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Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~  作者: 神城弥生
イベント「サバイバル島」
170/218

手伝いと・・・。

「はっはっは!!そうだろう。アニの街は活気にあふれているだろう!!」


 ここはアニの街の教会。


 今は光魔法が使える僕とエリーゼが街の住民や旅人の治療を手伝っている。治療に来る人は老若男女問わず多くの人が訪れていた。


 中には重病の人もいたが軽症でただノアと話しに来る人、ノアと遊んでもらうために訪れる子共達と様々いた。


 そんな光景を僕とエリーゼは微笑ましく眺めていた。

 

 因みに他の皆は今日も絵里奈の宿題を手伝っている為ダイブインはしていない。


「ええ。それに皆強そうですね。さっきもチンピラ冒険者を屋台の人たちが取り押さえてましたよ」「ん。ウィルもね。この街が元冒険者の人が多いのは分かった」

「おお!君も手伝ってくれたのか。ありがとう。この町は色々な人が行きかうからトラブルも多いのさ」

「そうなんですね。でも衛兵の数が少ないように感じました」

「まぁこのこの街はそこら辺の衛兵よりも優秀な人間が多いからなぁ。それに。いや。何でもない」

「?それになんです?」

「ん。中途半端に言って黙るのはなし。私気になって今夜寝れなくて泣いちゃう」


 泣きはしないだろう、どんな嘘だそれは。


 だがエリーゼの泣きそうな迫真(?)の演技でノアは降参だといわんばかりに両手を上げる。


「はぁ。こんなことはあまり言うべきではないんだが。実はこの町の領主が王国の中では嫌われ者でな」

「目をつけられてる、という事ですか?」

「まぁ、な。元々冒険者だったここの領主の事を妬みよく思わない連中がいてな。古臭い考えさ。貴族は貴族の血筋から生まれるべきだと。そしてここの領主は王様を尊敬している」

「?王様を尊敬するのはいいことでは?」

「一概にはそう言えんさ。どんな組織でも一枚岩になることはあり得ん。それが大きくなればなるほどな」

「ん。つまり王様の事をよく思っていない人たちがいるって事?」

「あまり大きな声で言えんが・・・まぁそう言うことだ。政治なんてもんはな、常に一本の針の上に成り立っていいるものなのさ。全ての人間にあった法を造ることなどできんのさ。だからできるだけ沢山の事を観ることが出来、沢山の話ができる頭のいい人間が上に立つ。だがそれでも法は間に合うことはない。時代が変われば、生きている人間が変われば考え方も変わり、法も変わらなければならない」

「・・・確かにそうかもしれませんね・・・。僕は学校で法とは人々の願いだと学びました」

「ほう。それはいいことを言うではないか。さすが流れ人、と言ったところか。確かに法は人々の願いであり、秩序であり、道しるべでなければならない。だか人が増えれば違う考えを持った人間も現れる」

「ん。それが王様の対抗勢力の貴族派って事?」


 エリーゼの指摘にノアは目を大きく見開き近くの椅子にゆっくりと腰を掛ける。


 今日は沢山の人を治療したためかなりのMPを消費した。


 日はすでに傾きステンドグラスから差し込んだ光がノアを照らしている。


 光に照らされた彼は年齢のせいか、治療で疲れたせいか、はたまたこの国を思ってか、その顔は険しく年相応の老人のように疲れている様に感じた。


「まぁ。そういうことになるな。権力とは恐ろしい物さ。歪んだ人間が一度手にすれば世界など簡単に壊せるほどにな。だからこそ人の上に立つものは優秀でなくてはならない。いつの時代も権力を子供が玩具を欲しがるように、ただ欲望のままに欲する子供たちがいるものさ。そう言う子供をしつけるのも我々大人の役目なんだがいかんせん今は子供が多すぎてな。いや、少し話過ぎたか。」


 ノアはそこまで言うとゆっくりと立ち上がりステンドグラスに描かれた女神の絵を見つめる。


 いや、その眼はもっと遠くの、この国の未来を見ているようだった。


 しかしここに描かれている女神はだれなんだ?


