41 これからは
エリザベートの執務室に、貴族たちがやって来た。
「妃殿下に連絡致します。しばらくお待ちください」とメアリーが応対した。タバサは目礼だけして宰相を連れて出て行った。
「お忙しいようですね。申し訳ございません」と代表が頭を下げると、
「当分、忙しさは収まりませんので、今日のほうがいいですわ」とメアリーは答えると、一度部屋に入った。
しばらくして出てきたメアリーは、
「どうぞ」とドアを開けた。
「いらして下さったのですね。ご用向きをどうぞ」とエリザベートは書類になにか、書き込みながら言った。
「どうぞ」と顔をあげた、エリザベートにうながされ、
「妃殿下、わたくしどもは以前、たいへん失礼な事を申し上げました。ギルバード殿下にも申し訳ない事を・・・その・・・・・エリザベート殿下・・・・ギルバード殿下と共にこの国を導いて頂きたく・・・・」
「なるほど・・・・どうしてそう考えたの?確かにギルバードは今のこの国に必要な人だけど・・・・」
とエリザベートが言うと
「妃殿下に幸せになって頂ければと・・・・その幸せな方が導く国は・・・いい国だと」
「ありがとう・・・・」とエリザベートが、にっこり笑った。
エリザベートはフレデリックの見舞いに行った。
医者から、薬が効いていると連絡を受けたからだ。
「フレデリック。顔が穏やかになったようね」とエリザベートが言うと、
「あぁなんでも薬が、効いていると医者が言った。それにあのゾーイと言ったか、思い切り無礼な奴だが・・・・
ロザモンドから少し離れるよう言われて・・・・離れても最初は心配だったが・・・・ゾーイが言うにはちゃんと食事をしてるから、安心だって言われて・・・・それに大勢が、見舞いに来てね、こう言ったんだ。
わたしどもは、ギルバード様をこの国に迎える事に賛成です。これは民のほうが先に望んでおります。
時に、幼子や民は賢い事を申しますなぁ。もちろんフレデリック様のご決断を尊重致します」と。
エリザベートはなにも言わずに、フレデリックを見ていた。
「そうすると、ロザモンドの状態は返っていいかもな。僕は彼女の世話をしたいからとギルバードにこの国を託す。
民の喜ぶ美しい結末だ。ギルバードには僕から頼む」
「フレデリック、その事だけど」とエリザベートが言いかけた時、
「おや、エリザベートもいるんだね」とギルバードがやって来た。
「おや、久しぶりに三人揃った。よかったよ」とフレデリックが言うと、
「そうですわね」とエリザベートが笑って言った。
「僕は、いつも思い出す幸せな風景があるんだ」とフレデリックが話し始めた。
「こんな風に三人で座っているんだよ。子供の頃、僕は馭者になりたかったんだ」
「僕は道を造る人に」とギルバードが続けると、
「覚えていたんだ」とフレデリックが言うと、
「ときおり、思い出すよ。大事な思い出だ」とギルバードが続けた。
「そうか、それでフレデリック。耳に届いていると思うが、君にエリザベートと国を任せたい」
「もう、決めたのか?」
「あぁ」
「病は治るぞ。父上はいまも元気だ」とギルバードがフレデリックを見ながら言ったが、
「僕は・・・・」
「あら、二人で何を話しているの・・・・馭者がいないと困るわ」とエリザベートがフレデリックを見て言った。
「道を造るのは大事よね」とギルバードを見て、
「行き先はわたしが決めるわ」とエリザベートが拳を固めていた。
「「あっ」」
「二人とも、今更、いやですわ。覚えてないのかしら」
二人はエリザベートを次いでお互いを見た。
フレデリックとギルバードはお互いが同じ情景を思い出したとわかった
「馭者ってすごいよね。お馬を操ってすいすい馬車を走らせてどこでも行ける!」と子供のエリザベートは笑い、次に
「それなら、行き先はわたしが決めるね」と拳を固めて言っていた。
王妃の使いが来てエリザベートは去って行った。
「俺、応援するよ」とフレデリックが言うと
「おまえっていいやつだよな」とギルバードがため息をつきながら答えた。
誤字、脱字を教えていただきありがとうございます。
とても助かっております。
いつも読んでいただきありがとうございます!
楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。
それからもう一つ、ページの下部にあります、「ポイントを入れて作者を応援しよう」より、ポイントを入れていただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。




