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孤独な8日目


 「ではこの間、葉山陸が田村雄太に殺された事件について話し合おうと思う」


 現在、田村の元クラスメイト達は王城の一室を借りて集まっていた。


 「陸···」

 「クソッ···」


 多くの元クラスメイト達は葉山が撃たれたことにショックを受け、所々で泣いている者もいた。


 「みんな、悲しむのは後だ。陸がやられたということは、田村は僕らも狙っているかも知れない。」


 そう言うのは斎藤俊太。クラスの陽キャの1人だ。撃たれた葉山の陽キャ派閥の一員である。


 「そもそも田村ってだれだ?」


 田村の名前が出てきたとき、多くのクラスメイト達が心の中で呟いた。どうやら雄太は元クラスメイト達に認知されていなかったようだ。


 とそこに1人が呟くように発言する。


 「あの···自分あいつ知ってますけど···」


 そう言ったのは山田。クラスの陰キャメンバーの1人だ。


 「自分も知ってる。」

 「···同じく。」


 どうやら一部のメンバーには雄太と交遊を持っていた者もいるようだ。

 

 「田村ってどんなやつだったんだ?」


 斎藤がそう訪ねると···


 「えーっと···。自分はよくアニメの話をしてたけど···」


 「自分はゲームの話ばっかりで···」


 「ミリタリー系のことをよく喋ってたかなぁ。」


 とあくまで個人の趣味がどうとかというレベルの話しかでてこなかったが···


 「そう言えば戦闘訓練が終わった後、バーン!っていう感じの音がきこえたよな。」


 「お前も?確かにあれは銃声っぽかったよな。」


 「じゃあ田村って銃を持ってたってことなの?」


 「そういうスキルなのか?銃召喚とか。」


 ミリタリー系、というところで葉山が撃たれたときの銃声についての意見が出てきた。


 「でもでも!私、鑑定っていうスキル持ってるんだけど全員のスキル見たとき、そういうスキル見てないよ?」


 と鑑定スキル持ちの女子が反論する。


 「じゃあアイツ、学校に本物の鉄砲を持って来てたってこと?」


 「ないわー。よく捕まらなかったねぇ。」


 だんだん議論がずれてきたところで斎藤が、


 「とりあえず、田村が銃を持ってるのは分かった。ただ、銃ということは、弾には限りがあるはずだ。防御スキル持ちかHPが高いやつを前衛に、仇を討ちにいこう!」


 と提案する。


 「陸の仇だ!」

 「絶対許さねぇ!」


 と、葉山と仲が良かった者はいうが、


 「なんでわざわざ···」

 「今は田村よりも魔王軍対策した方がいいのでは?」


 と、冷静に考える者もいたが、陽キャの中心であった葉山陸の存在は大きくほぼ全員が田村雄太討伐の為動き出したのだった。


 

 田村雄太視点



 一方本人はそんなことは露知らず、とある城塞都市にいた。


 「ほー。さっすが異世界。中世ヨーロッパしてるわ。」


 どうやら観光のようである。この世界は絵に描いたような典型的な異世界である。お決まりの冒険者ギルドからスラム街、果ては闇ギルドまである。まあコミュ障の雄太にはどれも縁のない代物だが。諦めよう。


 「ちょっと冒険者ギルドでも見て見ますか。」


 異世界と言ったらやっぱり冒険者ギルド、といういかにもな陰キャ特有の行動である。まあやっぱり気にはなるよねぇ。


 ギルドに入ったらすぐに「ここはお前みたいなガキが来るところじゃねえ!」っていうお決まりの問答があるに違いない!


 そう期待しながら冒険者ギルドに入ってみる。


 ガヤガヤ····


 なにやら忙しそうなギルド内部。何かあったのだろうか。まあ来たばっかりのギルドメンバーですらない自分には関係ないか。


 「あっ!君、ちょっと来て!ギルド長!条件に該当する人が来ましたよ!」


 と、入った所、ギルドの受付嬢に呼び止められる。


 (やっべ。そういや俺、追われてんだった!まずい!ばれたか!)


 雄太が内心そう慌てていると、階段からいかにもギルド長っぽいおじさんが降りてきた。


 「おお。確かに。君は条件にあっている。」


 (え、なに?条件?指名手配に条件?特徴とかじゃなくて?)


 雄太を見るなりそう言うとギルド長が雄太の近くにやってくる。


 「君、名前は?」


 ギルド長が名前を訪ねてくる。しかし指名手配されている雄太は本名を明かす訳にはいかない。どうしよう···。偽名をつかうか。···そうだ!


 「···スターリン。」


 とりあえず真っ先に考えた名前がこれである。しょうがないね!ネーミングセンスなんてないんだもん!とりあえず某社会主義共和国連邦の書記長になった。これはひどい。


 「ふむふむ。スターリン君といったかね。何故呼び止めたのかだが、現在魔王軍の攻勢によって戦える男は全員、軍に招集されたのだ。そのせいでこの町の周辺は魔獣が溢れかえっている。そこでまだ招集の年齢になっていない青年冒険者を募集しているんだ。」


 ギルド長がそう説明する。


 確かにギルドに入って以来、1人もおっさん冒険者を見ていない。だから絡まれなかったらしい。ちくせう。異世界転移してみたらやりたかったのに!


 「···それで?」


 「単刀直入に言うと、君には冒険者になってもらいたい。」


 ぶっちゃけた!このおっさんぶっちゃけたぞ!


 しかし冒険者か···。面白そうだな。魔王に会いにいくまでちょっと遊んでいくか。


 「···いいだろう。やってやんよ。」


 

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