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不思議な出会い
「きゃぁぁぁ!ひったくりよ!誰かっ誰か捕まえてっ!」
二人で魚を食べていると、突如街中に響き渡る絹を裂くような声。
「──!あとさ・・・福。行ってまいります」
「うん。気をつけてね」
「直ぐに戻ります故、しばしお待ちを」
子龍がひったくり犯を捕まえに行った。まぁ彼の足であれば直ぐに捕まるだろう。
「もし・・・そこの君・・・」
「ん?ぼく?」
「ええ。ええ。こういう物に興味はございませんか?」
見せられたのは、一冊の書物。『山海経』と表紙に書かれたそれは、とても目を引くものであった。
「興味というか、目が引かれるね」
「そうでしょうそうでしょう!如何です?銭五でお売りいたしますよ」
「うぅん・・・」
「・・・また、機会がありましたらお声がけいたします」
「えっ?」
「あとさ・・・福。どうかしましたか?」
「今人が・・・」
「ん?誰も居ないようですが」
「・・・まっいいか。父上、次はどこに行きましょう」
「そうですね・・・」
「子龍?」
「あいやっ失礼。古市場に行こうか」
「はぁい!」
不審な人物との出会い・・・『山海経』か・・・興味はあるけれど。孔明にでも聞いてみようかな。