あのころ
僕は母上と一緒に母上の生まれたお城に行くのが好きだった。そしてそのお城に遊びに来る女の子が好きだった。
僕たちは三人でお茶をしたが、その日は庭のお花が綺麗だと従兄弟のフレデリックが、自慢してお庭でお茶をした。
フレデリックが自慢するだけあって、お庭は素敵でエリザベートは、感心してフレデリックにたくさんお礼を言ってた。
するとフレデリックは僕を見て、へへっへんって顔をした。僕の城の庭はここよりもっと素敵だ。
いつかエリザベートを呼んで、感心してもらって、一杯遊ぶんだ。と僕は思っていた。
自慢野郎のフレデリックは今度は遠くの山を見て、あの山にいつか行くんだと自慢した。
「わぁすごい。行きたいよねぇ」とエリザベートが言うと
「だろう!僕は大きくなったら馭者になるから、馬車に乗せて連れて行ってやるよ」と胸を張った。
するとエリザベートは
「馭者ってすごいよね。お馬を操ってすいすい馬車を走らせてどこでも行ける!」
「だろう。だから、エリザベートは楽しみに待っていてね」と言いながらフレデリックは、僕をへへっへって見た。
こいつが馭者になるんなら、僕は馬車が走る道を造る人になってやると思い
「そんなら、僕は道を造る人になるよ。ほら、ちゃんとした道じゃないと馬車も走りにくいでしょ」と言うとフレデリックが
「すげぇ、僕はそんな事思いつかなかった。ギル、やっぱりすごいね」と僕の手を取った。
フレデリックは自慢野郎のくせにいいやつだった。
でも、三人で過ごせたのは、この時までだ。
次の時、エリザベートの妹のロザモンドと言うチビが、泣きながらやって来て無理やり席に座った。
エリザベートの妹にフレデリックは注意しにくいだろうし、優しいエリザベートは妹に注意できないだろう。
でもこんなしつけも出来てないチビは、きちんとさせないといけない。
僕たちは普通の子より、きちんとしてないといけないのだ。僕は父上にも母上にも兄上たちにもそう習った。
だから、僕が代表で、
「君、ロザモンドは、このお席に来てはいけないよ。ほら、そこの侍女と一緒に帰りなさい」と言った。
すると侍女は僕を睨みつけて
「ロザモンド様、いじめられましたね」とチビを連れて帰った。
翌日はエリザベートとロザモンドの母親がロザモンドの手を引いてやって来た。
「三人は大きいのだから、ロザモンドと、ちゃんと遊んで下さい」と言ってロザモンドを置いて行った。
ロザモンドがいると、ちっとも楽しくなかった。
その後、父上が病気になった。すると上の兄上が、父上の代わりにお仕事をするようになった。
下の兄上は上の兄上の仕事をするようになった。僕も出来るお手伝いをするようにした。
ある日、山崩れが起きて街道がふさがった。王族からも誰かが行く必要があり、僕が行くことになった。
皆は心配したし、僕も怖かった。でも僕は王子様だ。
僕は馬車に乗って急いだ。道ががたがたで、馬車はゆっくりしか動かない。でも馭者はすごい。
馬を励まし、時に叱り進んで行く。
この時、僕は気づいた。道を造るって大事だと。それでお仕事を一生懸命に見た。街道を復旧させるために土を取り除き、また山が崩れないように崖を固めて行く。
僕はその時から、道を造るために必要なことをたくさん学ぶ事にした。
そうしてたら、母上やお医者様の努力で、父上の病気が治った。
家族でお祝いをしたが、その時、父上は僕に謝った。
「お前は早く大人になってしまった。もっと子供時代を楽しんで欲しかったのに・・・・すまなかった」って僕は父上にすがりついて、泣いてしまった。
大人はこんなに泣かないはずだ。僕はまだ子供だから謝らないでって言いたかったけど、泣いてたから言えなかった。
その後、エリザベートがフレデリックと婚約したと聞いた。
まだ、子供の僕は泣いた。
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