『何のために生きるか?』
明華雅は、いたって四方八方どこにでもいる、幼気な少女だった。
――言ってしまえば、とても名前からでは推測できないほどに。世間一般で言うとロリとでも表すほうが分かりやすいかもしれない。しかし、その裏腹に身長は、170近くあるまさしく、年齢不詳の美女タイプだった。
そんな少女は、同世代の子とお茶でも飲みながら、話に花を咲かせたりしている風景のがよっぽど良いに決まっている。
こんな廃墟当然の場所なんかよりもよっぽど映えるだろう。
一人の少女が灰色に飲み込まれたと錯覚する廃れた商店街を歩いていた。
無論、道に迷ったわけでも、希少な花の群生地がそこにあるという訳でもない。
「ここから先‥‥‥か」
――手を伸ばし、そのまま、右腕から何とも言えない感覚を感じながら『それ』と一つになるように入っていく。
『それ』に入るときは決まって2つのことを考えながら入っている。
一つは、『感覚』
感覚はそれぞれの持ち主によって変わり、幸福なら、甘く柔らかい感触だし、憎悪だったら、痛く醜悪な香りがするものだ。
今までだと、果物のような香りが好みだったし、特にイチゴのような香りは好物だったので身体で味わっている感覚がして嬉しかった。
もちろん、今まで身体全身に針が刺さったような感覚もあるので一概に感覚に感謝してるとは言い難いが‥‥‥
いずれにしても私は嫌悪感を抱かないし、抱く気にもなれない。
醜かったとしても、その子が悪いのではないと信じているから。
そしてもう一つは‥‥‥
――必ずあなたを救って見せるから。
そう願い、少女は、『それ』に溶け去っていった。