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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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第21話 職人の火と、五人の「相棒」

強さは、与えられるものではありません。


手に入れるものです。


装備も、技術も、そして信頼も。


誰かに用意されたものではなく、

自分で選び、手にし、積み重ねていくものです。


今回は、

「自分で手に入れる」という話です。

「……ねえ、これ。さすがにボロくない?」


朝のギルド。クレアが自分の剣の鞘を指でなぞりながら言った。


ケットルの応急処置で斬れ味は戻ったが、見た目は相変わらずくたびれた中古品のままだ。


「街の鍛冶屋で新しいの買えば?」


カノンが欠伸混じりに言う。


「高いもん! 借金返したばっかりなのに!」


「だったら、“素材”を取りに行こうかねぇ」


ケットルが酒袋を腰に下げ、にやりと笑った。


「アタシが打ってやるよ。あんたたちに合う、壊れにくいやつをね」


「本当!? ケットルが打ってくれるの!?」


クレアの目が一気に輝く。


「ああ。ただし、納得できる鉄が要る。……場所は北の“黒岩の洞窟”。少しだけ魔物が出るよ」


「……魔物。……怖い、けど……」


ミルが杖を握る。


「セイン、どう?」


「危険度は“中”寄りですね。連携を崩さなければ問題ありません」


「よし、決まり! 最高の素材を取って、最高の武器を作ってもらおう!」



北の洞窟は湿った冷気に満ちていた。


迷路のような内部。ランタンの光だけが頼りだ。


「……ねえ。あそこ、光ってる」


ミルの指先の先。岩壁に青白い鉱石が埋まっている。


「おっ、あれだね!」


クレアが駆け出そうとした瞬間――


ガシッ。


カノンが襟首を掴んだ。


「待った。……いる」


天井を指差す。


岩に紛れた“岩トカゲ”が三匹、じっと獲物を待っていた。


「……気づかなかった」


「前だけ見てればいいよ。周りを見るのはボクの役目」


カノンが短剣を構える。



トカゲが一斉に落ちてくる。


「ミル、継ぎ目を」


「……うん。……今!」


小さな光弾が鱗の隙間を正確に撃ち抜いた。


「ギャッ!」


怯んだ。


その瞬間。


「いち!」


クレアが踏み込む。


迷いのない一撃が柔らかい腹部を貫いた。


「……よし!」


「いい連携だねぇ」


ケットルが唸り、残りはカノンが一瞬で処理した。



戦闘後。


ケットルが鉱石を丁寧に削り出す。


重い。質のいい鉄だ。


「これでいいもんが打てる。あんたたちに合わせて、少し手を入れてやるよ」


みんなの顔が自然と緩む。


帰り道。


「……なんかさ」


クレアが荷を担ぎながら言う。


「買った武器より、自分で取った方が強くなれそうな気がする」


「……うん。……大事にする」


ミルが杖を撫でる。


「気持ちの持ち方は大事です。戦いにも影響しますから」


セインが頷いた。



その夜。


貸し工房に、鉄を打つ音が響く。


カン、カン、カン。


さっきまで酒を飲んでいたケットルの目は、別人のように鋭い。


火花が散る。


形が生まれていく。


「……すごいね」


クレアが呟く。


「明日の朝には、相棒ができてるよ」


カノンがリンゴをかじりながら笑う。


まだ“最弱”のまま。


それでも――


少しずつ噛み合い始めた五人と、新しい武器。


明日の一振りは、きっと今日よりも迷いがない。


最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


今回は「装備」と「こだわり」に焦点を当てた回でした。


同じ武器でも、

どこで手に入れたか、

どうやって手にしたかで、

意味は大きく変わります。


自分たちで素材を取り、

自分たちに合わせて作られる武器。


それは単なる道具ではなく、

これから先を支える“相棒”になります。


まだ最強には程遠いですが、

確実に前に進んでいます。


また少しだけ、成長しています。

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