【寓話】オオカミと
※本編とは別世界のお話です。
昔々、あるところに
「赤ずきん」と呼ばれる女の子がいました。
ある日、赤ずきんはお母さんから、こんなお願いごとを頼まれました。
「おばあちゃんに、このカゴを届けに行ってくれる?」
カゴの中には、おばあちゃんの大好きなワインとお菓子。
赤ずきんはお母さんのお願いに、快く頷きました。
おばあちゃんのお家は、森の奥深くにあります。
赤ずきんはひとり、森の小道を歩いていました。
おばあちゃんのお家まで、半分を過ぎたころ。
赤ずきんは小道の脇に咲いたお花を見て、ふと思いつきます。
「あっ!あのお花、おばあちゃんに持って行こう」
赤ずきんは、かわいい色とりどりの花を摘みはじめました。
そんな赤ずきんの様子を、影から覗く影がありました。
それは、
オオカミ——
「ねな、そっちは止めよう」
「? どうして?」
と、子鹿でした。
赤ずきんの方に近づこうとする子鹿を、オオカミは止めます。
「そっちには人間がいる」
「えっ?」
子鹿はオオカミの言葉に、じっと赤ずきんの方を見つめ、耳をぴくぴくと動かしました。
「……あ、ほんとうだ」
子鹿は目を見開いて、そっとオオカミに視線を移しました。
「ありがとう、とうま」
「……うん」
ふわっと微笑む子鹿に、オオカミは目を細めます。
「向こうに行こう」
「うん」
オオカミと子鹿は、赤ずきんのいる方向と反対を振り向いて、そのまま離れていきました。
「おばあちゃん、よろこんでくれるかな?」
近くにいた動物たちには、気づかない赤ずきん。
赤ずきんはおばあちゃんのよろこぶ顔を思い浮かべて、満足そうに笑いました。
こうして、赤ずきんは無事におばあちゃんの家に着くことができましたとさ。
めでたしめでたし。




