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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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33/50

第33話 重なる声と、繋がる一撃

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

前回、職人ケットルの調整とセインの論理的な指導により、新しいスキルの形を見出したリトル・リンクの面々。

そんな彼女たちのもとに、なんとギルドから「指名依頼」が舞い込みます。

送り主は、以前の依頼で彼女たちの仕事ぶりを認めてくれたあのお爺さん。

提示された条件は、「力押し」だけでは解決できない少し特殊なものでした。

新生リトル・リンクの、本当の意味での「初陣」が始まります!

1. ギルドの「指名」依頼

「……え、うちらに指名? 聞き間違いじゃないよね?」

朝の活気あふれるギルド。リーダーのクレアが、受付嬢から差し出された書面をまじまじと二度見した。

送り主の名は、先日「倉庫整理」を依頼してきたあの隠居老人だ。内容は、『森の奥の街道に居座る大甲虫アーマービートルの追い払い』。

「前回の丁寧な働きを見て、君たちなら森を『壊さずに』解決してくれると信じている、とのことですよ」

受付嬢の言葉に、メンバーが顔を見合わせる。

「……壊さずに、か。ガハハ! このアタシに一番向かない注文を寄こしやがるねぇ!」

ケットルが苦笑いしながら、調整の終わったばかりのパチンコを弄ぶ。

通常、アーマービートルのような大型魔物を退治する場合、強力な攻撃魔法で周囲の木々もろとも吹き飛ばすのが一般的だ。だが、今回の依頼人は「森の道」そのものを大切にしている。

「アーマービートルは防御力が極めて高いですが、思考は単純で動きも直線的です」

セインが既に地図を広げ、地形と突進ルートの計算を始めていた。

「ただ倒すだけなら非効率ですが、『追い払う』という目的に絞れば、私たちの新しい連携を試すには絶好の相手と言えますね」

2. 鉄壁の怪物

森の奥、街道を塞ぐようにして、それは居座っていた。

馬車ほどもある巨大な甲虫。その漆黒の甲殻は鋼鉄のように厚く、鈍い光を放っている。クレアが試しに剣を軽く打ち付けてみたが、キンッという高い音と共に虚しく弾き返された。

「……いくよ。カノン、位置について!」

「了解。……右から回るよ。三秒後に大きな隙を作ってあげる!」

カノンが風のような素早い身のこなしで甲虫の視界を掠め、注意を引きつける。

「……いち!」

クレアの鋭い号令が響く。

「……!」

カノンが応える。

タイミングを合わせ、後方からケットルが特製の**『悶絶の激辛玉』**を甲虫の顔面、触覚の付け根へと放り込んだ。

「ハッハァ! 職人特製の刺激物だ。鼻先が熱くてやってられねえだろうよ!」

3. ロジカルな盾と、紅い針

「ギギィッーー!!」

顔面を焼くような刺激に悶絶した甲虫が、狂ったようにクレアへ向かって猛然と突進を始めた。

巨体ゆえの凄まじい質量攻撃。だが、セインは動じない。

「させません。……『構造解析アナライズ・バリア』」

セインが杖を突き出す。

突進の衝撃ベクトルを瞬時に計算し、最小限の魔力面でそれを受け流した。甲虫は自慢の突進を空回りさせ、体勢を大きく崩して横腹を晒す。

「今です、ミル! 関節の継ぎ目、一点だけを正確に!」

「……うん。……逃げない。……逃がさない。……『リトル・ガーネット』!」

ミルの杖から放たれた、凝縮された深紅の光弾。

それは周囲を焼き払うような暴走を一切起こさず、針の穴を通すような精度で、甲殻のわずかな継ぎ目を正確に貫通した。

4. 「リトル・リンク」の勝利

致命傷ではない。だが、急所を的確に撃ち抜かれた激痛に、甲虫はたまらずひっくり返り、もがきながら森の奥へと逃げ去っていった。

戦いの後には、折れた木も、焦げた地面も残っていない。ただ、街道が静かになっただけだ。

「……やった! 完璧じゃん、うちら! まさにプロフェッショナルって感じ!」

クレアが晴れやかな顔で剣を収め、ミルに駆け寄る。

「……うん。……壊さなかった。……ちゃんと、できたよ。クレア」

ミルが少しだけ、誇らしげに杖をぎゅっと握り直した。

そこへ、セインが冷徹な手帳の書き込みをしながら歩み寄る。

「計算通りです。……が、クレア。最後の踏み込みが0.2秒遅い。次までに動作の最適化を済ませておいてください」

「えー! 完璧って言った直後にそれ!? セイン、厳しくない!?」

不満げなクレアの声に、みんながドッと笑い声を上げる。

かつてはバラバラで、ただ生き残るのに必死だった五人の声。

今は、一つの目的のために、小さな鎖のようにしっかりと繋がっている。

リトル・リンク、今日もちょっとだけ成長中。

33話をお読みいただき、ありがとうございました!

「倒す」ことよりも「壊さずに解決する」ことの方が、実は何倍も難しい。

今回の依頼を通じて、彼女たちは自分たちの力が「誰かのため」に、そして「環境のため」に制御できるものであることを証明しました。

特にセインの「論理的」なサポートと、ミルの「精密な射撃」の相性は抜群のようですね。

指名依頼を完璧にこなしたことで、ギルド内での「リトル・リンク」の評判も少しずつ上がっていくかもしれません。

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