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Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~  作者: 神城弥生
イベント「サバイバル島」
187/218

諦めなければ

新作を発表しました!!

宜しければ読んでください!


これからは週二回投稿、水曜日と土曜日に投稿したいと思います。


以前何度か「読みずらい」というご意見を頂きましたのでAOLを大幅に書き直したいと思います。

内容も多少変わりますが、大きくストーリー変更することはしません。


新作の方は8月中は毎日更新しています。

出来ればそちらの方を読んで頂いてAOLをお待ちいただけると嬉しいです。


それと皆様の応援のおかげで「HJ文庫2018」の第一次審査突破しました!!

これも応援してくだ刺さった皆様のおかげです!!

書籍化できるように頑張りますので引き続きAOLをよろしくお願いいたします!!


「……何で!」

「落ち着いてウィル。何か裏があるはずよ。それを探しましょう」

「そうよ。冷静にならなきゃ見つけられるものも見つからないわ」

「そうだね……。ごめん」


 二件目の伯爵邸でもノアのサインの入った書類が見つかった。本当にノアがそんなことをしたのかと僕はだんだん彼が信じられなくなってきた。


「……次の屋敷では何か見つかるといいねお兄ちゃん」

「ん。そこで見つからないかったら副神官長を縛り上げて吐かせればいい」

「ぬ?寧ろさっさと副神官長を縛り上げてしまえばいいのではないか?」

「それは出来ませんよ……。さすがに彼は沢山の衛兵に守られてますから……」

「そうよ!!そんなことしたら本当に私達が犯罪者になってしまうわ!!」


 アレクサンドラ達の言う通り、いきなり副神官長を狙うのは流石に悪手だと思う。僕らは3件目の伯爵邸にたどり着く。


「……警備が誰もいないわね……?」

「どうする?正面から入ってみる?」

「罠か……?……でも正面から入るしか方法はないか」


 何故か伯爵邸には門の前にも敷地内にも警備の兵士はおらず、不気味な雰囲気を醸し出していた。一瞬留守なのか?とも思ったが屋敷内には明かりがついており中に人が居る事は確かなようだ。

 念のため日が落ちるまで待ち、僕らは闇に乗じて中に侵入、書斎を探す。


「……あったわ……。……でも……」


 エリザベスがいち早く書類を見つけ皆でそれを確認するがやはりそこにもノアのサインが入っていた……。


「……待って、外の様子がおかしいわ」

「ん。誰か来る、それも大軍が」


 窓の外を見ると遠くから辺りを埋め尽くす数の松明の光がこちらに近づいていた。


「まずい!!逃げるわよ!!」


 僕らは伯爵邸を出てすぐにムギ達を出し駆け出す。


「……王子達が逃げたぞ!!追え!!」


 どうやら僕らの存在がばれていたようで大軍はすごい勢いで追ってくる。彼も馬に乗っているようだ。僕らは北に逃げるしかなくこのままでは山脈をと大軍に挟まれてしまう。

北の山脈にたどり着いた時には大軍とは多少距離を取れたようだが、逃げ道がなくなってしまった。


「……上るしかないわね」

「……だね」


 山は運よく緩やかな上り坂になっており、ムギ達をしまい皆で山脈を駆け上る。しばらく上ると洞窟を発見、すぐにその中に入る。


 洞窟はトンネルのように山の奥まで続いており、山と山の間に出た。念のため洞窟を破壊し軍がこちらに来られないようにしておく。


 一時間ほどそこで待機、軍が追ってきていない事を確認すると、今日はここでダイブアウトすることにする。アレクサンドラ達には悪いが崩れた洞窟で待機してもらっている。

 

 次の日学校終わりにダイブインすると、アレクサンドラ達はそのまま動かずに待機してくれていた。そのまま僕らは山と山の中腹は歩き王都の方向へ歩き出す。北の山脈だけあって夏にもかかわらずここは大分寒かった。

 

