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黒く世界  作者: Hirororo
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合流

天へと迫る回廊の中でゼリエルは話を続ける。


「手筈通りなら上に着けばすぐに三人と合流する予定だ」


「素朴な疑問なんだけどエンダーは能力で生命維持をしなきゃならないほど危険な状態なのかい?外傷はそこまででもないみたいだけど」


「、、、すまない、その質問には答えづらい、そして今後もどんなに私の信頼を得ても答えることはないだろう」


想像より重い回答につまるがアラとゼノンが口を開く


「エンダーについて問い詰めるのは止めておこう」


「同感だ」


「僕もそうしよう、ならこれから会う三人はどんなに人たちなんだい?」


上手く話題を変えて話をしようと思ったがゼリエルの回答と同時に正面の扉が開く。

すると毎度の事ながら下の層とのかけ離れた街並みに唖然とする。

すると予定通り扉の少し先に三人の姿があった。

内の一人、女性にしてはやや高めの身長、肩まで伸びる白い髪は不思議なことにちらほらと黄色、黒と他の色が混じっている。


「ゼリエル、色々と説明してもらうぞ」


少し高圧的な口調、しかしそこには怒りの感情と言うより心配しているが素の性格からきつい口調になっているのだろう。


「納得のいく説明はできるぞアイマー」


アイマーと呼ばれた女性は薄手のコートを翻し、背を向けると歩き始める。追うようにゼリエル達はついて行く。


「ゼリエル、エンダーは常に最善の手段を選んでいるのは理解している、だが御前が付いていながらその被害はドウイウことだ?」


三人内の一人、190程はある長身の男が責めるようにゼリエルに問いつめる。

するとイロナシが今度は口を開く


「君がどういう立場なのかは分からないけど、あの場にいて状況が変わるとは思えないな、エンダーに負担をかけたことは認めよう、だが全員が最善を尽くしていた」


「君達がゼリエルとエンダーの選んだ仲間か、、私はゼリエルとエンダーの信頼を疑うようなことはしない、だが一つ否定しよう、私がその場にいればそのようなことには決してならない」


堂々と言い張るとイロナシはさらに言い返そうとするがゼリエルに視線で止められる。


「アシュベルト、この三人がいなければ私もエンダーも危うかったのだ、だが確かにお前がいれば状況は変わっただろう」


「ゼリエル!?ほんとにそう--」


「落ち着け、私達が言い争う事に意味などない、エンダーの元に信じ寄ってきたもの同士だろう」


「その通りだゼリエル、、後ろ指は不要だ先の言葉は取り消そう、私はヴァンテン・アシュベルトだ、宜しく頼む」


真っ直ぐと目を合わせ微笑む長身の男、艶やかな黒髪をゆらし、漆黒の分厚いコートから手袋を着けた手をヒラヒラと振って見せる。


「ああ、僕はイロナシ、よろしくね」


「覚えておけイロナシ、私達の中で最も強い男だ、前の女がフラベラ・アイマー、そして--」


紹介しようと手を向けると最後の一人、アシュベルトもそうだがそれ以上に露出の少ない厚手の服に身を包み、奇妙な仮面を着けた男が自分から話し出す。


「バイセル、ただのバイセルだよ、よろしくね」


「私はアラだ」


「俺はゼノン・ハウルス宜しく頼む」



各自が自己の紹介をちょうど終えた所にとある集団が前を塞ぐ


「まあ、神廻階を使えば集まることはわかっていたがこんな町中でよくもまあズラリと、、」


正面には見覚えのある制服に身を包む集団、そして集団の背後には隻眼の巨大な兵器が数台並ぶ


「機械兵隊まで来るとは、、四人は下がっていてくれ」


身構えるゼリエル達に抑止を促すと三人はゆっくりと前にでる、


「機械は私とバイセルが相手しよう」


「了解した」


アシュベルトはコートの前を外し分厚く太いナイフともう片手には細身の長剣を構え前に進む。


「銀雪」


アシュベルトが呟くと辺り一帯の気温が急激に下がり、うっすらと白く濁る。


アシュベルトが前に駆け出し、集団の中に剣とナイフで突っ込んでいくと奇妙な光景が広がる。

集団は全員が違和感を覚える程反応は遅く、アシュベルトの接近に対しワンテンポ遅れた対応をとる、そしてそれだけではなく驚く事に首や胸をアシュベルトに貫かれるものは明らかに遅れて反応し叫び出す。


「なんだ?どうなってるんだ、、」


「あれがアシュベルトの能力だ、自身を対象に半径20メートルの範囲で任意の相手の視覚から脳への連絡を0,5秒遅らせる」


集団達は成す術もなく切られたことにすら気づかずに次々と倒れていく。


「とんでもない能力だね」


「そうだが、そもそもアシュベルトは剣の腕は確かだ、あのエンダーが純粋な剣技では勝てないと認める程だからな」


すると巨大な兵器が今度はアシュベルトに向かって剣を下ろす。


「おっと、お前の相手はこの私ではない」


ナイフをしまうと兼を両手で握りしめ、力強く振り払うと兵器の巨大な剣を弾きとばす。

すると突如横から巨大翼を持つワイバーンが現れ兵器を押さえつける。


「あれはなんだ!?どこから、、」


突如現れた怪物に身構えるアラとゼノン、落ち着かせるようにたまゼリエルが説明をする。


「まあ、あれは特別異質な能力なのだ、あれはwhite kilr、アイマーの能力により産み出された生物だ」


「隷属する生物を産み出せるのかい!?」 


「そうだ、だが、アイマーの能力は細胞の操作だ、それは産み出すことも操ることもできる、その過程で生み出した生物だ、そしてエンダーを治す能力でもある、有りとあらゆる態勢をもつ細胞を作ることは即ち直せないものはないと言うことだ」


少し悩まし気な表情で続ける。


「だが、考えてみろイロナシ、自由意思をもつあれほど巨大な生物を生み出し、それを操作し維持するなど、、、その負担は想像も出来ん、仮に脳が焼ききれてもおかしくはない」


「white kilr,破壊しろ」


アイマーの命令を受けたとたんに複数の棘のような腕を突き刺し、強靭な金属の素体の兵器を貫通し完全停止させる。


一方バイセルは何があったのか、巨大な兵器に一方的に攻撃を受けている。だが驚く事にバイセルは一歩も動かずに全ての攻撃を微動だにせずに受けている。それどころがバイセルに叩き付けられている兵器の巨大な刀の方が壊れ始めている。


「脆いな、そんな硬度ではこのバイセルにかすり傷一つつけられない」


「イロナシと似たような事をしてるのか?神遊機兵の硬度は私以上だぞ」


「アラの言う通りだ、だが全身の硬質化においてはバイセルは最上級だ、一切の攻撃を受け付けない不死身といっても言い」


新たな三人の力により神の兵達を殲滅していると、アイマーにメモ用紙を渡される。


「ここは問題ない、今のうちにその場所で先にエンダーを安静に頼む」


「大丈夫だと思うが無茶はするなよ」


「私は無茶などしていない」


「能力を使う度に鎮痛剤を過剰投与するのは無茶と言わないのか?」


「命に別状はない許容量だ、過剰でもなければ支障もない、早くエンダーを連れていけ」


「わかったわかった、アラ、イロナシ、ゼノン、ここは任せて先にその紙の場所に行くぞ」


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