 フィリアはお菓子を食べながら150年もゲームをしている残念幼女女神だぞ?


 ここに描かれている女神は美しく、全てを見透かし、そして暖かく見守ってくれているような、そんな偉大な女神さまのように見える。噛み噛み残念幼女様の面影はどこにもないな。


「さて、今日はもうお帰り。君たちは十分働いてくれた。ありがとう」

「いえ」

「ん。また明日もこよっか?」

「おお!そうしてくれると助かる。なんせ今はこの町に神官は私一人しかいないのでな。しばらく手伝ってくれると助かるよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーー

シークレットクエスト発生「ノアの手伝い。」


アニの街のノアは神官の仕事を一人でしている為忙しそうだ。

少しでも彼を手伝ってあげよう。


・報酬


古代光魔法


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「「!!??」」


 僕とエリーゼは思わず目を合わせる。


 古代魔法はほとんど滅びて今に残っている者は少ないと聞く。


 実際僕らはまだそれを知る者に一人しか出会っていない。


 これはチャンスだととらえるべきだろう。


「はい!是非手伝わせてください!!」

「ん。全力で手伝う」

「あっはっはっは!そうか。それは助かる。ではまた明日な」


 ノアはそう言うと協会の戸締りをするために奥の部屋へと消えていった。


 僕らもすでに時間も遅いため今日はダイブアウトした。



「それって私達には学べないのかしら?」

「そうだ!!おれも古代魔法を使ってみたいぞ!!」

「お兄ちゃんたちだけずるい~」

「でも古代光魔法ってことは光魔法に適性のない私達じゃ学べないんじゃない?」


 自宅に戻ると山のような宿題に埋もれた家族たちがいた。


 と言うかどれだけの宿題があるんだこれ。


 最早宿題と言うよりは罰に近い量の紙の山だった。


「な、なぁ?それって本当に宿題なのか?なんか多くないか?」

「ん。絵里奈いじめられてない?何か悩みとかない?大丈夫?」

「うむ!!大丈夫だ!!先生がむしろ物覚えはいい方だと褒めてくれたくらいだ!」

「この宿題の山はね。絵里奈が先生に「ゲームがしたいから半年分の宿題と課題を一気に出してくれ」って頼みこんで出してもらったものなの」

「「……」」

「あははは!!言いたいことは分かるよお兄ちゃん!!無茶するよねほんと。それで宿題を出す先生も先生だし」

「でも絵里奈ったら本当にこの一週間でこの宿題の山をほとんど終わらせたのよ?恐らくあと2.3日で終わるわ。全くすごい集中力よ」

「うむ!!俺は集中力には自信があるぞ?複数の事を同時にはできないが一つのことにならずっと集中してられるんだ!!」


 半年の課題を一週間でか、確かにそれは凄い集中力だ。


 すでに絵里奈は再び宿題とにらめっこをしてすごい勢いで宿題をかたずけていく。


 決して器用ではない彼女だが、一つの事に集中し努力できることは素晴らくそれだけで才能だ。


 皆は絵里奈が宿題を終わらすまではダイブインしないという事で僕らはその間クエストを終わらようと話した。


「さて、なら僕はご飯でも作ろうかな?なん食べたい?」

「「「「「「ハンバーグ!!(オムライス!!)(ナポリタン!!)(ん。シチュー!)(肉!!)」」」」」

「うん。見事にバラバラだね。ならカレーにでもしようかな。今日はデザートも作ろうかな?」


 デザートという言葉に全員が喜んでくれた。


 絵里奈や皆が頑張っているんだからそれくらいのご褒美はあげないとね。


 ゲームも順調に行っているしリアルも充実している。


 本当にAOLを始めて良かったと今見える彼女たちの笑顔を見て僕は心の中でそう感じた。


