消えた真実
「……何があったっていうんだ」
旦那のデミドアが、森があった場所を見つめながら呟いた。
あたしもつられて、抉られた大地を見た。
(本当に、何があったっていうんだい)
何が起きたらこんなことになるのか。
そんなことを考えていると、腕の中で泣いているフィンが顔を上げた。
「バーンってっ!!」
「ネっ、ネナがぁ!はしって!」
「ドーンって!ひっくっ、おじいちゃんっ!!」
「うわぁああん!!ネナぁあああ!!!」
フィンは支離滅裂な言葉で、一生懸命に説明をした。
「……」
だけど、あたしにフィンの言葉を理解することはできなかった。
(今は無理に聞くこともないだろう)
「そうかい。怖かったろう?びっくりしたんだね」
あたしはフィンの背中をトントン優しく叩きながら、そう声をかけた。
フィンはぎゅっと抱きついて、またあたしの体に顔を埋めた。
「うわっ!」
変わり果てた森の姿に、誰かがそう叫んだ。
そりゃあ、誰だってびっくりするだろう。
「……戻ろう」
旦那の言葉に、あたしは頷いた。
泣いてるフィンを抱き上げて、森に背を向けたとき——
「爆嘴鳥って、こんなにやばい鳥だったんだ」
そんな言葉が耳に入ってきた。
(ばくしちょう?)
あたしは一瞬、首を捻った。
だけどすぐに、それが何か気づいた。
(ああ、ミサイルバードのことかい)
そういえば、そんな名前の鳥だった。
……ということは——
あたしはちらっと後ろを振り返った。
(ミサイルバードが爆発したってことかい)
あたしもミサイルバードが爆発した場所を見るのは初めてだった。
規模だって、まさかこんなに……
「……ん?」
爆発の跡に違和感を感じた。
よくよく見れば、地面はある場所を避けるように弧を描きながら抉れている。
——ネナとトーマがいた場所だ。
他の集まってきた者たちも気づいたようだ。
ざわざわと思い思いの言葉を話し始めた。
「この抉れ方、さっきの子が守ってくれたの?」
「さっきフィンがおじいちゃんって叫んでたろ?」
「モリスさんは森から出られないんじゃ……」
「モリスさんがフィンかあの人たちに加護をかけたってことじゃないか?」
「これだけの爆発、モリスさんの力なら防げたのも納得だ」
「そういうことね」
「モリスさんには感謝しねぇとな」
町民たちの推測に、あたしも足りなかったものがカチンとはまったようだった。
(そういえば、一昨日フィンがそんな話をしてたね)
『おじいちゃんがねっ、ネナにほわぁあってしたの!』
『ネナがこわくないように なんだって〜』
テーブルに両手で頬杖をついて、にこにこと話すフィンの姿を思い出す。
「ラミア」
後ろから旦那が声をかける。
あたしは「ああ、行こうか」と答えて、
再び荒く削れた大地に背を向けた——。