 僕らに会話がなく、皆黙って歩き続けた。目的地は決まっていない。


 このまま王都を目指しても協力者がいないため行っても即拘束されてしまうだろう。僕らは協力者を探すためにまだいくつかの街を周る必要がある。


「……この辺りを北に行けば恐らく大きな街があります。どうしますか?」

「そこはアレクサンドラ、エミリア、二人で決めなさい。私達にはどの街に行けばいいのか見当もつかないわ。」

「そうね。でも候補は聞いておきたいわね。あなた達に協力してくれそうな人が居る場所を。」

「そうですね。思いつくところは俺は一つしかありません。ここから南に行ったところにあるこの国で教会が3番目に大きい聖都「フール」があります」

「そうね……。確かにフールならノアさんと親しくしていた神官の方がいるわ。あの人なら協力してくれるかも」


 他にもいくつかの候補を聞いたが残りはあまり力がある人間とは言えないため、まずは大きな力を持った人間を味方につけこちらに戦う力がある事を見せつける必要がある、と言う結論になった。


「なら南か」

「ん。そうなる」


 ここから南に行くにはこの山を越えなければならない。

 

 断崖絶壁、と言うわけではないがなかなかの傾斜があるため登れそうなところを探し山を登ることにした。


 ここで以前仲良くなった「サンとガク」に習ったジョブ「登山家」が役に立ち僕が先頭して山を登っていく。


 今回は赤いふんどしはいないので視界が良好で上りやすいのが唯一の救いだな。皆も何度か落ちそうになるがそれでも頑張って登ってきてくれる。


 山を登り切り下る途中で広く見晴らし委のいい広場のような場所にたどり着く。


「……ここは綺麗な所ですね」

「本当ね。やっぱりこの国は美しいわ」


 アレクサンドラ達は黄昏の中、国を想い家族を想い、愛している国に追われ、そんな複雑な心境に涙を流す。僕は何もできずただそれを見守ることしかできなかった。


「大丈夫二人とも?」

「あ、はい。すみません。なんだか悔しくって」

「そうね。何もできていない自分に腹がたつわ」


 二人は夕日から目を逸らさず涙を拭いて答える。何もできてなんかいないさ、君たちは本当に強いよ。


「あら、何もできてなんかいないんじゃない?現にあなた達は今戦っているじゃない」

「でも……」

「ん。あなた達は戦ってる。戦ってるからこそそうやって涙を流すことが出来る」

「そうだよー。本気で立ち向かってるからこそ悔しさを感じることが出来るんだよ」

「それでも!!私達には何もできていない!!」

「そんなことないわ。パレンケ伯爵達やパライスの人達はあなた達に協力することを約束してくれたじゃない」


 確かに味方は少しずつだが増えつつある。


「でもそれは「カンパニー」の皆さんのおかげで……」

「それも君たちの力だよ。僕らだって君たちが戦うと言わなかったらここまでは来れなかったかもしれない」

「そうね。もしかしたらウィルが頭に血が上ってそのまま王都に突撃して死んでいうたかも」

「うっ、それはなくはないかも……」

「あはは!!お兄ちゃん意外と周り見えなくなる所あるからな!!」

「うむ!!俺は突撃には賛成だがな!!」

「ん。レイは黙ってて」


 そもそもアレクサンドラ達が居なかったら僕らはすでにこの国を出ていたかもしれない。それほどに僕はこの国に対して失望していた。


「でもこれからどうやって戦っていけばいいんですかね?超えなきゃいけない壁が大きすぎて俺には……」

「壁ていうのはねアレクサンドラ。本気でぶつかって生きてる人にしか訪れないんだよ。そして壁が見えて、越えて人間は大きくなるんだよ。壁は越えられない人には訪れない。僕はそう思うよ」

