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修行編、前編

 アランは強かった。とてつもなく強かった。


 天龍山脈の魔物は決して弱くない。


 LV50平均だ。


 時には鑑定不能な強さを誇る魔物もいる。なのにアランはその魔物たちを一方的に蹂躙しながら進む。


 魔物達が襲ってきては杖を一振るいすれば魔物は消し飛び、一振るいすれば入れ歯が落ち、また一振るいすれば魔物たちは消し飛んでいった。パーティになっていないので僕らには経験値は入らない。


 アイリスがお願いしたら「LVは自分で努力してあげてこそ意味がある。」と言われてしまった。


 ごもっともです。


 アランは重力魔法の他にも見たことがない光魔法や雷魔法なども使っていた。これについては使えるものは限られるらしい。

 詳しくは今は教えてもらえなかった。


 2時間ほど森や山を進み、天龍山脈の谷底に、小さな可愛らし家が建っていた。


 僕らはアランに促されるまま家に入る。


 そこには見た事のない本や、魔道具などが乱雑に置かれていた。


「いやぁアランさん本当に使ったね!!アイリスびっくりだよ!!ちょこちょこ入れ歯が落ちてたけど」

「ふひゃひゃひゃ!!そりゃそうじゃ!!わしは王国一の魔導士じゃからのう!。あと入れ歯の件はほっとけ」


 入れ歯、気にしてたのかな……?


「でもそんなお方が何故、このようなところに?」

「エリザベスじゃたか?儂は今はただのジジイじゃ。丁寧な言葉ずかいはいらん。儂はな、魔法が好きなんじゃ。じゃが城にいては、魔法の使いどころといえば戦争が主じゃ。儂はの、魔法とは生活に役立てるものだと考えておる。文明を発展させるものだと。じゃからあそこでの生活は合わなかったのじゃ。だから人は誰も来ぬここで余生を過ごしていたのじゃ」


「でもなんであんなところにいたんですか?」


「それは儂かてたまには人と話したくもなるし、物が買いたくもなる。主に食料じゃな。ここでは肉は手に入るが野菜がなかなか育てるのが大変での。じゃからたまに里に下りるんじゃ。まぁ今回はウィルがうまいものを食わせてくれたからもう満足したがな」


 人のいない魔物の巣窟で余生を過ごすとは、なかなか変わった人だ。


 早く人のいる場所に行って入れ歯直した方がいいと思うのだが。


「いくつか質問いいですか?川におぼれた時頭のの中に声が聞こえた気がしたんですが、あれは魔法なんですか?」

「あっ、それアイリスも聞こえた」

「私もよ?」

「ん。私も。ウィルの声じゃなくてがっかりした」

「確かにご老人の声だったわね」


「フン!!ジジイの声で悪かったの!!あれは「念話」スキルじゃ。魔力を通して会話ができるスキルじゃよ」


「念話!!??かっこいい!!教えて教えて!!」

「ふひゃひゃひゃ!かっこいいじゃろう?お主もなかなかロマンがわかっておるんの。じゃがあれを使うにはまずは「空間把握」スキルが必須じゃな」


「空間把握というとあたりの物が見ないでも感じられるスキルということ?」

「でもそれじゃ「気配察知」スキルと変わらないんじゃ?」


「ふむ。お主らなかなか頭が回るようじゃのう。いいか?「気配察知」は周囲の動いたものが、魔力の波となって風が体に当たるように、魔力で感じることのできるスキルじゃ。一方で「空間把握」スキルは自分の魔力を広げ、その中にある物の動きや形を細かく手に取るようにわかるようになるスキルじゃ」


「なんかエッチなスキルだねぇ」


「ふひゃひゃひゃ!!儂も最初はそう思って習ったんじゃが、魔力を帯びた人間は大体の形はわかるが手に取るように、というわけにはいかん。それに感触まではわからんしな。それでもまぁ胸のサイズくらいはわかるぞ?」


 何それほしい。

 セクハラスキルですやん。



「まぁまずはそこにある玉に魔力を流してみなさい。それによって魔力の色がわかる」


「「「「「魔力の色?」」」」」


「うむ。人には魔力の色がある。それによって得意、不得意の魔法が何かわかるのじゃ」


「不得意なんて物があるの?」


「ある。人の性格が千差万別あるように魔力にも違いはあるんじゃ。まぁとりあえずやっってみなさい」


 アランは魔法の水晶玉をテーブルに持ってくる。

 特に変わった様子のない透明な水晶玉だ。


「じゃあまずはアイリスからね!!ちちんぷいぷいぷい!!」


 なんだその呪文は?


