12 夜会は大忙し
夜会の入場だ。エリザベートは初めての参加で、ロザモンドを見張る為の参加だ。
エミリーの手で整えられたエリザベートは二人の後ろから入場した。
フレデリックは最初にロザモンドと次にエリザベートとダンスを踊った。
それから、エリザベートは、挨拶を受ける二人のそばに、付き添った、ロザモンドが少々ずれても大らかに見守っていたが、さすがに口を出したのはビジュー伯爵とブッシュ伯爵を混同した時だ。
ビジュー伯爵の領地は、最近、ルビー、サファイヤの鉱山が見つかっで話題になったのだ。
「穴を掘ったら赤い宝石、青い宝石が見つかるなんて素晴らしいですね」と言われたブッシュ伯爵は
「いつもお美しくて・・・・」と言いながら汗を拭き
「ピンクも白もあるなんて素晴らしいですね」と追い打ちをかけられ
「今度お持ち」と言いかけた所にエリザベートが口を出し
「伯爵を独り占めはよくないわ。ブッシュ様ダンスのお相手をよろしく」と言うと伯爵もしゃんとなってエリザベートのリードに合わせてそこから遠ざかった。
「ありがとうございます。最近間違えられることが多くて・・・・慣れてますが、まさか妃殿下に同じ対応とはいかないと思いまして・・・・」
「申し訳なかったわ。でもロザモンドは強請ったつもりはないのよ・・・・」
「存じております」とブッシュ伯爵は答えた。
「そう言っていただけると・・・」とエリザベートは微笑んだ。
「妃殿下にさらっていただいたと自慢します」ダンスの終わりに礼を取った伯爵はこう言った。
伯爵と別れたエリザベートは大商人のお嬢様が、みえる位置にさりげなく立った。
彼女の名前は、ジョセフィン・バードレッド。父親は、やりての商人で今度子爵になり、すぐに伯爵になる予定だ。
バードレッド家はもともと侯爵家だったが、何代か前に領地の災害が原因で爵位を返上。財産はすべて領民の為に使い、一文無しになったが、代々の当主が努力してここまで回復した。
ジョセフィンの父親は当時手放した家宝を探しあて買い戻した。さすが本物は見事ね。彼女の首元を見てエリザベートは思った。
その秀逸な意匠は多く真似され、似た物をかなり見かける。だが、あの大きさのルビーを家名にちなんで「赤い鳥」の形に研磨したものはない。
母親の侯爵夫人が持っている物は鳥の部分が金細工だった。それでも高価だと思うが・・・・
ロザモンドが近くに来たら、自分も彼女のそばに行かねばとエリザベートは常に二人が見えるよう、移動していた。
そのエリザベートの目が怪しい集団を捕えた。怯えて嫌がる素振りの令嬢二人を他の令嬢が取り囲んで、会場を出ようとしていた。別の出口からは令息が五・六人同じように出ようとしていた。
止めなければとエリザベートは思った。間の悪いことにバードレッド嬢が王太子夫妻に挨拶しようと動き出した。
エリザベートは迷った。そして決めた。バードレッド嬢へは謝罪すればすむ。だが、あの二人の令嬢の名誉は取り返せない。エリザベートは彼らを追いかけた。
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