「「今日もよろしくお願いします」」

「うん。こちらこそよろしく」


 土曜日。


 再び僕らはノアの手伝いの為に協会に来ていた。今日も相変わらず協会は大忙しだった。ここで初めて知ったが光魔法を使えるものはこの世界でも少ないらしい。


 いや、正確には使えるものはいるが適性がないためあまり強い効力が発揮されないようだ。


 そして光魔法を学ぶには希少な光魔法を使う冒険者に学ぶか、教会で学ぶしかない。


 しかし前者の場合法外な料金を取られることがある。それは協会に目を付けられるからだ。協会は治療や光魔法を教えることでお布施を貰って生計を立てている。


 その為顧客を奪われることをよく思わない人は多い。


「まぁこればっかりは仕方のない事だからな。我々だって人間だ。お金がなくてはご飯が食べれない。完全な慈善事業などこの世には存在しないからな」

「そうですね。それは仕方のない事だと思います。宗教やボランティアと言っても結局運営側はどこかで利益を求めなくてはなりませんからね」

「ん。そこには同意」


 僕らはそんな協会の話を色々聞きながら治療に精を出していた。


 しかし僕らは装備でMP消費を抑えているのに対し、ノアはそういった装備を身に纏わずに一日中治療をしていた。


 流石王国一の神官長といったところだろうか。


「ん。ノアはよくその装備で続くね。今LVいくつ?」

「はっはっは!!人にLVを聞くのはマナー違反だぞエリーゼよ。まぁだが100hはとうに超えているな」

「100!!??すごいですね」

「まぁと言っても私は攻撃魔法を一切使えないからな。あまりLVは関係ないのだよ」


 それでも100はすごいな。


 僕は最近全然LVが上がらずこの前のイベントでも多少スキルは上がったがそれだけだった。


 やはりLVが上がるにしたがって上がりずらくなるのだろう。



 僕らはそうやって今日一日も治療に精を出した。


 そして帰る時間になるとノアに引き留められた。


「待ちなさい。ここまでで君たちの人となりは分かった。この後時間はあるかね?」

「?はい。大丈夫ですが」

「ん。問題ない」

「そうか。なら奥の部屋に来なさい。」


 僕らは断る理由もないので協会の奥の部屋に案内される。


 そこは簡素な居住区のようだ。


 シンプルなベッドや机、キッチンなど必要最低限なものが置かれていた。恐らくノアは現在ここで生活しているのだろう。


 ノアはまっすぐと部屋の真ん中に行き床に敷いてあった絨毯をはがすと、下には各自扉があった。僕らはノアに促されるまま舌に降りると広い地下空間が広がっており周りには本が沢山ならんでいた。


「協会の地下には避難用にこういった空間があるのだよ。まぁめったに使うことはないがな」

「ん。床に何か書いてある」


 エリーゼの言う通り床には白いチョークで何か読めない文字が描かれていた。


「これは魔法陣さ。昨日の夜に書いておいたのだ。ところで魔法陣は知っているかね?」

「一応ですが。確か体内の魔力を操り魔法を使用するのが一般的ですが、魔法陣は体内の魔力を魔法陣と呼ばれる文字に流しそこから発動する魔法、と言う風に考えていましたが」

「ふむ。100点満点の答えだね。その通り。そして魔法陣には様々な種類がある。現在使われている魔法は全て魔法陣で再現できるといわれている。が、そこに使う魔力は通常の魔法よりも多く、そして魔法陣は複雑で専門の者しか書けないのが現状だ」

「そうなんですね。あの、ここで僕らは何を?」

「ん。私も知りたい。」


ノアは真剣な顔つきで僕らをしっかり見つめた後、こう告げた。


「君たちには古代魔法を覚えてもらう。ウィル君には結界破壊魔法、エリーゼ君には蘇生魔法を、だ」

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