ン白鯨ン2026
掲載日:2026/03/08
”ポイントネモ”
最も陸地から離れた海域。
私はそこにたどり着いた。
距離にして2400キロ。20日間の船旅。仲間たちの半数が倒れ、食料も尽きはじめ、帰還は絶望的だ。
「……白鯨」
それでも私は白鯨が見たかった。
それが見られればもうこの場で死んでもいい。
私達は『ポイントネモに現れる白鯨』を一目見る為にここまで来た。
ハーマン・メルヴィルの小説に出てきた真っ白な巨大クジラ。
白鯨よ。どうか姿を見せてくれ。
「君。男同士のセックスに興味はないかね?」
「えっ?」
こんな船員いただろうか?美しい金髪。ヒゲも生えていない。汚れ1つ無い真っ白な身体。股間を葉っぱで隠している。
「……無いよ」
「……そう……か」
なんだその質問は。なんでガッカリしているんだよ。
何か言ってやらないとな。
そうだなぁ。
「でもそういう奴らに偏見は無いよ」
「ほぅ!」
私はそこで気絶した。
……
目覚めると船は砂浜に打ち上げられていた。
誰も死ななかった。
船員達は口々にこう言った。
「白鯨が助けてくれた」
「ハクゲイが助けてくれたんだ」
「白ゲイが助けてくれたのよん」
最後の奴は何故かお尻を押さえながらオネェ口調になっていた。
白鯨。いつかまた会いたい。




