07 結婚式の準備 2
ディング子爵夫人が貸してくれた、エミリーと言う娘に、手伝ってもらってエリザベートは久しぶりにコルセットを締めた。
それから三人で連れ立ってロザモンドの部屋に戻った。
エリザベートは道々、エミリーに侍女にならないかと打診した。ディング夫人の許可が出たらという返事だった。
ドアをノックして、誰も来ないのでキャリーがドアを開けた。
「遅くなりました」とエリザベートが挨拶をすると侯爵夫人が決まり悪そうに返事をした。
「待っていたわ」
「妹の結婚式だと言うのに手伝いにも来ないなんて」とロザモンドが言うと
「実家の時のように手伝えないわよ。執務もあるのよ」
ディング夫人が
「エリザベート様、いえ失礼しました、妃殿下、実家からの侍女がいないと伺いました。侯爵家のやり方には、その娘は及びませんが、いないよりましです。そのエミリーを使ってやって下さいませんか?」
「まぁよろしいのですか?今、着せてもらいましたし、髪を結っていただきましたが、美人になった気がします。そうしていただければ助かります」と返事をしたエリザベートに向かって
「なんてこと言うの、そこのケイトがあなたの侍女よ」と侯爵夫人が言うと
「お母様、ケイトはわたしの侍女だわ。リックが来たときなんかすぐに駆けて知らせに来てくれてたわ」とロザリンドが早口で言った。
「そうですわ、侯爵夫人、ケイトは実家ではわたくしに寄り付きもしませんでしたわ。お母様もよくご存知じゃないですか。まぁわたくしは侍女のいない生活が当たり前でしたので、侍女長が侍女の手配を断ってきてもなんとかできますし……実家の生活も無駄じゃなかったですわね」
とエリザベートも忘れている侯爵夫人に思い出して貰おうと言った優しい調子で付け加えた。
「お姉さま、この素敵な案を予算がないからと宰相が断るのよ」とロザモンドが書類をエリザベートに渡した。
「沿道に花を飾るというのね、ロザモンド。あなたの考えなの?素晴らしいわね」とエリザベートが言うと
「宰相が予算が無いと言うの。国民は喜ぶのに。ほんとうは花を投げたいのに、大変だろうからこれで我慢したのよ。我慢したのにお金まで出すとかいやよ」
なかなかの言い草だとエリザベートが笑いをこらえながら、侯爵夫人を見ると目に涙を浮かべて、エリザベートを見ていた。
「いいわ。たった一人の妹ですもの。わたくしの第二妃の予算から出しましょう。あなたにはいろいろ差し上げて来たわね。ほら、まだわたくしの婚約者だった頃の王太子殿下からの贈り物、ドレスも宝石も……お花も……結局あなたが結婚するからそれで良かったんだけどね。これからも助けあって行きましょう」
侯爵夫人が、
「そ・それは……」と言いかけるのを
「あら、わたくしの至らない話をしてしまいました。侯爵夫人はわたくしが渡したくないと泣いた時はぶってでも、きちんとしつけをして下さいましたのに」
「ね」と侯爵夫人に向かって言うと
「いい、ロザモンド。実家と違って、手助けはこれくらいしか出来ないわ。金銭面のお手伝い程度ね」と言うとエリザベートは出て行った。
ディート夫人に目で命令されたエミリーは
「わたくしも一緒に参ります」と後を追いかけた。
宰相からの使いも挨拶して去って行った。目に見えてほっとしていた。
ロザモンドの侍女リリーとラズとケイトは
「なんでしょ、あの態度」と言いあったがロザモンドは
「お金出してくれたわ。結局わたしには甘いのよ」と言っただけだった。
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