第24話 荷物運びの秘策と、職人の悪知恵
戦い方は、一つではありません。
前に出て戦う者もいれば、
支え、流れを作る者もいます。
力だけで押し切るのではなく、
工夫や道具で状況を変える。
それもまた、立派な戦い方です。
今回は、
「後ろから支える強さ」の話です。
「……ねえ、ケットル。私たちの武器は最高だけど、自分の分はいいの?」
ギルドへの帰り道、クレアがふと尋ねた。
ケットルは巨大なリュックを背負い、必要な時だけ前に出る。基本は後方で支える役だ。
「アタシかい? アタシは職人だからねぇ。正面から殴り合うのはあんたたちに任せるよ。代わりに、“楽な戦い方”をするだけさ」
そう言って取り出したのは、金属製の弾き弓。
「弾き弓……? それで魔物を?」
カノンが首を傾げる。
「ただの石じゃないよ。アタシ特製の弾があるのさ」
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1. 職人特製・嫌がらせ弾
ケットルはポーチから色とりどりの小さな弾を取り出した。
「まず赤。『悶絶の激辛玉』。目に入ればしばらくまともに動けない」
「……絶対食らいたくない」
カノンが顔をしかめる。
「次に灰色。『おさらば煙幕玉』。視界を奪って隙を作る」
「そして黒。『ちょい跳ね爆裂玉』」
「爆発!?」
ミルが一歩下がる。
「安心しな。驚かせる程度さ。体勢を崩すには十分だよ」
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2. 実践・後方支援
その時、森の奥からフォレストハイエナの群れが現れた。
五匹。囲まれれば厄介な相手。
「ちょうどいい。試すよ」
ケットルが弾き弓を構える。
ピュッ――
赤い弾が弾け、粉が舞う。
「キャンッ!?」
一匹が悶絶して転げる。
「今だ、煙!」
灰色の弾が弾け、白い霧が広がる。
「クレア、行きな!」
「了解!」
クレアが迷いなく突っ込む。
煙の中を抜け、魔物を散らす。
「最後に一発」
黒い弾が地面で弾ける。
パァン!
乾いた音と衝撃。
ハイエナたちは一斉に怯み、森の奥へ逃げ去った。
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3. 一歩も動かない勝利
「……すご。ほとんど戦ってないのに終わった」
クレアが呆然と呟く。
「力が足りないなら、工夫すればいい。それだけの話さ」
ケットルが肩をすくめる。
セインが手帳に記録する。
「有効です。妨害と制圧が同時に可能になりましたね」
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4. 名前も“らしさ”
「で、その弾き弓も名前ついてるんでしょ?」
カノンがニヤリと笑う。
ケットルは得意げに見せた。
【武器名:後ろから楽をするための弾き弓】
「……徹底してるね」
「モットーだからねぇ」
笑い声が森に広がる。
それぞれの役割が揃い、連携は一段形になった。
最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回はケットルの戦い方に焦点を当てた回でした。
前に出るだけが戦いではなく、
状況を整え、仲間が動きやすくすること。
それが結果として、
一番効率の良い勝利につながることもあります。
パーティとしての役割が少しずつ固まり、
それぞれの強みが噛み合い始めています。
まだ未完成ですが、
確実に形になりつつあります。
また少しだけ、成長しています。




