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谷底にて

「おに~ちゃん~!!何とかして~!!あ~~れ~~。」

「下に川があるわ!!何とかなるんじゃないかしら?」

「ん。ウィル。最後に抱きしめて?」

「下に岩があったら私たちぺしゃんこね。」


 皆溺れてる最中なのに意外と余裕だなあとエリザベス止めてね?それシャレにならないから。


 現在僕たち落ちてます。


 現在僕たち落ちてます。


 山と山の間にある谷に落ちてます。


 天龍山脈の谷底ではありません。

 ただの山の間に落ちてます。


「あのクソ猿ただじゃおかブォフォ!!」


 冷たい川に落ちました。とても寒いです。とても流れが早いです。


 泳ぎスキルが役に立ちません。


 取り合えず頑張って一緒に流されている、何故か楽しそうに流されているアイリスと、すでに諦めて目をつむって流されるクリスを回収、僕に抱き着いてなんか幸せそうなエリーゼとそれに嬉しそうに抱き着くエリザベスはそのままほっとく。


 一瞬水から顔を出すが掴めるものが何もない。行きつく場所がどこかも分からない。ゲームなのに苦しい。

 何でこんなとこまでリアルなんだ。やば、意識が……。


 掴まれ!!


 頭の中に声が響く……。


 とっさに手を伸ばす。すると何かに捕まり……僕らは空を飛んでいた。


「ッッふん!!」


 僕らはそのまま近くの谷底にある陸まで運ばれる。


「げほっげほっ。いったい何が」


 僕は辺りを見渡す。


 そこには幸せそうに眠るみんなと……一人の老人がいた。黒いローブを着て木で出来た杖の先には大きな赤い宝石が一つついていた。


 明らかに何かの達人だ……。放つ魔力がそれを物語っていた。


 老人はこちらをじっと見て見定めているようだ。


 ……。


 数秒の時間が長く感じ、僕は息を飲む……。


「……ふあdhfはうdhふぁ?」


「……は?」


 なんて言ったの?全然聞き取れない。もしかして人間ではないのか?


 カプリ。


「おぉ!すまんすまん!!入れ歯を入れ忘れて追ったわい!ふひゃひゃひゃ!!」


 ……ただのボケた爺さんだったようだ。


「しかし、お主らはこんなところで何しておる?自殺願望者か何かふぁ?あ、いrふぇううwwf!!」


 入れ歯が落ちて最後が聞き取れなかった。この爺さん大丈夫か?というか自殺願望者に自殺願望者か、なんて聞くか?普通。


「えっと……。まず初めに助けていただきありがとうございました。僕は流れ人のウィルです。そこで寝てるのは、アイリス、クリス、それからエリーゼに、エリザベスです。先ほど助けていただいたのは魔法ですか?」


 入れ歯を拾いウォーターボールを宙に浮かせ維持し、入れ歯を洗ってから口にはめている。

 そんな使い方すんのかい。


 しかし只者ではないことはわかった。魔法の維持はとても大変だ。身体強化のような元々維持するためのスキルと違って、放出する魔法は無意識のうちに飛んで行ってしまう。


 というか魔力がどんどん流れて行ってしまい、火薬に火をつけた砲弾のように飛んで行ってしまう。


 それを維持しているということは、魔法のコントロールがとてつもなくうまいということになる。ましてや入れ歯を洗うために使うとは……。


「ふむ。流れ人か。初めて見た。お主、もしかして。」


 なんだ?獲物を狙う目つきになった。まさか、流れ人を嫌っているのか?