「私も同感ね。それにそんなに悲観的に現状を見る必要ないんじゃない?」

「アイリスもそう思うなー。実際アイリス達ちゃんと進めていると思うよ?」

「ん。二人は後ろばかり見すぎ。確かに振り返らないと見ない物もあるけど、道は前に進まないとできないものよ。」

「その通りね。それにあなた達は二人だけじゃない。しっかり味方を作ってるし、私達もいる。違う?」

「……違わないわ。でもあなた達に迷惑かけてばかりで私達は……」


 全く。この子達は真面目過ぎるな……。


「いいかい二人とも。僕らはなんだ?仲間だろ?僕らには同じ目的がある。そしてここまで必死に戦ってきた仲間だ。それなのにまだ僕らの事が信用できないかい?」

「いえ、信用はしてますが……」

「全く。ならはっきり言っとくよ。君たちに迷惑かけたらどうしようって思われていることが僕らにとっては迷惑だ。この件は二人だけの問題じゃないんだ。僕らの問題でもあるし、この国の問題でもある。でもその問題を解決できるのはここにいるメンバーだけなんだ。だったらもっと信用しようよ。迷惑かけようよ。沢山迷惑かけて、沢山ぶつかり合って、それが仲間だろ。そんなことで僕らは誰も君達を嫌ったりしない。ここにいるメンバーが一丸となって戦わないと勝てないし、誰も幸せになれない。違うかい?」

「ん。ウィルが正解。私達は仲間。背中を、命を預けられる信頼できる仲間」

「そうよ。あなた達二人の問題位一緒に抱えられない私達とでも思った?」

「そうだー!!仲間を信じようぞ!!」

「うむ!!その為の仲間だ。仲間がいれば人は強くなれる」

「ふふ。そうね。あまり私達を舐めないでくれる?私達はあなた達が思うよりずっと凄いんだから。」


 僕らの言葉にアレクサンドラ達は唖然とし、そして又涙を流す。今まで二人だけで戦っている気になっていたんだろう。人は一人では生きられない。いつも気づけば周りの人に助けられている。でもそれに気づくことは意外と難しい事だ。時としてこうやって言葉にして話し合う事はとても大事なことなんだと改めて感じた。


 今の社会はネット社会だ。皆だんだん会話が減り意思疎通がなくなっている。でもやはりどこまで行っても僕らは人間だ。言葉でしか伝わらない大切なものがある。それを僕らはいま改めて感じた気がする。


「さて、そろそろ日が暮れる。急いで山を下りてしまおう」

「そうね……。まって!!誰かいるわ!!」


 クリスの気配察知に誰かが入り込んだみたいだ。広場の山の壁をよく見ると小さな洞窟があるこのを目視出来た。


 そしてその中からゆっくりと痩せ細った男が出てきた。男は頭に角が二本あり目が真っ赤で体は真っ黒色だ。プレイヤーではない。彼は一体。


「ああ、あいつ等じゃないのか。我驚き。いや、もう来ないと言っていたか。我失言。お前たちはなんだ?」


 いきなり訳のわからない話し方をしだしたこの男の話し方…‥どこかで?


「えっと、初めまして。私達はクラン「カンパニー」です。貴方は……・?」

「ん?我か?我は、えっと、誰だっけ……。ああ、そうだ。最近では「ウサギ」と名乗っている。単なるしがない物書きさ」

「「「ウサギだって!?」」」


 僕とアレクサンドラ、エミリアが同時に驚き顔を見合わせる。


「ぬ?何だ3人とも知り合いか?」

「いや、知り合いと言うか、彼の本を読んだことがあるんだ」

「俺もです。それに「ウサギ」の本と言ったら一部ではコアなファンがいるほど有名ですよ」

「でも今まで謎に包まれていたのよね。話は面白いし内容もしっかりしてるけど、色々とおかしなところがあって……」


 おかしなところとはウサギが生きてる年数だ。本には書いた日付が書いてあるのだが100年前だったり200年前だったり。


「ほう、我を知っているか。それは結構結構。ここに隠れていろと言いながら奴らはもう来ないはずだったからな」

「あの、奴らって?」

「ん?奴らと言ったらこの国の副神官長ブクブクさ。奴らにここを家としてあてがわれていたんだ。まぁもう会う事はないがな」


 彼の存在がこれからの僕らの未来に大きく変化を与えてくれる気がしてきて僕の鼓動は大きくなっていった……。




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