孤独な7日目
どうもお久しぶりです。前回から2ヶ月も空いてしまいましたすいません。
チチチチチ·····ピーピー···
のどかな野原にさえずる小鳥の鳴き声。
のどかな平和の図そのものである。
しかしその平和は突然破られる。
ーーズドォォォォン!!!
野原に響く砲声。さらにエンジン音。ついでに馬と騎士の声。
「待て!この勇者殺しめ!」
「殺人犯め!」
馬鎧を纏った馬に騎乗しひたすら走る騎士達。
「面倒なやつらめ···」
追い掛ける騎士団に愚痴をつく田村雄太。彼は魔改造した三式中戦車を操縦しながらその砲塔を騎士団に向ける。
「どうしてこうなった···」
時は遡ること、六時間前。無事に城から脱出した。雄太は一夜を明かし、とある野原にいた。
結構草が柔らかくてよく寝られた。ラッキー。
「ふいー。よーく寝た。えーっと今···8時か。うーん追っ手は···来るかもなぁ。重要な戦力を1つ潰しちゃった訳だし。」
一応可能な限り城から距離をとった雄太だが、この世界では目立ちすぎるカルロベローチェの轍により居場所がばれる可能性は十分ある。
居場所がばれた場合、否応にも戦闘が勃発するため大勢の敵を相手にしなければならない。しかし1人で大勢の敵を相手にするのは中々厳しい。
カルロベローチェじゃあ火力不足だし。大人数の騎士団が相手じゃ分が悪いし。
「となると、やっぱ戦車かなぁ。中に籠ってればまず殺られないだろうし。でも乗員がいない。」
そうなのである雄太はスキル『負の対人スキル』と『圧倒的コミュ障』により、まず仲間を増やすことは不可能なのだ。あら悲し。
「こうなったらもう全部1人でできる戦車を作るしかない!」
···三時間後···
「できたどー!ふっはっはっはっは!圧倒的ではないか、我がチヌヌヌヌは!」
説明しよう!雄太のの言う『チヌヌヌヌ』とは、三式中戦車チヌを魔改造した戦車である!前世のゲーム『world of weapon』という小銃から戦艦まですべての兵器で遊べる三人称視点のゲームを元に作られた戦車である。
車内のキーボードとマウス、ディスプレイで主砲、機銃全てが操作できるという、まさにチート戦車である!なお彼のネーミングセンスはお察しである!
「まさか異世界でお気に入りの三式にのれるとは···ようし、早速乗ってみよう!」
雄太は車長用のキューポラを開け中には入る。中は多機能個室トイレ位の広さであり、正面にディスプレイ、操作レバー、椅子、の順になっており、後ろには缶詰やティッシュ、簡易トイレ等の生活必需品が積まれている。
でもさすがに簡易トイレは外で使おう。臭い中戦闘できる訳がない。···消○力でも作って置いとこうかな。いい臭いのやつがあったはず···
雄太がそうしていると、遠くの方向から何か音が近づいてくる。
····ドドドドドドド···!
どうやら追撃が来たようだ。無数の馬の嘶きと金属鎧が擦れる音が近づいてくる。
「流石王都の騎士団、ずいぶんお早いご到着のようだな。丁度いい。このチヌヌヌヌの餌食にしてくれようぞ···!」
雄太はゲスい顔をしながらそう言うが、『チヌヌヌヌ』のせいで全くかっこよくない。むしろダサい。
「いたぞー!勇者殺しの勇者だぁー!」
「リク殿の仇ぃ!」
やべ。さっさと乗り込んでっと。エンジン始動!
ドルルルルル···!
よぉうし!砲搭180度旋回!弾種、榴弾!
ヴイイイイイイィィ···ガチョン!
「発射!」タン!
雄太が勢いよくENTERキーを押す。
ーーズドォォォォン!
砲声とともに騎士団に向かって勢いよく榴弾が放たれる。
そして騎士団は···
「ぐっは!」
「お、俺の腕が!」
「···」
衝撃波で吹き飛ばされる者、腕が消滅したもの、物言わぬ屍に成り果てる者、様々な被害が出た。
「散開しろぉ!少しでも被害を減らすのだ!」
中には頭の回る者もいたが···
ズダダダダダダ···!!
砲搭上部についている機銃であの世へおさらばである。南無三。
しかし100を越える騎士団がまだ残っている。
「ようし!スキル発動!『弾幕スペルカード!』」
雄太はそう言って、キューポラから乗りだし、スキルを発動する。
「恋符『マスタースパーク』!!」
ズバァァァァァ!!!···チュドーン!!!
チヌヌヌヌの主砲の先に魔方陣が出現し、騎士団に向かって山をも吹き飛ばす威力の極太レーザーを打ち出し、文字通り騎士団を消滅させる。ついでに撃った方向にあった山を吹き飛ばした。
「···オーバーキルしすぎた···」