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最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中  作者: beck2026


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第17話 「それでも一緒にいる理由」

強いパーティには、理由があります。


同じ目的。同じ思想。同じ信念。


けれど、必ずしもそれが揃っているとは限りません。


性格も、過去も、価値観もバラバラ。


それでも一緒にいる理由は、案外、はっきりしないものかもしれません。


今回は、「なぜ一緒にいるのか」を考える話です。

夜。いつもの安宿の一室。


窓の外から聞こえる街の喧騒も、今夜はどこか遠くに感じられた。


五人を包む空気は、昨日までより少しだけ密度を増している。


「……結局さ」


クレアがテーブルに頬杖をつきながら、ぽつりと言った。


「うちら、なんで一緒にいるんだろうね?」


「何、急に。まとめに入っちゃって」


カノンがニヤニヤしながら、手元のナイフを弄ぶ。


「いや、なんとなく。だって、性格も過去もバラバラじゃん、私たち」


「それは否定しないね。まとまりなんて、欠片もないよ」


カノンが即答する。


「いいえ。まとまりはありますよ」


セインが眼鏡を指で押し上げ、静かに言った。


「最低限は、ですが」


「最低限ってなにさ」


「……お互いに、離れないことです」



「……それが一番、難しいんですから」


セインの言葉に、部屋がふっと静まる。


「……いなくならない。……消えない」


ミルが杖を抱きしめるように呟いた。


「それだけで……十分な気がする」


「……そうだねぇ。だいたいの奴は、途中でどこかへ行っちまうもんさ」


ケットルが酒袋を揺らし、少しだけ遠い目で笑う。


誰も否定しない。


その沈黙は、何かを失ってきた者にしか分からない、静かな肯定だった。



クレアは指先でテーブルをトントンと叩き、顔を上げる。


「……でもさ。今はいないよね、欠けてる人」


一人一人の顔を見る。


カノン、セイン、ミル、ケットル。


「全員、ここにいる」


「……そうだね。珍しく、欠席者なしだ」


カノンが目を細める。


「ええ」


セインが頷き、ミルも小さく笑う。


「……全部は戻らないけど。……ここは、ある」


「壊れてないねぇ、まだ」


ケットルがグラスを置いた。


クレアは身を乗り出す。


「じゃあさ! 理由なんて、それで良くない?」


「何が?」


「一緒にいる理由! なんとなく、でも。減ってないから、でも。今ここにあるから、でも!」


カノンが肩をすくめる。


「……相変わらず、雑だね」


「いいじゃん。どうせ、理屈じゃないんだから!」



「理由は、後からついてくるものです」


セインが静かに言う。


「今は、それで十分でしょう」


「……うん」


「異議なしだねぇ」


クレアは満足げに頷いた。


「よし、決まり! とりあえず、明日もこの五人で続けること!」


「結論がシンプルすぎて笑っちゃうけど、まあ、うちららしいか」


カノンがため息混じりに笑う。


外では夜風が吹く。


明日もまた、面倒な依頼が待っているだろう。


理由は曖昧。未来も不安定。


けれど今夜、彼女たちは確かに感じていた。


自分たちの足元が、昨日より少しだけしっかりしていることを。


「……明日も仕事だね」


「ええ。たぶん、また面倒なことになりますよ」


「……やだなぁ」


「でもやるだろ? アタシたちがついてるんだからさ」


「うん。なんとかなる!」


「それが一番信用できないんだってば!」


笑い声が、部屋に広がる。


変わらないようで、確かに何かが変わった夜。


最弱パーティ、今日もちょっとだけ成長中

ここまで読んでいただきありがとうございます。


今回は「パーティとは何か」を、少しだけ言葉にしてみた回でした。


共通点があるから一緒にいるのではなく、一緒にいるうちに、少しずつ形になっていく。


そんな関係もあるのだと思います。


離れないこと。欠けないこと。それだけでも、十分に難しい。


だからこそ、今この瞬間に揃っていること自体が価値になる。


そんな段階に、ようやくたどり着きました。


また少しだけ、成長しています。

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