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三國異聞~後主伝~  作者: 沙河泉
建安17年
7/23

益州からの使者

まぁあれだな。二人が俺にやれってことだからな。やるしかねぇんだよな。うん。


「殿。あまり気張らず」


「そうですよ。私らが後ろに控えてますから。何かあったら出ますんで、気軽に臨んでくださいな」


「おっ…おう…」


っかぁ…やるしかないか!



「しっかしあれだねぇ孔明」


「ん?なんです士元」


「もちっと早く来るもんだと思っていたんだがな」


「そう…ですね。確かに遅い…そんな気はしますが…。何れにせよ向こうから来たので、計画に支障はないかと」


「だな。あとは、殿の人たらしにかかってるな」


「人たらし…。仁徳と言いましょう。たらしはなんというか…」


「あはは。真面目だねぇ孔明は。っと。さぁて我々も位置につこうか」


「…ええ」



益州からの使者…か。確かあそこは、同族の劉季玉殿が治めている地だったかな。またそこを獲れとか言わねぇよな…。いや…孔明も荊州の時散々言ってきたし、士元もあれはあれで冷徹だからな…。ありえなくもない…か。


っと…俺らしくもねぇ…。難しいことを考えたせいで、少しばかり頭がいてぇや。そんなことよりもまずはご使者との面会。面会!


「おう。ご苦労さん」


「殿!お二人は中でお待ちです!」


「わかった。あっ!だいそれた事は言わなくていいぜ。俺が中に入って話をするからな」


「はっ!」


さぁて…鬼が出るか蛇が出るか…。



「いやぁ…遠路遥々よくお越しくださった!お疲れのところお待たせして申し訳ない!ささっ顔を上げてくだされ!」


ふむ…一人は文官。もう一人は武官といったところかな。何とも言えない二人組だが…。


「お初にお目にかかります。劉皇叔。益州から参りました法孝直と申します。隣におりますのは…」


「お初にお目にかかります。劉皇叔。孟子敬と申します」


「おぉ!孝直殿に子敬殿か。こちらこそお初にお目にかかる!漢左将軍。劉玄徳と申す。以後よしなに」


「「はっ!」」


法孝直は少しばかり厳しい性格というか…裏がありそうな性格っぽいな。孟子敬は、偉丈夫だが…なんとなく…なんとなぁく嫌な感じがするんだよなぁ…。まっいいか。


「して、此度は如何様な要件がお有りかな」


「はっ!我らが主、劉牧は漢中の張魯に常々頭を痛めております」


「そこで、同族であり戦経験も豊富な劉皇叔に援軍をお頼みいたしたく、馳せ参じた次第であります」


「ほぉ…。話によれば、季玉殿は曹操に扶けを求めに行ったそうだが?」


「ええ。初めはそうでした。然しながら、劉琮への扱いを我らが主に説いたところ、同族であり、荊州が戦火に巻き込まれた際には、蔡瑁らに謀られたにも関わらず、襄陽を攻め落とすこともなく。またご自身を顧みず、劉琦殿を保護された。同族を慈しむご仁徳をお持ちであり、戦への経験も豊富であると説いたところ、皇叔のお力を賜ることを決断されました故、御前に参りました次第です」


「なるほど…」


ほうほう…。孝直はよく口が回る。俺が情報を得ていないとでも思ったのかねぇ…。いや…そんなことはないか。子敬も微動だにしていなかったからな。問われることは承知の上ってことか…。だが…こいつ等の目的は何だ…?


「して…劉皇叔…」


「子敬殿。二つ返事で返したいのは山々なのだが、何分私の一存では兵を動かさずことはできん。皆に諮らなければならないからな」


「それは…そうです…ね」


「兵を動かすにも、糧秣の手配が必要となりますしね」


「うむ。さすが孝直どの。すまぬな子敬どの。相応の準備が必要であるからして…返事は…そうよなぁ…三日後にでもお伝えできれば良いかな?」


「はっ!では三日後にまた…」


「うむ。ただ、今日のところはこちらに逗留されよ。船旅とはいえ、お疲れであろう。誰か!」


「はっ!」


「益州からのお客人。法孝直殿と孟子敬殿だ。長旅でお疲れ故、湯浴みと床の準備を」


「はっ!畏まりました。では、お二人様、ご案内いたします」


「これは…何から何まで…過分なご配慮、痛み入ります」


「なんのなんの!お二人共、ゆっくりと疲れを癒やしてくだされ」


「「ありがたく」」


ふぅ…こんなんで良かったか?二人共安堵した様子…ではないが、来たときよりかは表情に硬さがなくなっていたからな。


「殿…お疲れ様でございました」


「いやぁ…あちらさん、相当殿に入れ込んでるね」


「ったく…孔明、士元。そろそろ教えてくれや。あの二人の目的を」


「それは…勿論…」


「殿が嫌っていることを求めに来てるんじゃぁないですかね」


「ってこたぁ…つまり」


「「益州の主に」」


「っかぁ…俺は同族の治める処を攻めたりしたくはないんだがな…」


「ですが、この荊州は…」


「足場としては、ちと不安定だからね。そろそろ地固めしないとねぇ…殿?」


「はぁ…。一先ずは、援軍として軍を出す!それを明日、皆に諮る。それでいいだろ?二人共」


「畏まりました」


「殿が決めることに、異論はないですよぉ」


はぁ…また心労が…。国は欲しいが、同族の治める地は何もしたくねぇんだよなぁ…。

次回は主人公視点に戻ります!

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