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じゃぶじゃぶ温泉、後編




「ほんと男ってバカ」

「あははは!!全部丸聞こえだったねー!!」

「ん。私の体はウィルのもの」

「まぁこそこそする人たちよりは好感が持てるわね」


「「「「「「「「ごめんなさい。」」」」」」」」」」


 ここは大広間。


 これからみんなで食事タイムだ。


「おう!!来たぜ!!」

「「「「「「「こんにちマッスル!!」」」」」」」


 「鋼鉄の騎士団」の登場だ。

 彼らは土曜出勤の人がいたとかで途中からの合流となった。


「ガッハッハッハ!!そんなことがあったのか!!楽しそうだな!!」


「ちょっと。その年で覗きなんて犯罪よ?」

「まぁその年じゃなくても犯罪だけどね」


「ガッハッハッハ!!そうだな。かみさんに怒られちまう!!」


「「「「「「「「「かみさん!!??」」」」」」」」」」


「おいおい俺はもう34だぜ?妻の1人や2人や3人はいるぞ?」


「「「「「「「3人も!!??」」」」」」」」」」」


 ドンは妻子持ちだったとは……。

 まぁ年齢を考えたら普通なのか……。


「子供だって6人いるぜ」


「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」」」


 もう言葉も出なかった。確かに重婚が可能な世の中だが……。子供までいたなんて。


 でもいいお父さんなんだろうな。


 暑ぐるしいけど。

 子供とか大事にしそう。


 暑ぐるしいけど。


「この裏切り者!!リアルハーレム野郎じゃないか!!」

「あんたは仲間だと思っていたのに!!」

「嘘をつけ!!こんな筋肉の塊に奥さんがいてたまるか!!」

「あ、そうか!!妄想か!!なんだよ仲間かよ!!」

「そういうことか!なら俺も5人の奥さんがいるぜ?」

「俺は3人だ!美人な社長秘書の!!」

「俺は一人だけだ!!11歳の!!」


 おい!!最後のダメだろ。


「いや、妄想じゃないぞ?ちゃんと美人な年下の」


「「「「「「「「やめろーー!!」」」」」」」」


 重症だなこいつらは……。


「しかし3人の相手をするのは大変だぞ?ウィルも覚悟しとけよ?」


 年長者が言うと言葉に重みがあるな。


「まぁ覚悟しとくよ。というか、もう大変だけどね。主に食事作りが」


「お兄ちゃんのご飯美味しいんだもん!!」

「そうね。あれを食べたら作る気なくすわ」

「ん。いつもありがと」

「大丈夫よ?ウィルは働かなくて。家にいてくれればいいの」


「ガッハッハッハ!!すでに尻に敷かれそうな感じだな!!」


 すでに敷かれています。



「皆様、お待たせいたしました。お食事の準備が整いました」


 おかみさんの言葉で食事が運ばれてくる。


 料理は和食のようだ。椀物に漬物、刺身にすき焼き。見た目だけならリアルの旅館と変わりない。


 しかし鑑定してみると、肉は突撃牛など、リアルじゃいない物ばかりだ。


 食事は好評で皆しばらく食事に舌鼓をうつ。


 そして「鋼鉄の騎士団」は酒も進む。



「それでな高校の時にいじめにあって、悔しくて見返してやろうって。そこで喧嘩の仕方を学ぶためにVRゲームを始めて体を鍛えるために漁船に乗ったわけだ」


 ドンの恒例の語りが始まった。


「そしたらそれが今では趣味になって。因みにいじめてたやつらは何年後かに会ったらあまりに筋肉がつきすぎていて、出会った瞬間、謝まってきたんだ!全て筋肉のおかげさ!!筋肉こそ至高だ!!」


「「「「「「YES!!マッスル!!」」」」」」」


「まぁそんなわけで、昔弱かった自分を育ててくれた漁船の人や、戦い方を教えてくれた先輩プレイヤーみたいに今度は自分が誰かの力になりたいと新規プレイヤーの教育なんかをやっているっわけだ。これが結構好評でな」


「まぁ人生何があるかわかんないもんだよな。あの時いじめられて打ちひしがれてた俺が、今では「先生」なんて言ってくれる奴もいるんだ。初めて言われたときは柄にもなく泣きそうになったなわな。あの時すべてを諦めて引きこもらなくて良かったよ……」


 時に叫び、時にしみじみと語るドン。

 オリバーから話は聞いていたが、やはり本人から聞く話は違って聞こえるな・・・。


「ねぇねぇ!!奥さんとはどこで出会ったの??」


「ん?一人目は船の船長の娘さんでな。仕事をしてい中出会ったんだよ。あとの二人はVRMMOの中でだな」


 ガタッ!!??


