軍議
「軍議を始める」
「「「はっ!」」」
「孔明」
「はっ!…先ずは、雲長殿。曹賊の様子はいかがですか」
「うむ。彼奴らの動きであるが、南進の構えを見せておるからして、油断はできぬかと」
「畏まりました。監視、警戒の手を緩めぬよう」
「御意」
「では、益徳殿」
「おう。治安に関してだが、これといって目立つ賊は居ないな。まぁスリのような小悪党はよく捕まえるんだがな。なっ!子龍」
「ええ」
「…軍議の場ですので、他の方に話を振らぬよう」
「おっといけねぇ…」
「益徳。今後は気をつけるように」
「おおあ…殿。申し訳ない!」
「では…」
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粗方軍議、内政の話は済んできた。孫仲謀からの益州攻略への誘いは殷観の言う通りにしてのらりくらり躱している。向こうは向こうで、周公瑾を亡くしてるからな。まぁこっちにとっては好都合なんだが、人の生死ってのはやっぱ嫌なもんだよな…。それにしたって、ウチの阿斗は可愛いもんだ!なんだってもう自分で考えて行動してやがる!これからが楽しみってもんだよな!しかしだ…なんかいい報せはねぇもんかねぇ…。いつまでも仲謀との仲が続くか分からね…。尚香は…武張ってはいるが好い娘だからな。こんな爺でもいいってんだから変わってる。甘露寺でのあの仲謀の顔と言ったらまぁ…。っとなんだか考えすぎてる気もするが。えっと…今は何をしていたんだったけか。
「…!殿!殿!」
「うお!孔明!驚かせるな」
「申し訳ありません。然しながら、目を瞑ったまま微動だにされませんでしたので…」
「すまねぇな。おう。他に意見のあるやつはいるか?」
「すこし良いかな?」
「士元か」
「少しばかり気になることがあってね。孔明。そろそろじゃぁないかな?」
「…そうですね。頃合い的にはそろそろかと」
「だろうねぇ。殿。そろそろご準備なされませ」
「ん?なんだ?藪から棒に」
「なぁなぁ子龍。士元と孔明は何を待っているんだ?」
「さっ…さぁ…。某にはわかりかねます…雲長殿は?」
「拙者にも分からぬな…」
くぅ…俺もそっちに混ざりてぇ…。この頭いい者同士め!口だけじゃなく目でも会話してやがる!っかぁ…。俺も学があれば…っつうか、元直がいりゃぁ気安く聞けるのによぅ…。元直ーーーー!
「火急の要件にて。失礼いたします」
お?何やら報せがあるみたいだが…。
「おう!入れ!」
「はっ!」
入ってきたのは、下級兵…か。たしか、士元が派遣してた密使だったか?
「益州より法孝直殿および孟子敬殿が参られました」
「おっ!やっとだね。孔明これで…」
「ええ。そうですね。殿、お二人とお会いなさってください」
「孔明と私は、衝立の後ろに隠れてますんでね。二人と自然に会話してくださいな」
「おっ…おう…」
目端でまた雲長と益徳と子龍が話してる…。俺も仲間に入れてくれよぉ…え?早く?わかったわかったから!なんだよ…益州からって…。準備って…。