音階部の個性的メンバー達
音階部の話を娘にする日が来るなんて、嬉しいわ。
「あのね。高校生だった頃、お母さん、音感高校に通っていたの。音感高校は、
音楽を大切にしている学校で、合唱・吹奏楽部はもちろん。音楽関係の部やクラブが
たくさんあったのよ。その中で、お母さんがひときわ引き寄せられたのが、音階部。
お試し入部もできますって書いてあるから、お母さん、行ってみたの。そしたらね、「この部は、
音階の音が、名前の最初に入っている人だけが入部できる特別な部です。」って、部長と名乗った
女の子が言ったの。「名前を教えて下さい」って言われて、「絵山ソラです」普通に言ったの。
そうしたら、その部長の子、「入部可能です!ドレミファソラシドの中の「ソ」が名前の最初にきて
いるので、是非、入ってください!!!」って、凄い勧誘してきたのよ。思わず笑いそうになったわ。
「もちろん、入らせてください」そう言って、その日から音階部部員になった。
最初はやっぱり、部員の紹介から始まったわ。円になって、私から時計回りに六人が挨拶したの」
『ドーナ』
「ワタシはドーナって言いマス。フィリピンから来た、留学生デス。日本語をモット上手く喋れる
ように頑張ってマス。ソラ、よろしくネ」
『礼斗』
「僕、礼斗。お礼の礼に、北斗七星の斗って書いて礼斗っていうんだ。僕、ギター弾くの得意なんだ。
だいたいの曲は弾けるから、よければ言ってね。これからよろしくね」
『未果』
「私は未果です。楽器の中で、ピアノが一番好きなの。合唱部でピアノ担当しようかと思ってたら、
ここの部長に拾われて、ここにいます。これからよろしくお願いします」
『ファンタ』
「僕はファンタって言うんだ。アメリカから来た、留学生。ジュースのファンタじゃ、ないからね?
あ、日本語が上手なのは、生まれたのはアメリカだけど、すぐに日本に来たからなんだ。よろしく」
『来斗』
「僕、来斗。礼斗の弟。僕、歌うのが好きなんだ。でも男だから、あんま高い声は出ない。合唱部に
入ろうか迷ってたら、ここの部長に拾われて、入った。これからよろしくね」
『詩織』
「詩織です。ここの部長を務めてます。分からないことがあったら聞いてね。私は合唱が好きで、
ソプラノが一番得意なんです。よろしくお願いします」
「それで、部員全員の自己紹介が終わったの。三十分くらいだったかな・・全員終わるまで」
詩織「じゃあ、ここの部でいったい何をしているのか、説明しますね。この部では、それぞれの楽器や
歌声に自信がある、または得意である。けど、きちんと部活に入ろうか迷っているという人が
いる部です。例えば、未果。本当は歌も歌いたいって思ったけど、実際の合唱部のピアノ担当は、
歌うことはなくて、とにかくピアノを弾くってコトが分かった。両方できないなら、いいや。
そう思っていたことを打ち明けてもらい、私はこの部に誘いました。こういう人たちがいる部です。
ソラさんは、キーボードが得意なんですよね?けど、吹奏楽部には入れない。でも、音楽がしたい。
この部に入るには十分な理由です。こういう人たちで、月に三回、自分達の得意な事をあわせて、
発表しています。これから頑張っていきましょう!!」
「はいっ!!!」
「その日から、お母さんはキーボードを沢山練習したの。レナ。あなたも音階部に入ったんですってね。
だからこの話をしたの。どうだった?」
レナ「面白かったよ。私も入れる?」
「もちろん、入れるわよ。だって、レナの「レ」は、音階に入ってるじゃない」
【完】
お母さんから音階部の事を聞いて、より音階部に入りたくなった!