 アイリスが魔力を流すと水晶は赤褐色に輝く。


「おぉ!!なんかファンタジー!!これは?」


「ファン?まぁいいか。それは火魔法と土魔法が相性いいのじゃ。逆に風や水魔法はあまり相性が良くないの。」


 六芒星みたいなものなのかな?


「火だね!?ファイヤーだね??帰ったらさっそく覚えてみるよ!!」

「ひゃひゃひゃ!そうしてみい。ほれ、次いかんか次!!」


 次はクリスがやってみる。


「ちちんぷいぷい」


 すると緑色に輝きだした。



「ほう。やはりエルフじゃな。風魔法がとくいのようじゃ」

「ということは土魔法が苦手ということ?」

「うむ。そうなるの。あとは水とも相性が悪くない」


 クリスは風と水か。


「ん。次は私。ちちんぷいぷい」


 エリーゼが手をかざすと黄色く輝く。

 それやんないといけないのか?



「おぉ!!光魔法じゃな。一点の曇りもない光じゃ。お主は光魔法のみを鍛えた方がよい。とても相性がいいみたいじゃから変に浮気せん方が光魔法の質が上がろうて」


「ん。わかった。そうする」

「ひゃひゃひゃ!素直ないいお嬢さんじゃ。ほれ次!!」


つぎはエリザベスが手をかざす。

「ちちんぷいぷい」



すると水晶は赤、茶、黒、青、緑、黄色、順番に輝きだす。


「……なんと。お主は天才の類じゃったか。ここまでとは。これは全属性適性ありじゃ。何してもうまくいく」

「あらそう。まぁだと思っていたけれど」

「ふひゃひゃひゃ!!言いよる!!これが出たのはお主で2人目じゃ!!本当に珍しい。さぁ最後じゃ」


 なんかだんだんハードル上がってません?

 エリザベスの後はやりずらいなぁ。


 僕が手をかざすと金色に輝きだした。


「言わんのかい。ほう儂と一緒じゃな。これまた珍しい。」


 お前が突っ込むのかい。でも良かった。ハードルは越えられたみたいだ。これで光りませんでした、ってなったらどうしようかと思った……。


「これは光魔法の上位じゃな。お主には雷の素質があるようじゃ。それと火と風もな」


僕の胸が高まる。

雷ですって奥さん。

ロマンですやん。


「じゃが雷は習得するまでに厳しい訓練がいるが。どうする?やってみるかの?」

「もちろんです!!」


 即答する。断る理由が見当たらない。


「ねぇアラン。黒色ってなんの魔法?」


「……うむ。黒は闇属性じゃ。」

「「「「「闇?」」」」」」


「闇属性とは上位魔物がたまに使ってくる魔法じゃ。相手の精神を操ったり幻覚を見せたり。じゃが人間で使えるものはいないじゃろう。もうはるか昔に失てしまった、いわゆる古代魔法の一種になるのかのぉ」


 なんかかっこいい名前が出てきた。ここに来てから僕はわくわくしっぱなしだ。


「古代魔法って他には何があるの?」


「そうじゃな。重力魔法は古代魔法じゃぞ?儂が昔の文献から読み解き、復元したのじゃ。雷魔法もな」


 アランさんすごいな。


「他には知らん。あるかもしれんがな。後は独立魔法や精霊魔法なんかなら知っとるが」


 またすごそうな名前が出てきた。


「できれば両方お聞きしたいですね」


「まぁよかろう。独立魔法はいくつかある。召喚魔法、死霊操作魔法、龍化魔法、獣化魔法なんかがある。独立魔法の特徴としてはその魔法を一度覚えると、他の属性魔法が使えなくなる。じゃが龍化なんかは火を噴いたり風を叩きつけたりと種族特有の強力な魔法が使用可能になる」


 一つしか使えない。故に独立魔法か。確かに人間が龍の力を手に入れたらとても強くなるだろう。しかしデメリットも大きいみたいだな。


「そして精霊魔法。これはエルフにしか使えない魔法じゃ。精霊と仲間になり、魔力を精霊に渡し、自分の代わりに魔法を発動してくれる。精霊魔法にも謎が多い。詳しく知りたければエルフの里に行くのがいいじゃろう」


「エルフの里は今度行くよ。とにかく今は早く雷魔法早く教えてください!!」


「ふむ。まずは今日はいい時間いじゃ。今日は泊っていいから明日から修行に励むとしよう」


 まぁ、そうだよな。

 今日は帰ろう。


 こうしてこの日はダイブアウトした。




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