試練の塔 中編
「勇気を示せ」
「「「「「……は?」」」」」」
真っ暗な部屋に小さな松明が一つ。そして長方形の部屋の奥には扉が見える。しかし……。
「なぁ。足元がないぞ」
「……しかも真っ暗ね」
「これどうするの?」
「ん。見えないだけで床はあるかもよ?」
「そうねまずは探してみましょ?」
4メートルほどの足場がこちら側と反対側に、左右に広がっているだけでその間は真っ暗で足場は見えない。というか、ない。
だがエリーゼの言う通りどこかにあるかもしれないので僕らは剣や杖を使い見えない床を探す。
「あ、あったよー!!でも人一人分の幅しかないみたい……」
松明を持ち近づいてみると、床の感触はあるが、床は見えなかった。透明な床みたいだ。下から吹く風が強く、そして底が見えない。怖すぎる……。
「ねぇ、ウィル。試しに落ちて頂戴。それでどこまで深いかわかるわ」
女王様の頭のおかしい指示がでた。
「いやに決まってるでしょ。かわりにもったいないけど肉を落とそう。もうほとんど素材食べ物しかないし」
所持金も50Gしかないし。
ヒュ…………ぴちゃ。
なんか悲しい音が聞こえた。でもあの音が僕の肉の音じゃなくてよかった。
順番は僕、エリザベス、エリーゼ、クリス、アイリスの順番に進む。
コツコツコツコツ…………スカッ!?
「あぶなっ!?直線じゃないのか……」
「松明の火の明かりも三人分までしか届かない。下からの風で火は消えそう。道は見えなく曲がりくねっている。ここの制作者はなかなか性格悪いわね」
「ん。しかも道が狭い」
「ほんとね、でもダンジョンって誰かが作るもんなの?」
「ん~。大体ダンジョンは洞窟に魔力がたまって自然にできるか、ダンジョンそのものが魔物っていうのがテンプレなんだけど、ここはなんか違うよね~」
コツコツコツコツ…………スカッ。
コツコツコツコツ…………スカッ。
コツコツ……スカッ。
コツスカッ。
「はぁぁぁぁ。やっと着いた~~」
「さすがに・・・疲れたわね」
「ん。二度とごめん」
「全くよ。製作者見つけたら殴ってやりたいわ」
「大元をたどれば哲二おじいちゃんだけどねぇ」
ゴゴゴゴゴゴッ。
次の階段を上る。
「忍耐力を示せ」
「あれ?何にもないな」
「ほんとね。なんか拍子抜けね」
「ん。でも逆にこわいわ」
「確かに。あっ。天井に針がぎっしりついてるわよ」
「でもところどころついてないよ?いきなり天井が落ちてきたりして……。」
……。
「「「「「まさかぁー」」」」」
僕が一歩踏み出すと……ガガガガガガと天井が落ちてくる。
「うわあぁっぁぁぁぁ!!!」
急いで下がる。
ががん!!
針が下につくギリギリのところで止まり上がっていく。
「し、死ぬかと思った」
「ぷぷぷっ、あ、危ないとこだったわねふふふ」
「ふふっ。ほんとね。ふふ」
「お、兄ちゃんの叫び声、初めて聞いたくくく」
「わ、わぁぁぁぁぁって言ってたわよ、やーちゃん。くくく」
は?人が死にかけていたのにこいつら……。
「ひひひひ。お兄ちゃんのあのかおみたわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
僕は隣にいたアイリスを投げる。すると天井が落ちてくる。が、運よく針がない場所に落ちたため串刺しにはならなかった。
「それで?次はだれがいく?」
僕は笑いながら皆に聞く。
「「「「ご、ごめんなさい」」」」
投げ飛ばされたアイリスまでもが僕の顔を見て謝った。
「け、警告が出た。心拍数の急上昇により、警告が出た」
精神に異常がきたすと警告が出て強制ダイブアウトさせられる。そうとう焦ったのだろう。
「で、でもここ一人分のスペースしかないよ?」
「あ、あそこはスぺースがたくさんあるわよ」
「ん。ほんと、だ」
「な、なら協力して場所がかぶらないように進むのね」
皆おびえすぎだ。やりすぎたかな?
順番を決めて進んでいく。
誰かが動くと天井が落ちてくる仕掛けみたいだ。どうやって作ったんだか……。
ガァァン!!!!
ガガガガガガ……。
「うぉ!!ギリギリだった」
「きゃ!!あぶない」
「どいてどいて!!入れないっ!」
「ここはいっぱい!!そっち行きなさい!!」
「きゃーーー!!どこどこどこ!!??」
「馬鹿やろ!!右右右!!」
「待って!!そっちじゃない!!!」
「戻ってどうする!!進まなきゃ!!」
「きゃーー!!戻ってこないで!!入れないから……」
「はぁはぁはぁ」
「き、きつかったわ」
「ほ、ほんと。さすが試練の塔ね」
「ほ、ほんとだねぇ。名前通りだね」
「ん。こ。この塔嫌い」
何とかクリアできた。果たして忍耐力は関係あったのか?これ。
「チームワークを示せ」
最後の扉を開ける。
「あれぇ?また何もない」
「ほんとね。闘技場の用だけど……」
「普通の天井だ」
「床も普通ね」
「ん。とりあえず行ってみよ?」
進み闘技場に乗るが何もない。
ゴゴゴゴゴゴ
奥の扉が開く。
「あれあれあれーー?だれだきみたちーー?ジーン達じゃないねぇ。音がするから来てみたら全然違うじゃなーーい。プププ困っちゃーーう。あっ、笑ったわけじゃないのよ??プププって名前なの私。因みに奴隷なんだけどね!!えっ、なのになんでこんなに自由かってー?それはマスターのリムルのおかげというかなんて言うかー。活舌悪いのよーあいつ。基本何言ってるかわからないの。声も小さいし。でもねでもね?帝国でも強い方なんだよリムルは!!まぁ今回は依頼で王国にきてるんだけどねぇーー。あっでもでも勇者の装備はまだ見つかってないのよ?なのに陛下がカギだけでもって怒っちゃって!あっこれ内緒ね?あっはっはっはっは!!あーおかしー!!プププしゃべちゃった!!あっはっはっは!!!」
う、うるさい……。
何も聞いてないのに長々と・・・。でもおかげで何となく事件の全貌が見えてきた。
彼女は妖精族なのだろう。1mくらいの伸長でかわいい顔している。服も草や花で作ってあるみたいだ。そして何より羽がついていて飛んでいる。
「ねぇプププ。この部屋は試練ないのかしら?」
「んん?あぁあの骨のやつね!!あったけどリムルが倒しちゃったから何もないわよ?まぁしばらくたったらまた出てくるんじゃない?どのくらいまつかは知らないけど!!待ってみる?待っちゃう?プププも一緒に待つ?多分暇すぎて死んじゃうよ!!あっはっはっはっは。それに出てきてもプププ死んじゃうよ。チョー弱いし!あっはっはっは!!!」
やはりうるさい。
だが何でも話してくれるみたいだ。
「ねぇ。この辺で男の子見なかった?」
「見たよーー!!上にいる!金髪の少年!!っていうかプププ達が攫ってきたの!!あっはっはっは!!!明日の迎が来るまで暇だし見てく?見て行っちゃう?」
女の子を本気で殴りたいと思ったのはいつぶりだろう……。
まぁいい。
僕らは素直についていきそして金髪の少年と一人の龍人をみつけた・・・。