表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/218

チュートリアル終了

 さてさて、男らしい容姿にしてみようかと思ったが、僕はあまりそういったことが得意ではない。変に弄ったりしたら皆に笑われるのが眼に浮かぶ。かといってこの「噛み噛み女神」に男らしくしてくれと頼んでも上手く行く気がしない……。


 悩んだ結果僕は髪を白からグレー寄りの銀に、眼を青から黒にした。日本人らしい黒目は少しあこがれがあったのだ。次に、黒のボクサーパンツにスタンダードタイプの冒険者の装備にしてもらった。

 他にも短パンやワイルドな袖なし、魔法使いっぽいタイプや神官の様な服装などあった。


 次に種族の選択。

  ・人間ーーバランスタイプ攻守魔法などバランスよく取得出来るが器用貧乏になりやすい。


  ・エルフーー魔法特化に加え素早い。ただ力は弱く防御力も低い。耳が尖ってるのが特徴。


  ・獣人ーー力が強く素早い。防御力もあるが魔力が少ないのと放出系の魔法が使えない。耳と尻尾があり、犬、猫、狐、羊、狼、虎、ウサギ、クマなど様々あり、種類によって能力が異なり、武器が扱えないものもある。


  ・ドワーフーー力が強く器用。魔力が低く動きが遅いのが特徴。生産職に向いている。


  ・龍人ーー力が強く魔力も高い。防御力体力共に高いが動きが遅く不器用で生産には向かない。普通の魔法が使えず竜属性魔法と龍化が使える。ツノに尻尾、体に鱗があるのが特徴。


  ・妖精ーー魔力はとても高いが力が弱く、足が遅い。防御力も低く戦闘で最強になる可能性は0である。ただ容姿は美しく羽があるため唯一空が飛べる。ただし5メートルが限界。アイドルや歌手になりたい人はオススメである。


  ・ランダムーー上記のいずれかになる。優柔不断の人にオススメ。尚、隠し種族は無い。


 ランダムと妖精はないな。男の妖精などただただ気色悪いだけである。試したくもない。龍人はカッコいいかと思ってためして見たが体に鱗があるのが耐えられず断念。

 他の獣人各種や、エルフ、ドワーフも試したが、結局ゲーム初心者の僕にはどれがいいかわからず、人間をえらんだ。


 余談だが、エルフ耳や獣人の耳や尻尾には感覚があり何とも言えない感覚だった。くすぐったい様な気持ちいい様な。慣れたら新しい扉が開いてしまいそうで怖かった為、やはり人間でいいだろう。


「決まった様じゃのう」

「ごめん。お待たせ」


 お菓子を食べながら待っていたフィリアの口周りを服の裾をで拭いてあげる。

これはユイもよく口周りを汚してしまうので、ティッシュで拭いてあげている為その癖が出てしまったのだ。

 フィリアは頬を少しずつ赤くし「ありがとう」と呟いた。


「おほん!次は武器の選択じゃな」

「一応決まってるが一通り試して見てもいいか?」

「勿論じゃ。ほれ」


 フィリアは指を鳴らすがまたカスっと音がなり「ぐぬぬ。」と悔しそうな顔をしてから後ろを指差す。


「ほれ、武器各種とリトルゴーレム君達じゃ、武器は何度変えても良い。ゴーレムくん達は動きは遅いし力もないが無敵仕様なのでいくら攻撃しても大丈夫じゃよ」


 気がつけば目の前に各種武器と僕と同じくらいのゴーレム(石で出来た人型ロボットみたいな奴)が四体立っていた。


「魔法は基本的なファイアボール、ウオーターボール、ウインドボール、アースボール、ヒールが使える。使いたい時は口で唱えるだけで良い。今だけはの。」


 とりあえずやってみないとわからないので色々試してみた。30分ほど試し僕は少し短めので軽い両手剣を持つ。余談だが魔法を使うのはとても楽しかった。ユイに前衛と言われなかったら選んでいたかもしれない。


「さてそれではステータスと言ってみよ」

「ステータス」

ーーーーーーー

名前 未記入

性別 男

年齢15

誕生日2月1日

LV.1


HP.36

VIT.26

INT.28

CRI.25

STR.25

DEF.22

MND.20

DEX.20

AGI.26

MP.15

LUK.20


SP10


ジョブ メイン未確定

サブ未確定


スキル未確定


スキル控え無し


装備


見習い両手剣

見習い冒険者の服

見習い冒険者のズボン

見習い冒険者の靴



ーーーーーー


「おお。割と高めじゃの。やはり若さかの」


 必死に背伸びしながらぴょんぴょん跳ね、覗き見てる女神さまを見て何と答えて良いか悩み、「少し疲れたので座って見て良い?」といい座る。

 フィリアは見やすくなって嬉しそうに隣に膝を抱えるように座った。


「とりあえず、こっちでの名前を決めたほうがいいじゃろう。本名じゃまずかろう」


 これについては決めていたので、ウィル、と直ぐに打ち込んだ。


「ねぇ、SPって何?」

「それはさっき言ったワシが流れ人にかけた成長率補正魔法の効果の一部じゃな。レベルが上がるごとにステータスは上がり、更にSPポイントが入り自分が伸ばしたい所にポイントを降ることで能力が上がる仕組みじゃな!お主も割り振ってみよ」


