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子供向けのお話シリーズ

気付いたら足元に小さな子が引っ付いていた

作者: 日浦海里

足元に小さな子が引っ付いてた

手を広げたらまっすぐ立てない

生きてることすらおぼつかない


そんな子が空に手を伸ばしてる

おひさまの光を掴もうとしてる


まっすぐにひたすらまっすぐに


わたしのこの手は邪魔ではないか

おひさまの光をさえぎってしまう


となりのこの手も邪魔ではないか

抜ける青空が見えなくならないか


この頃の生長はあっという間だ

少し目を離せば見違える変化だ


吹けば折れそうな体つきだって

しっかり一人で立ち上がってる


それでもこの手は邪魔ではないか

この子の生長を邪魔していないか


まわりの手たちも邪魔ではないか

取り除くことはできないのだけど


空はいつだって青いわけじゃない

仲良しの雲がやってくる時もある

その時はおひさまは遠慮するのか

どこか遠くにいってしまうらしい

それでも二人が気になってるのか

時々雲と空の隙間に顔を覗かせた

おひさまの光がこぼれてくるから

そこにいるよと小さい子にだって

見つかってしまうしまつだけれど


雲は普段はおだやかに見えるから

抱えてるものが色々とあるらしい


滝のように落ちる土砂降りの雨は

溜まった気持ちが流れてるからと

となりのやつから聞いた気がする


こんな時は長い手の方が役に立つ

となりの奴らと皆で力を合わせて

雨から小さいこの子を守れるから


この子もいつかは一人で立つのか

足元についたこんな小さな幼子が


きっといつか立ち上がるのだろう

むかしわたしがそうだったように


あの頃のわたしを見守ってくれた

周りの人たちもこんな気持ちかと

足元を見て不思議な気持ちになる


溜まった気持ちを吐き出し切って

スッキリ白い顔の雲が流れていく


ため息なのか背中を押す手なのか

辺り一面に一陣の風が吹き抜けた


皆が一斉に広げた手で音を奏でる

小さな子も真似するように奏でる


こうしてまた一つ生きる術を知り

一人生きていけるように成るのだ


むかしわたしがそうだったように

大木の足元に生える新芽は

大木からするとどういう風に見えるのでしょうね

自分自身として映るのか

子供のように映るのか


子供のように映るとして

新芽を子供と感じるのは

いつの頃からなのでしょうね



気付けば幼子がいた

なんてシチュエーションは

お目にかかることはないかもしれませんが

自分を見上げる子供は

あなたが見下ろして見ているだけでなく

子供もまたあなたを見上げているのだと

忘れないようにして

見守ってあげられたらいいですね


周りの人々もみな、

見られているということも

忘れずにいたいものです。

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― 新着の感想 ―
[一言]  タイトルで、ホラーかと。  人間でも、木でも読めますね。  見守られる側と、見守る側。  両方を経験してこそ、ほんとうにわかるのかもしれませんね。
[良い点]  ぴしりと見事に。  描かれるのは親のような気持ちでも、絵本になりそうな。  親も一緒に読むのでしょうから、むしろいいかもしれませんね。 [一言]  語り手はもちろん、おひさま、空、雲…
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