25 事の終わり
ケイトの両親はびっくりして駆けつけた。小さな商会をやっていて、納品先の子爵家が、目立って利発なケイトのことを侯爵家に紹介したら、エリザベートつきになった。そのことが自慢の気のいい夫婦だった。
ケイトが暴力で相手の令嬢を傷つけたと聞いて仰天して、精一杯の治療費を払うと申し出た。
ロザモンドはケイトをどうするか聞かれて、一言
「やめさせて、泥棒猫はいらない」と言った。
「あとは任せていただいていいでしょうか?」とガーベラとジャスミンが言うと
「お願いするわ。もう考えたくもない」と返事した。
一見、大したことないロザモンの怪我だったが、ロザモンは若い女性が怖くなり、城をやめて郊外で静養することになった。
そこで、王家の別荘の管理人として赴任した。管理人の仕事はやるものが別におり、ロザモンはそこで静かに暮らした。
ガーベラとジャスミンはロザモンドに会いたいと泣くケイトに
「泥棒猫に会いたくないとのことです」としか、言わなかった。
「ちゃんと話せば、わかっていただけるわ。子供の頃からお仕えして来たのよ」
「本当の主はエリザベート様。だのにロザモンド様にお仕えしたのよね」とガーべラが言うと
「侯爵夫人も望んだことです」とケイトは必死に言った。
「妃殿下がたの、ご母堂を悪く言うなんて、口を火で焼いてやらなきゃ」とジャスミンが、手に持ったムチでケイトを打った。
「これはロザモンの分よ、彼女は仕事をやめたのよ。働けなくなって」と言いながら打った。
やがて二人は動かなくなったケイトをそのままにして、部屋を出て行った。
二人のあとを一人の男がついて行った。
「ちょっといい?」の声に振り返ると、王太子の侍従だった。
「頼まれてたんだよ。ケイトを紹介して欲しいって。それがこの騒ぎになっちゃって」
二人がうなずくと
「君たちも名前は聞いたことがあると思うけどスニーク伯爵」
二人がちょっと顔を引きつらせるのを見て
「でも、噂って大げさだから、僕も会うのは怖かったけど、会ってみたら気さくないい人だった。多分、お行儀にうるさい人なんだと思う。半年程前に奥様を亡くして、いい人がいたらって探していたんだよ。それが今回のことがあって、話が流れるかなって思ったけど、全部話したんだよ。泥棒猫のことも怪我をさせて治療費を払うこととか全部ね。
怪我は、はずみだし、誰かを慕うっていうのもありだろう・・・・って、ちゃんと責任を持って躾けるって。これから、仲良くなればいいんだって。
ありがたいのはお金だよ。ケイトの両親は全部を売り払う手続きをしてたんだが、伯爵が買い取ってそれを返してあげたんだよ。両親は恩を感じてるようだよ。だってそうだろ!どうなるかわからないのに、お金をご両親に上げたんだよ。見てられないからって・・・・ほんとはいい人なんだよ。
それで話をすすめるけど、世間が納得しないから、ロザモンド様の名前で手続きをすすめるね」
二人がうなずくと
「書類持って行くから、署名して貰ってね」と言うと去って行った。
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