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Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~  作者: 神城弥生
クラン「カンパニー」
69/218

初イベント中編

 森が騒ぎ出す…‥‥。沢山の足音が須賀との見えない敵の多さを教えてくれる。


 ぴょこっ、と一匹のオオカミが森から姿を現す。


「アオオオォォォォン!!」


 街まで聞こえる大きさで、オオカミは吠える……。


「「「「「「アオオオォォォォン!!」」」」」」

「「「「「「ニャーーーーーー!!!」」」」」」

「「「「「「クマーーーーーーー!!」」」」」」」

「「「「「チューーーーーーー!!」」」」」」」」


 森から動物たちの雄たけびが響き渡り、一斉にモンスターが襲い掛かってくる……。


 ナニコレ、メッチャコワイヤン……。


 森から一列に黒い塊が、視野いっぱいに押し寄せてくる。


 ……ナニコレ。メッチャコワイヤン。


 昔の戦争とはこういったものなのだろう。今のリアルはほとんど機械による戦争だ。まぁもちろん人間も戦うが比率は機械の方が多い。

 

 昔ながらの戦争スタイルのこの状況に、僕は固まってしまった……。


 だって怖いんだもん。辺り一面モンスターなんだもん。人間よりも多いんじゃないですか。こんなの聞いてませんよ。


 なあ、皆だって僕とおんなじ気持ちだろう?



「「「「「戦争じゃぁぁぁーー!!!」」」

「「「「「かかってこいやぁぁぁ!!」」」」」

「「「「歌姫にいいとこみせんじゃぁぁぁ!!」」」」」」

「「「「生き残ってあの子に告白するんじゃーー!!」」」」

「「「私はいっぱい甘い物食べるんじゃーーー」」」」」

「「「「「かっこいい彼氏つくるんじゃーーーー!!!」」」

「「「「「んと、んと、おりゃぁぁぁぁぁ!!」」」」」



 なぜ?

 皆頼もしいな……。皆の雄たけびを聞くと体の緊張はほぐれていく。良かった。頼もしい奴らがこんなにいる……。良しお前ら!!


第一陣は任せた!!行ってこい!!


「さぁ!!行くよお兄ちゃん!!」


 やだよ、怖いもん……。


「待ってアイリス。第一陣は危ないわ。一番死亡確率が高いの。最前線がぶつかり合いお互いその後ろからどんどん人やモンスターがあふれてくる。結果最前線組は挟み撃ちでつぶされるわ」

「そうね。ぶつかる波が二度ほどあって、互いの足並みが止まりかけたときに突っ込むのが効率いいわ」

「ん。それがいいと思う」


 いいこと言ったみんな!!あれが止まっていれば確かに怖くないかもしれない。いつもの戦闘になる。


「そうだぞ?アイリス。焦るんじゃない。戦いは始まったばかりだ」

「え~~。わかったよ。じゃあタイミング教えてね?」


 これでいい。


 少し焦ったがこれならいい。だんだん魔物の距離が狭まる。


「「「「「「「うぉぉぉぉおぉぉぉぉx!!!」」」」」」」

「「「「「ガオォォォォォォォ!!」」」」」」


 ガァァァァァァァン!!


 そんな大きな音を立て前線組がぶつかり合う。いたるところで人や魔物が吹き飛び宙を舞う。


 あっぶね~~。

 あそこにいたら死んでいたかも……。


 その波を押しつぶすように他のプレイヤーもぶつかり混戦状態になる。


 チームワークもないなこれは。ばらばらになっている……。


 お互いが止まり、皆バラバラになる。


「いいわ!!逝きなさい!!」


 ちゃんと生きて帰ってきますよーだ。


「いくよ!!お兄ちゃん!!」

「あぁ、あんまり離れるなよ?」


 僕らも駆け出す。


「やぁぁぁぁあ!!」

「っっはっっっ!!」


 僕らは次々とモンスターを駆逐していく。考えてもみればここは始まりの森。モンスターレベルは低いに決まっている。


 イベントの為か多少は上がっているみたいだがそれでも10~18の間のようだ。


 ほとんど僕らは無双状態になる。


 楽しく思ってしまうほどモンスターを一撃で薙ぎ払う。


 ヘイトを集めすぎたのかウルフの群れが来る。


 同時に正面から3匹飛んできたのを姿勢を低く、ウルフたちをくぐるように乱れ切りをして消す。同時に左右から来たウルフを一歩下がりスラッシュで捌く。


斜め後ろから飛んできたやつを見ずに、気配察知でしゃがんでよけ着地する前に素早く切りかかる。さらに正面の2匹を一閃。


 今の僕カッコよくなかった……?


