日常に触れる
転移二日目のこと。
「私にも、何かさせてください」
三人で朝食を終えたあと、音凪が静かに言った。
その言葉にフィンがすかさず、
「ネナはおきゃくさまだよ?」
そう言って首を傾げた。
「でも……」
音凪は何かを言いかけて、口をつぐんだ。
そんな音凪の様子に、モリスは考えるように目を伏せる。
そして
「そうだね。君にも手伝ってもらうとしよう」
モリスの言葉に、音凪の表情が少しだけ和らいだ。
「フィン、ネナにいつもしていること、教えてくれるかい?」
モリスの言葉に、フィンは一瞬きょとんとしたが、すぐにパッと頬を緩ませた。
「うんっ! おじいちゃん、ぼくにまかせて!」
フィンは腰掛けていた椅子からぴょんっと降りて、テーブルの上のお皿を手に取った。
そして、キッチンへと向く。
「まずは、おさらをあらいましょ〜!」
お尻を突き出して、振り向いたフィン。
その姿に、音凪の口から「ふふっ」と声が漏れた。
「はい。 フィンせんせい」
ゆっくりと立ち上がり、そっとお皿を持ち上げた音凪に、フィンは満足気に笑った。
二人が歩き出す。
キッチンに向かう二人の背中を、
モリスは目を細めて、ただ眺めていた——。