 それは凄い。まぁそれくらいなきゃモンスターとは渡り合えないのだろう。


 ……しかし悩むな。


 とりあえず魔法系は除外しとこう。多分前衛は他を伸ばしたほうがよさそうだ。よくわからんが。CRIも良いらないや。低確率でクリティカルっていうギャンブル感が好きじゃない。LUKは必要だろうなぁ。人生運が良いことに越したことはないだろう。


 などとしばらく考えた結果……。


ーーーーーーーーーーーー

HP.36

VIT.26

INT.28

CRI.25

STR.25

DEF.22

MND.20

DEX.20

AGI.26

MP.15

LUK.20(+10)


ーーーーーーーーーーーーー

結局運任せにしてみた。他は鍛えれば良いけど運の鍛え方なんか知らないし。


「割り振ったよフィリ…ア……。あー!割り振り終わったなぁ!これで良いかなぁ!?」

「くー。くー。んあっ!?お、おう。終わったかの」


 この子ってAIなんだよな。鼻ちょうちん出して寝てたよ。ってか、鼻ちょうちんって初めてみたよ。


「それじゃあ少し長話になるからこのまま聞いてもらおうかの」


 と、話し始めた。


 注意事項については以前話した性行為は出来ずセクハラ行為もできないという話。それと爺さんが話していた内容と同じ世界を救って欲しいとのこと。


 それにPK、プレイヤーキラー、つまりプレイヤー狩り行為が13歳以下は禁止(PVPは可)。あとは街の中はダメージが入らない(セーフティーゾーン)仕様。


 「最後に現地人達は同じ人間として扱ってほしい」と締めくくった。


「以上で終わりじゃ。何か質問はあるかの?と言っても答えられる事はもうあまり無いが」


 「特にないよ」、と言おうとしたが不意にレトロゲームが目に入る。


「あのゲームは何をやってるの?」

「ん?あれはスーパーマルオじゃよ。攫われたりんご姫をマルオ君が助ける横スクロールゲームじゃ」


 そう言えば何百年か前、ゲームの初めはあんな感じだったとTVで見たことがある。


「実物は初めて見るな。少し見学してって良い?」

「おお!興味あるか!お主なら構わんよ」

「ありがとう」


 フィリアは嬉しそうに僕の手を引いてゲーム機の前に座らした。


「これがなかなか難しくての。お主も良かったら手伝ってくれ」

「んー良いよ。明日は休みだし時間あるから。」


 それから操作の仕方を教わり一時間ほどプレイする。


フィリアは絶望的なほど下手だった。しばらくプレイしてようやく第1ステージをクリアした。


「ふー。やっとクリア出来たな。……フィリア?」


 フィリアは画面を見つめたまま固まってしまったがやがてゆっくりと口を開き始めた。


「つ、ついに、ついにクリア出来た。ゲームを初めて150年。グスッ。ようやく、よゔやぐ一面をクリアしだのじゃ!!」


 えっっ??


 150年!!??


「何度マルオを死なせてしまった事だろう。その度に何度、何度マルオに謝った事だろう!!マルオはいつも笑ったまま、「気にしてないよ」、と言わんばかりにすぐに立ち直り、りんご姫を助けに立ち向かっていった!!ワシは叫んだ!!もういい!やめるんじゃ!お前はよく頑張った!…もう休め……と」


 フィリアは握りこぶしを作り泣きながら語った。


「しかし!!マルオは何度でも立ち上がった!その心の傷の深さはワシにはもう計り知れない。じゃが奴はいつだって笑顔だった。ワシはその度に心打たれ、気づけばコントローラーを握っていた。マルオが諦めぬのに、わしが諦めることなど出来るものか!!りんご姫はもう死んでいるかも知れん。生きていても最早ヨボヨボのおばあちゃんじゃろう。しかしマルオが立ち上がりつづかける限りワシも諦めない!!」


 最早僕は彼女の世界観について行けなかった。


 そして目の前の幼女が不憫でならなかった。


「な、なあ。浸ってるところ悪いんだけど、そろそろダイブアウトしなきゃならなくて……」


 時刻は深夜2時。


 規則正しい生活を心がけている僕はもう眠くなっていた。


「グスッ。あ、もうそんな時間か。弥生、いや。ウィルよ。本当にありがとう。おかげでワシらは一歩前に進むことができた」


 僕の手を両手で握り何度もお礼を言う彼女をみてここで帰ることに罪悪感を覚える。


「な、なぁ。良かったらまた明日も手伝いに来ようか?何時に来れるかはわかんないけど」


「な、なんと!手伝ってくれるのか!?ありがとう!ぜひ頼む!!少しの時間でもかまわん。なんせワシらは150年戦ってきたのじゃから、今更1日くらいなんてことない」


 目を輝かせてこちらを見つめる少女に苦笑し、涙をふいてあげてから、また明日、といいダイブアウトした。


 出来るだけ早く来てあげようと誓った僕だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつもご覧いただきありがとうございます! 宜しければ、アルファポリスサイトでも投稿しているので、そちらも応援よろしくお願いします! html>
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