第25話 灼熱の収穫祭と、涙のスパイス
戦いは、戦場の中だけで行われるものではありません。
準備もまた、
生き残るための大切な要素です。
武器を整えること。
道具を揃えること。
必要なものを確保すること。
そのどれもが、
次の戦いに繋がっています。
今回は、
「戦うための準備」の話です。
「……ないねぇ。一粒も残ってないよ」
朝の宿屋。ケットルが腰のポーチを逆さに振ったが、出てきたのは埃だけだった。
昨日活躍した『悶絶の激辛玉』は、見事に品切れだ。
「えーっ! あれがないと、私の突撃もっと危なくなるじゃん!」
クレアがパンを咥えたまま叫ぶ。
「材料の“フレイム・ペッパー”が特殊でねぇ。その辺じゃ手に入らないのさ。……よし、取りに行くよ」
「……場所は?」
カノンが嫌そうに聞く。
「南の“日だまりの丘”。別名、激辛マニアの聖地さ」
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1. 鼻を刺す戦場
丘に入った瞬間、空気が変わった。
「……っ、目が痛い……!」
ミルが涙目になる。
「呼吸を浅く。刺激が強すぎます」
セインが布で口元を覆う。
「あったよ、あれ!」
クレアが指差す。
真っ赤な実――フレイム・ペッパー。
その周囲を飛び回るのは、スパイス・ビーの群れ。
「収穫はアタシがやる。あんたたちは近づけさせないでおくれ!」
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2. 涙の防衛戦
蜂が一斉に飛び立つ。
羽ばたきとともに、辛い粉が舞う。
「……空気ごと辛いってどういうこと!?」
カノンが顔をしかめる。
「……風、押す……!」
ミルが風を起こし、粉を押し戻す。
「いいよミル! ……いち! ……はっくしゅん!!」
クレアが踏み込むが、くしゃみで体勢を崩す。
「ちょっと、何やってんのさ!」
カノンが横から入り、正確に羽を断つ。
「……静かに」
セインが一歩前に出る。
メイスが振り下ろされ、まとめて叩き落とした。
その間に――
「お宝、お宝っと」
ケットルは手早く実を収穫していく。
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3. 収穫完了
「よし、十分だねぇ!」
袋いっぱいのペッパー。
五人はようやく丘を抜けた。
「……もう来たくない」
カノンが鼻をすすりながら言う。
「……でも、また弾作れる」
ミルが小さく笑う。
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4. 危険は最後まで
「あ、ちょっと待って。目にゴミが……」
クレアが無意識に目をこすろうとする。
その手――ペッパーを触ったまま。
「「「「ダメ!!」」」」
全員の声。
セインが即座に手を掴む。
「……危険すぎます。自爆するところでしたよ」
「え、あ……ありがと……」
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夕暮れ。
涙目のまま歩く五人。
戦い方だけじゃない。
生き残るための知識も、少しずつ増えていく。
最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回は戦闘ではなく、
その前段階である「準備」に焦点を当てました。
どれだけ強くても、
準備が不足していれば不利になります。
逆に、
しっかり準備を整えれば、
戦いはぐっと楽になります。
今回の収穫は、
ケットルの弾だけでなく、
生き残るための知識も含まれていました。
小さな積み重ねですが、
確実に次へと繋がっています。
また少しだけ、成長しています。