 ちらりと隣を見る。


「あはははははは!!全然足んないよーー!!」


 アイリスは笑いながらモンスターを蹂躙していた。


 ですよねーー。


 今度は後ろを振り向く。


 エリーゼ、クリス、エリザベスの姿はなかった……。


 ですよねーーー……。


 三人は後方からの支援だ。

 パーティに関係なく危ないところに廻って戦う手はずだ。


「じゃあ僕らは?」


 と聞いたら、


 「あなたたちが危なくなるわけないじゃない」と言われたのを思い出す。


 信頼してくれているのは正直にうれしいが少し寂しい。


 とにかく戦おう。


 僕は剣を振るうい働く、馬車馬のごとく。


 僕は走りながら乱れ切りで切りすすみ働く。馬車馬のごとく……。


 駄目だ。だんだん気持ちが小さくなってきていた。


 周りの皆も同じようだ。顔つきがだんだん険しくなり、一人、また一人と消えていく……。


 まずいな、士気が下がり始めている……。


 人数がだんだん減ってきている……。


 僕もだんだん疲れが見えてきた。いったい何体倒したことだろう。ゲームなのにのどが渇いてきた気がする……。剣を古いフォレストキャットを倒す。


 次はフォレストウルフ……。次はミニベアー……。


「くっっヒール!!」


 僕もだんだん傷が多くなってきた……。だが敵の数は減っている気がしない。やはりボスを倒さなければならないな……。


 だがボスは未だに姿を現さない……。


 もう戦い始めて30分がたっただろうか……。流石に疲労を感じる……。


 ~~~~♪~~~~♪


 気づけばまたあの歌が聞こえてきた。


 しかもさっきよりも大きな声で。きっとレベルが上がったのだろう。


 ほぼ1万人近い人たちにバフをかけ続けているのだ。レベルが上がって当然だ。


 アイーダは北門、南門の方にも廻ってもらい、歌を歌ってもらっている。


「歌だ。歌が聞こえる……」

「歌姫だ。歌姫が歌ってくれている」

「まだだ!まだ俺はやれるぞ!!」

「そうだ!!歌姫ちゃんにカッコ悪いところ見せられるか!!」

「私だってまだ負けてないわよ!!」

「テメェら!!気合入れ直せー!!」

「「「「「「おう!!」」」」」」」」



 皆元気だなぁ……。


 っでもなんだか元気が湧いてきた。

 感情は人に伝わりやすいという話は本当かもしれないな……。


「アオオオォォォォン!!」


 皆が気合入れたときに大きな黒いウルフが森から姿を現す。


「きたぞ!!ボスだ!!」

「あいつを倒せばだいぶ楽になるはずだ!!」

「一斉攻撃を……くそ!!」

「なんだこいつら急に……」

「くそ!!これじゃ近づけねぇ!!」

「弓も魔法も届かないわ!!」


 フォレストウルフたちは急に固まりだし、まるでボスを守っているようだった。


 どうする……。


 早くアイツを倒して楽したい。


「おにーーちゃーーん!!どこーー??」


 ……でかい声だなアイリス。お兄ちゃん少し恥ずかしいよ。

 

 アイリスがこのタイミングで呼ぶってことはあれしかないな。


 ……無視しよっかな。顔見たら断れなくなるし。


「おにーーちーゃん!!神速の兄貴ーー!!」


 やめなさい。恥ずかしいでしょ。


「おい!!神速の兄貴はどこにいる!!」

「おい神速!!どいつかしらねぇがこんな可愛い妹を無視するんじゃねぇ!」

「そうだぞ!!無視すんな!!うらやましいぞ!!」

「出てこい兄貴!!一発殴ってやる!!」


「駄目だよ殴っちゃ!!アイリスの大好きなお兄ちゃんだよ?」


「「「「「「はい!!殴りません!!」」」」」」」


 ……出づれぇぇ……。


「あ、あの!ここにいますけど……!!」


「おめぇが兄貴……か?お姉ちゃん??」

「ん?女じゃねぇか!!」

「しかもかわいい……」

「いや、よく見ると男じゃない??」

「ロールプレイか??」


 やかましいわ。


「おにーーちゃん発見ーーー!」


 お前が一番やかましいな。


 アイリスは胸に飛び込んでくる。


「おぶっっっ!!??」


 ……耐えた。何とか耐えた。お兄ちゃんの威厳を保てた。


 だが今日一番痛かった。


「お兄ちゃん!!あれやろっっ??」

「っですよねーー……。」


 ということでお兄ちゃん現在お空を飛んでいます。それはもうすごい速度で。お空を飛ぶ魔法覚えても絶対に使わないでいよう。

 だって怖いんだもん。


 しかも下に口明けたウルフがたぁくさん。お兄ちゃん泣きそう。


「……ってふざけてる場合じゃねぇな」


 何とかズザザザザザと音を立てながら着地に成功し、ブラックウルフと向き合う。


 ・ブラックウルフLV28


 あんまり僕と変わんないじゃねえか……。僕はLV34。飛び越えられたウルフたちはこちらに向かってきている。

あまり時間ねぇな。


 こうして再びブラックウルフと戦うことになった……。



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