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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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第28話 バラバラな五人を繋ぐ「名前」

名前をつけるのは、ただの飾りじゃない。


呼び方が変われば、見え方が変わる。

見え方が変われば、少しだけ自分も変わる。


まだ未完成の五人が、

自分たちに「名前」を与える日。


それはきっと、小さな覚悟の話だ。

「……ねえ、これ見てよ」


宿屋のテーブル。クレアがギルドから渡された紙を広げた。

パーティ登録申請書。名前や役割は埋まっているのに、一番上だけが空白のまま残っている。


【 パーティ名:________ 】


「まだ決めてなかったね、うちらの名前」


クレアが顔を上げる。


「『最弱』のままでもいいんじゃない? 分かりやすいしさ」


カノンが肩をすくめて笑う。


「どうせ最初はナメられるんだし、看板でハードル下げとくのも手だろ?」


「やだよ!」


即座に否定。


「どうせならさ、ちょっとくらいカッコいいのにしたいじゃん! 名前負けでもいいから!」


「それはそれで問題だと思いますが……」


セインが小さくため息をつく。


「よし、じゃあ……『黄金の勝利者団』!」


「却下です」


早い。


「現実との乖離が大きすぎます。無用なトラブルの元になります」


「厳しい!」


「じゃあ『ラッキー・セブン』!」


「人数が足りません」


「ぐぬぬ……」


そこで、ケットルが低く笑った。


「名前なんざ、後からついてくるもんだがね」


酒袋を軽く揺らす。


「とはいえ、最初の看板ってのも大事だ。無理に背伸びするより、手に馴染むやつがいい」


少し考える。


「歯車みてえに、噛み合って動くってのはどうだ。『五枚の歯車』……まあ、固いか」


「……ちょっといいけどね」


カノンが頷く。


「でもさ、なんかこう……硬いんだよな。もっと“うちらっぽい”感じない?」


空気が少しだけ静まる。


その中で、ミルが小さく手を挙げた。


「……あの」


視線が集まる。


ミルは少しだけ躊躇って、それでも言葉を探した。


「……さっきの魔法の名前……『リトル・ガーネット』」


杖を抱きしめる。


「……小さいけど……ちゃんと形になってて……繋がってて」


言葉はゆっくりだけど、途切れない。


「……私たちも……バラバラで……まだ弱いけど」


少しだけ顔を上げる。


「……でも、今……一緒にいるから」


小さく息を吸って。


「……『リトル・リンク』……どうかな」


静寂。


誰もすぐには言葉を出さなかった。


最初に口を開いたのは、クレアだった。


「……いい」


ぽつり。


「めっちゃいい、それ」


顔が一気に明るくなる。


「派手じゃないけどさ、ちゃんと“うちら”って感じする!」


カノンもふっと笑う。


「まあ、大風呂敷よりはいいね。身の丈ってやつ」


「……実態にも合っていますし、意味も明確です」


セインが頷く。


「採用に異論はありません」


ケットルも肩をすくめた。


「いいじゃねえか。噛み合う前の歯車って感じでよ」


ミルは少し驚いた顔をして、それから、ほっとしたように笑った。


セインがペンを取り、申請書に書き込む。


【 パーティ名:リトル・リンク 】


「よし!」


クレアが拳を突き出す。


「これで今日から、うちらは『リトル・リンク』だ!」


自然と、五人の手が重なる。


まだ頼りない手。

でも、離れてはいない。


「さあて」


ケットルが立ち上がる。


「看板も決まったことだ。とりあえず、稼ぎに行こうじゃねえか」


「一番安いやつね」


カノンが笑う。


「現実的で助かります」


セインが淡々と返す。


笑い声が、朝の宿屋に広がる。


まだ弱い。まだ未完成。

それでも、少しだけ繋がった。


最弱パーティ――改め、


「リトル・リンク」


今日も、ほんの少しだけ前に進む

パーティ名が決まりました。


「リトル・リンク」。


強くもなく、派手でもない名前ですが、

この物語の方向性を一番よく表している名前だと思います。


この五人は、完成された仲間ではありません。

むしろ欠けていて、ズレていて、まだ噛み合っていない。


それでも「繋がろうとしている」こと自体が、

彼女たちの強さになっていきます。


ここから先、この名前がどれだけ“意味を持つか”。

ゆっくり見ていってもらえたら嬉しいです。

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