21 ケイトの怒り
ケイトはエリザベートに渡す王太子の返事を入れた封筒を持ったまま、ロザモンドの所にやって来た。
ロザモンドに少しでも早く、報告をしたかったのだ。
「・・・・もそう思うでしょ」という声はガーベラだった。ケイトは身を隠した。
「だいたい、あの人エリザベート様の侍女でしょ。それがしゃしゃりでて」とジャスミンが言うと
「ラズはおっとりしてるから」とガーベラが言うのに
「そんなことない。ケイトさんは実家にいる時から、ロザモンド様一筋だったから」とラズが答えた。
「でも、王妃殿下も不思議がっていたでしょ?どうしてラズがロザモンド様の髪を結わないのかしらって。結婚式の時だってもっと綺麗になっていたはずよ」とジャスミンが言うと
「そうよね。わざと似合わない髪型にしたのよ」とガーベラが言うと
「うそよ、お似合いだったわ」とラズが言った。
「似合わないは言い方が悪いか・・・・・えーーともっと似合う髪型があるのに他の髪型にした?ってことかな」とガーベラが言うとラズが考え込み始めた。
「あの時、結ってはほどき、結ってはほどき・・・・どれもお綺麗で・・・・あっ」とラズが口を押さえた。
ラズは二人を見て、いやいやと首を小さく横に振っていた。
「ラズ、思い当たる?」とガーベラがラズを軽く抱きしめて、背中をポンポンと叩いていた。
「おっと、そろそろロザモンド様が戻るわ」とジャスミンが明るく言った。
「キャリーと散歩しながらの特訓だものね」とガーベラが笑いながら言うと
「お疲れでしょうね」とラズも明るい声で言った。
「お菓子が買えないなんて(わたしの心は闇におおわれる・・・ああ一筋の希望も許されぬのか)」とジャスミンが言うと
「なんとかわいそうな事でしょう。お菓子が買えないなんて」お金を出すしぐさをして「(このわたくしの犠牲があなたの慰めになるなら)なんとか、かんとか」とガーベラが言って
「(それがわたしの名誉となりましょう)」ラズが続けて言った。
その時、ケイトの後ろから、
「盗み聞きはよくないわ」と声がした。侍女仲間のロザモンだった。
「違うわ、今来た所よ」とケイトは答えたが
「そう、わたしはかなり前に来て、泥棒猫がなにをやっているか見張ってたけどね」とロザモンが舞台に立っているかのように言い返した。
(麗しき花々の前にどどほう猫は、いやしき姿をさあらすなりい)とフリージアが言うと、ケイトは
「帰る」と歩み去ったが、誰も見向きもせずに、フリージアを取り囲んで
「ちょっとフリージアすごいわ。それって自分で考えたセリフでしょ」
「「見習わないと」」と盛り上がった。
そこに戻って来た。ロザモンドとキャリーにこの出来事を話して盛り上がったのだった。
エリザベートの所に戻ってきたケイトは返事の封筒を渡そうとしたが、エリザベートは
「タバサ、宰相からの分は全部まかせてもいい?」とタバサに話しかけ、
「できれば、最後に目を通していただければ」と申し訳なさそうに答えるタバサに
「わかった。頼もしくなったわね」とタバサに笑顔を向けながら、ケイトから返事の封筒を受け取った。
エリザべートはケイトに全然目を向けなかった。
「明後日の、劇の通し稽古だけど小広間で話がついたわ。それでも広いと思うけど・・・・王妃殿下が・・・」
タバサとメアリーは顔を見合わせて笑うと、
「城の人がさりげなく見に来ると思いますよ。衣装が話題になってるんですよ」
「そっち?」とエリザベートが言うと
「俗なことって楽しいですから」とメアリーが答えた。
「合言葉を設定しようかしら(麗しきもの。汝のこころを占める彼のものとは誰ぞ?)とか」とエリザベートが言って三人は笑いあった。
こちらでもケイトは疎外されていると怒りを感じた。
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