「「「「「「「その話詳しく!!」」」」」」」」


 「悪魔結社」が食いつく。後オリバーも。


 おい、リタが睨んでるぞ。いい加減、気づいてやれ。


「一人はパーティメンバーだったかな。旅をしているうちにそういう仲になってな。もう一人は新人教育をしているときの生徒だったはずだ」


「おい先生!!俺にも新人教育手伝わせてくれ!!」

「何でもするぞ!手取り足取り何でも教える!!」

「俺が今まで培ってきたものが、やっと役に立つ日が来た」

「長かった。ここまで来るのに長かった。」

「俺達にもやっと光が見えてきた。」

「攻略なんか後回しだ!!俺らの冒険はここにあったんだ!!」

「おお、神よ!!フィリア様よ。この純粋な私目にロリっ子を!!」


「いや、お前らまずまともに女に近づけないだろ。」


「「「「「「「うるさい、黙れ」」」」」」」」


「わ、悪い」


 こ、こいつら本気だ。

 オリバーが一言で黙らされた。


「ガッハッハッハ!!まぁ何でもやってみることはいいことだな!!せっかくの冒険なんだ!色々な冒険せずに何がAOLだ!!何が筋肉だ!!」


「「「「「「「いいこと言うぜ先生!!YES!!マッスル!!」」」」」」」」」


 確かにな。これまでも色々な冒険をしてきたんだ。


 僕らは爺さんの作ったこの世界を、何者にもなれる、この世界を冒険してきた。


 初めは小さな女神と共に一緒にゲームをして仲良くなったな。強くかっこいいギルドマスターのように強くなりたいと思い、情報屋に沢山の話を聞いてこの世界にどんどん引き込まれていった。


 怖かったクマさんと戦い、仲間と生きてる事に感謝した。


 リアルではできなくなった鍛冶職人という道を諦めず、この世界でやり「鍛冶神」とまで言われた人もいる。


 リアルではあまり機会のない釣りや、採掘なんかも楽しかったなぁ。


 沢山冒険してるな、僕達。


 人見知りを治すために、あえてこの世界に踏み込んだ女性。


 オオカミと戦ったり大きなタコと戦ったり。


 試練の塔では勝負に負けちゃったけど。


 アイドルを目指し頑張る少女、筋肉を鍛え色々なことに挑戦するおっさん達。うるさいけどいつも全力なコント集団。


 恐竜にも会ったり、仲良くなったり。


 温泉に入り、桜を見ながら仲間たちと美味しいご飯を食べる。


 全てAOLのおかげ……いや、きっかけをくれたのは確かにこの世界だけど冒険をしてるのは僕たち自身なんだ。

 自分たちが主人公で、日々が冒険なんだ。


 どの道に進もうが自己責任。だけど真剣に何かに打ち込めば、気づけばこんなにも周りには仲間があふれるものなんだ。


「仲間は大切にしなさい」


 ジィジの声が聞こえた気がする。


 ……ちゃんと大切にしてるよ。

 友達100人できた、とはいかないけど、確かに大切な仲間はできたよ。



 ……この世界をやっぱりジィジにも見せたいな……。

 皆を紹介したい。

 ここの素晴らしさを伝えた。


「ねぇ、皆。少しいいかな?」


 僕は明日必ずジィジを連れてくるかみんなでここでお昼ご飯を食べて、皆を紹介させてほしいとお願いした。


 皆は詳しくは聞いてこないが笑顔で了承してくれた。


 本当に気のいい奴らだ。


 彼らに感謝し、皆で騒ぎ、この日はこの宿でダイブアウトした……。



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