、ありがとうございました。

今回はあえて、リトル・リンクの面々がこれまでにないほど「プライドをへし折られる」描写を重ねました。

Bランクという壁は高く、彼らの合理的な戦い方は一見すると完璧に見えます。しかし、セインの言う「効率だけでは超えられない壁」とは一体何を指しているのか……。

古のゴーレムが目覚め、戦いはついに最終局面へ。

エリートたちが「力」で押し通せなくなった時、泥臭い「リトル・リンク」の真価が問われることになります。

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