#6 佐藤宏の場合
子供の頃から面白い面白いみたいに言われて育ってきたし、面白ければ他は何も気にしない。
佐藤宏という何処にでもいる名前で苦労してきたけど、そんなの笑い話に変えればどうにでもなるし。
歯医者とか病院とかで名前呼ばれることとかあるけど、同姓同名の人がいるときとか本当に困る。
同時に立ち上がってアッてなるし、名前以外で判断しないといけなかったりするからスムーズにいかない。
俺は基本、仕事は断らない。テレビに出るためだったら何でもするし、ウケるんだったら何でもする。
だから格闘技の試合の解説も引き受けたが、俺はバカだから、間違われていることに始まるまで全く気が付かなかった。
元世界チャンピオンに同姓同名いたことは知らなかったし、話をよく聞かないタイプだから、どの格闘技の世界チャンピオンかも未だに分からない。
漫才やコントが大好きでお笑い芸人になった訳で、ずっとお笑いにしか興味がなく、格闘技の知識があるはずもない。
だから適当に解説して、能天気に予想したりしたが、アドリブ力とか演技力とかは25年売れない芸人やらせてもらってるので自信があった。
適当に言ったら当たったし、本当の元世界チャンピオンもこんな感じだと思うから違和感は無かったんじゃないかと思ってる。
適当発言が当たるのは、格闘家がパンチやキックを適当に打ったら当たったみたいなもんだろう。
同姓同名の苦労だけではなく、全ての苦労は笑い飛ばせばいいのだ。
過去に何があったとしても今を全力で生きるんだ。
あのキックばかりしてた選手、どこかで見たことがある気がするが、別にどうでもいい。