「何か食べ物を持っていないか?先ほどの魔法で腹が減てしまっての。助かたお礼によこさんか?」


 ただのたかりだった。



「おぉ!!このシチューはうまいのう!!ようやった!!」


 なんか褒められた。老人ががつがつ食事にありついていると、皆が起きだした。


「あれ?ここは?」

「う~~ん。お兄ちゃんおはよー。あれ?死に戻りしてない?」

「ん。でもHPは残り一割しかない。あとお姉ちゃんじゃま」

「あっ!ちーちゃんもうすこし~!!」


 エリザベスは起きてたな?エリーゼがすかさずエリアヒールをかけてくれる。


 僕はここまでの状況を話す。


「そうだったんだ!!おじいちゃんありがとね!!」

「ありがとうございました」

「ん。ありがとう」

「助かりました。……えっと。お名前を聞いても?」


 食事を終えた老人は満足そうにする。


「儂か?アランというただの老人じゃ。儂からも質問いいかの?こんなところで何をしておった?見たところ川で遊んでいたわけではなかろう」


 僕らはここに来た目的と経緯を話す。


「なるほどの。フィリア様が。確かにおるの。」


「えっ!?知っていいるんですか?」


 アランは情報を知っているようだ。


「……ふむ。お主らから悪い魔力は感じられんし、食事をくれたいいやつらじゃ。教えてやろう。儂こそが、元王国筆頭魔導士にして天才魔道時のあづしゅsdg!!あ、いすfgしfss」


 肝心なところで入れ歯を落とした元筆頭魔導士殿。


 ボケて言ってんじゃなかろうか?


 だが先ほどの魔法の正体はやはり重力魔法だったか、やけに体が軽く感じ、周囲の水も一緒に持ち上がっていたからな。

 

 範囲指定して使うたぐいの魔法か?


「ふむ。おしい。範囲的に使ったのではない。が、先ほどのは重力魔法であっておる」


 は?

 心を読まれた?


「そうじゃよ。皆が考えた通り心を読んだんじゃよ。どうじゃ?わしのすぎょしょうあほうd?」


 儂の何だ?


 入れ歯合ってないんじゃないかな?


「あの。僕らにその魔法を教えていただくことはできませんか?」


 僕のお願いにアランの顔つきが変わる。


「……何故学びたいと思うんじゃ?」


ーーーーーーーーーー

・クエスト【アランを説得しよう】


アランの質問に慎重に答えよう!!


1、この世界を守るためだ!!

2、重力魔法ってかっこいいじゃん?

3、強くなるためだ!

4、うるせぇジジイ!!いいから教えやがれ!!

5、道行く女の子のスカートを気づかれずにめくるため。

6、空が飛びたいんだ!!LET`S  I  CAN FLY!!YOU CAN FLY!!

7、自分の言葉で話してみる。


ーーーーーーーーーーー


 久々の選択肢だ。5は僕も考えた。確かに魅力的だ。


 ……だが7を選ぼう。


「‥‥…理由は二つあります。一つは強くなるため、これが一番大きいです。力がなければ大切な人を守れない。出会った人々を守れない。そして世界を救えない。そうなれば僕らがこの世界に来た意味がない。それがフィリア様が僕らをこちらに送り込んだ理由なので。」


「……なるほどの。どれでもう一つは……?」


 僕は爺さんあの背中を思い出す……。


「……もう一つはロマンの為です。魔法がない僕らからしたら魔法はロマンなんです。人生は冒険。旅はロマン。僕は大事な人からそれを教わりました。そして僕は心に誓いました。この世界と真剣に向き合おうと。そしてロマンを追い求めようと」


 アランは真剣に僕の顔を見る。


「他のものも同じ気持ちのようじゃな。ふふ。ひゃひゃひゃ!ロマンか!!そうじゃ!!魔法とは力でありロマンじゃ!!それがわからんアホが多すぎる!!実に愉快愉快!!


ーーーーーーーーー

・クエスト【アランを説得しよう】クリア!!


・報酬

アランの弟子入り


ーーーーーーーーー


 弟子入り?


「気に入った!!お主らに魔法をお教えてやろう!わしの家に来い!!」


 どうやらうまくいったようだ。


「いやー久々に同士とあったわい!!まさか重力魔法でスカートめくりを考えるものが他にもいるとは!!」


 それを言うんじゃない!!


 ぞくっ。


 背筋に寒気がはしる。


 冗談だからね?

 ほんとに冗談だからね?


 一瞬の気の迷いだからね?



 こうして僕は皆に睨まれはしたが、無事重力魔法の教えを乞うことができたのだった。。



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