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22. 簡単に人を信じちゃいけないのだよ

22. 簡単に人を信じちゃいけないのだよ




 世間はゴールデンウィーク真っ只中。街の喧騒もどこか楽しげに聞こえる。オレは連絡先を聞いたあの日から、聖菜さんとは毎日メッセージのやり取りを続けていた。内容は、たわいもない日常会話がほとんどだけど、それでも、聖菜さんと繋がっているという事実がオレの心をじんわりと温めてくれる。


 今日は、午前中から聖菜さんと会う約束をしていた。メッセージで「ちょっと頼みたいことがあるんだ」とだけ言われて、待ち合わせの駅まで急いで向かう。駅のホームには、GWを楽しむであろう大きな荷物を持った人たちがたくさんいた。


「あっ、聖菜さん。ゴメン、待った?」

 

「おはよう、優斗君。ううん。私も今来たところだから」

 

「それで、頼みたいことって?」

 

「えっと……あー、実は、家具を組み立ててほしいんだよね。私さ、工作とか苦手で。」

 

「ということは、もしかして、聖菜さんの家に行くのか」

 

「そうなるね」

 

「ほう。優秀な捜査官を用意しておかないと」

 

「見たくないものも見ちゃうかもだよ?泣かない?」

 

「男の子だから大丈夫」


 強がってみるものの、内心は少しざわついている。なになに?もしかして、他の男の物とかあるのか?だとしたら……いやいや、そんなわけないか。だって、聖菜さんの顔が完全にからかっている顔をしているし。


 オレ達は電車に乗り聖菜さんの自宅へと向かった。車窓から見える景色は、GWを楽しむ家族連れやカップルで賑わっている。聖菜さんは一人暮らしをしていて、最寄りの駅から10分ほど歩いたところにある、こじんまりとしたアパートに住んでいるらしい。


「ねぇ、優斗君」

 

「なんだ」


「どうせ明日も暇だよね?」


「だから、どうせが余計なんだが」

 

「今日、私の家に泊まっていく?」


 聖菜さんの、何気ない一言に、全身の血液が沸騰するような感覚に襲われる。泊まる。その言葉が、頭の中で何度もリフレインする。


しかし、いつもこうやって聖菜さんにはからかわれてばかりだ。たまには、こっちから困らせてやるのも面白いかもしれない。全部肯定したら、聖菜さんも少しはおとなしくなるだろう。


「あー……そうしようかな。力仕事してから帰るの面倒だし」

 

「本当に?最近、優斗君と一緒にいれなかったから、嬉しいかも」


 聖菜さんは、少し顔を赤らめて本当に嬉しそうにしている。その表情があまりにも可愛すぎて心臓が締め付けられる。……可愛すぎるからそんな顔はやめて欲しい。


「じゃあ、怜奈ちゃんに連絡しないと」

 

「え?あっ、ああ。そっ、そうだな……」


 オレは、もう後には引けずそのまま怜奈にメッセージを送る。するとすぐに『明日はお赤飯にするから、絶対シてきて。絶対だよ?』と、ふざけたメッセージが返ってきた。やっぱり、後でボコすのは確定っと。


「あっ、でも、着替えがないよな」

 

「優斗君の着替えなら、買ってあるよ」

 

「用意がいいね」


「こうなった時のためにね。一応、未来の奥様だから」

 

「それ、本当にオレの?他の男のじゃなくて?」


「それは、ご想像にお任せしようかな」

 

 そんな、いつものような会話をしながら歩いていると、聖菜さんのアパートにたどり着いた。見慣れない街並み、静かな住宅街の中に、聖菜さんの住む可愛らしいアパートが佇んでいる。


 聖菜さんの部屋に案内されると、そこは綺麗に整頓され、淡い色の家具や雑貨が置かれたまさに女の子の部屋という雰囲気だった。ふわりと聖菜さんのシャンプーだろうか、甘く優しい香りが鼻腔をくすぐる。


「そこに座って待っていて。お茶出すね」

 

「ああ。ありがとう」


 オレは言われた通り、リビングの白いソファーに腰掛けた。目の前には、小さな木製のテーブルと、可愛らしい花柄のクッションが置かれている。そこでしばらく待っていると、聖菜さんが、湯気の立つ温かいお茶とクッキーの乗ったお皿を持ってきてくれた。


「はい。どうぞ」


「ありがとう。それで、組み立てる物は?」


 お茶を受け取りながら、本題を切り出す。


「……どこだろうね」


 聖菜さんは、ニコニコしながらオレを見ている。その笑顔は、天使のように可愛いけれどどこか悪戯っぽくもある。まさか……


「あの……」


 オレが何かを言いかけようとすると、聖菜さんは人差し指を立てて、口元に当てた。


「簡単に人を信じちゃいけないのだよ、優斗君。これは教訓だから」


「いや、そもそも聖菜さんの頼みだから来たんだけど。他の人なら絶対に行かないし」


「本当かなぁ?」

 

「オレの未来の奥様はメンヘラだからさ」

 

「誰のことかな?」

 

「もちろん、オレの『運命的な何か』の人」


 オレがそう言うと、聖菜さんはクスッと笑いオレの隣にそっと腰を下ろした。距離がさっきよりも近くなった気がする。


「……怒らないんだね」

 

「なんで怒るの」

 

「もしかして、私に会いたかったのかな?」

 

「それは、聖菜さんじゃないの?」

 

「……それは、ご想像にお任せしようかな」

 

「オレの未来の奥様は、素直じゃないらしい」


 直接的には言ってくれないけど、聖菜さんにも、こういう可愛らしいところがあるんだな。こんないつものような、でもどこかドキドキするやり取りが今はすごく幸せに感じてしまう。


 今なら、はっきりと分かる。未来の奥様だから、という理由だけじゃなく、オレは今の聖菜さんのことが本当に好きなのかもしれない。


『面白い!』

『続きが気になるな』


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