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雲みたいな

作者: タマネギ

久しぶりに雲がある。

日が緩くて見上げられた。

海まで行ってみようか。

雲みたいな暇見つけて。


いや、海に行った頃に、

雲は解けてしまうだろう。

照りつけ直す日差しに、

逃げ出すことにもなる。


七月の七夕の頃には、

日差しはもう危なくて、

八月になったなら、

危険が余計に胃を痛くする。


棲んでいる世界が、

自分の蒔いた種一粒で、

どうにもならなくなる。

自分で刈り取れぬ種。


刈り取れぬ種には、

果てしない欲求があった。

人は増えて生きようとする。

性とエネルギーの争奪戦。


様々な発展を遂げれば、

素晴らしい種へと

変わってゆくはずだった。

その発展が悪性傾向。


長い長い時間をかけて、

世界は整えられてきた。

そこに死の恐怖が現れた。

今となっては生命の蹉跌。


とても賢くて、器用で、

わりと強くて、しぶとい。

でも何故か満足だと感じる

能力や感性は退化した。


いつしか危険となる

悪性の発展の道は、

必然だったのかもしれない。

そう仕向けられたようだ。


この為す術の無さを

諦めの境地を、何かしら、

夢や希望を持とうとして、

生きてゆくことになる。


雲みたいな、風みたいな、

どこか、捉えどころのない

愛や優しさを求め続けて、

そのまま死ねたらいい方か。


努力が報われることも

時にあるにはあるのだし、

それで良い、それが良い、

それで充分だと感じたい。


久しぶりの雲の向こう、

台風が彷徨いていた。

その風に車が飛ばされて、

家が飛ばされている。


それほどの台風を

人は目の当たりにする。

理由をわかっていながら、

為す術のない時代。



昨夜は畑の野菜佃煮。

豆腐だけ買ってきて、

梅干しと一緒に漬けた

紅生姜とご飯で美味かった。


若い頃には物足りないと、

夜中にお湯を沸かしたが、

それも無くなった。

眠れて、お腹の調子も良い。


満足できることは

ありがたくて、嬉しい。

この能力と感性を、

潤沢に得られますように。


雲みたいな思いつきで、

書いてきた。書いている。

雲みたいだから、

浮かばぬ日は危険な晴れだな。

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