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Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~  作者: 神城弥生
イベント「サバイバル島」
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バトルロワイヤルその3

 僕らは走り、道中で何度か戦闘を行った。

 戦闘はフォーメーションを変えながら戦い勝利し、街の崩壊から大分離れることに成功した。そして現在僕らは再び街の中心目指して走っている最中だ。


「ああっっ!!??」


 女性の弱弱しい声がしたと思ったら、前方にボロボロの服を着た女性が地面に手をつきうなだれていた。先頭にいた僕とレイはそれを見てすぐに駆け寄る。


「おい!!大丈夫か!?」

「気分でも悪くなった?」


 よく見ると女性は下着が見えないギリギリの服装をしていて、その姿から激しく争ったはように見える。


「助けてください。怖い男の人に追われれて。いつも追ってくるんですその人」

「いつもって?」

「このイベント前からずっとです。もう怖くて怖くて」


 この女性はAOL内でストーカー被害にあっているらしい。


「……許せん!!そんな男俺が倒してやる!!」

「ホントですか!?ありがとうござ、がっ」


 レイが立ち上がり剣を突き上げ女性を助けると宣言したとき、女性の額に矢が刺ささった。


「なっ!?何をするクリス!!」


 矢の飛んできた方向を見ると、なんとクリスが弓を構えていた。


「あのね。その女の言ってた事は嘘よ。気づかない?この家の中にそいつの仲間がいるわ。」


 クリスがそう言い近くの家を顎で指すと、近くの家の中から女性達がぞろぞろと出てきた。


 女性たちはエジプトの踊り子のような露出の多い姿をしており、男なら目のやり場に困ってしまうほどだった。


 先頭にいた女が矢の刺さった女性を横目で見てから、クリスの方へと向き直る。


「ちっ。何故演技だとわかった?他のやつらはあれで引っかかって無様に死んでいったのに」


 その綺麗な姿からは考えられないような冷たい口調で言葉を吐き捨てている。


「わかるわよ。女だもの。それにあんた達みたいな女がストーカーに追われるときは、確かに犯人が悪いのだけれど、その気にさせているあんた達も悪いのよ」

「なんだと?」

「確かにそうね。「家のそばまで着いてきて怖かった」「よく男が付いてくる」っていう女は大抵その男と肉体関係にあった事があるのよね。そして適当に捨てたために相手に勘違いさせているのよ。それで別の男に自分が可愛くてモテてか弱いアピールをするの。アホな女の定番よ」

「誰とでも寝る女って将来絶対にその付けが回ってくることを考えてない馬鹿な人がやる事よ。誰にでも尻尾を振る女には必ずしっぺ返しが来るものよ。世の中の常識ね」


 エリザベスとクリスが相手を挑発し、敵と彼女たちの間には漫画みたいに火花が散っているように感じた。


 僕とレイは二人が何を言っているのかわからなかったが、ただ自分たちが騙された事と女は怖いということだけがわかった。


「り、リーダー女って怖いんだな」

「ば、馬鹿野郎。世の中にはそんな穢れた考えを持ってない心の綺麗な女性がまだいるはずだ!!」

「そ、そうだよな!!キスが何なのかまだよくわからないような女の人もいるよな!?」

「そうだぞ!「あ、あんたが初めてなんだから感謝しなさい!!」とか言いながらしてくれるんだ!!」


 プライドとグリードも驚き現実を直視できていないようだ。


「「そんな女居るわけないじゃない」」


 敵とエリザベスの声が重なる。


 僕もそう思う。


 さすがにそれはアニメや漫画の中だけだ。


 女性の行動は全て計算されている、と前に聞いたことがある。


 本当かどうかは知らないが。


「何こいつら腹立つ!!あんた達!!「セクシー倶楽部」の力を見せてやるのよ!!」

「「「「「おう!!」」」」」


 セクシー倶楽部って昭和のアイドルみたいな名前だな。


 っというか女性とは戦いずらいな。


 恐らく先ほどまでしゃべっていた女性がリーダーなのだろう。


 武器は珍しく棘のついた鞭のようだ。


「ウィル!!相手が女性だからって戦いずらいとか考えてないわよね!?」


 クリスが僕の心を読んでくる。


 なんでわかったんだ?


 念話は使ってないのに。


「あら、可愛い坊や、素直に倒されてくれたら後で遊んであげてもいいわよ?」


 それは少し興味あるな。

 

 だけどそれ以上に後ろからの殺気が怖い。


「ありがたい申し出ですが、家族を裏切るわけにはいかないので戦わせてもらいます」

「あら、残念。あなたの知らない快楽の世界をおしえてあげられるのに」


 僕の知らない快楽の世界だと?


 少し興味ある。


「おい、リーダー!!どうしよう。俺倒されてもいいと思ってる」

「馬鹿野郎!!俺もだ。俺たちの知らない快楽の世界ってなんだ?」


 関係のない二人が動揺し始めている。


「おいおい。動揺してんじゃねえよ。快楽ってのはな。大事なのは精神的な問題なんだ。いくら肉体的に快楽を追い求めたって、そこに本当の愛がなければ最高の快楽はねえんだよ。そう言う行為は愛し合った相手とすることによって本当の快楽を得られるってもんなんだぜ?」


 ドンが動揺していたプライドとグリードを説得している。


「あら。相変わらずいいこと言うのね」

「ガッハッハッハ!!まあ年の功ってやつだ!!」


 エリザベスの言葉にドンは頭をガシガシ書きながら照れ臭そうに答える。


「ふんっ!!何が愛よ!?この世の中に本当の愛なんてあるわけないじゃない。この世は肉体的快楽と金さえあれば十分なのよ!!」

「寂しいねぇ。人生ってのはな、愛と仕事と家族があれば人生幸せなんだよ」

「ふん!!私はそんなもの信じないわ!!」

「あんたにもいつかわかるときが来るさ。人生で本当に大切な物なんて実は身近にあるちょっとしたことなんだって。金で手に入れた華やかな仮初の姿なんて必要ないってな」


 ドンってたまに本当にいいこと言うよな。


 いつものマッスルジョークがなければ本当にいい兄貴なのに。


 まぁ誰にでも欠点はあるって事かな?


 相手はドンの言葉に口をつぐんでしまった。


 彼女の仲間たちもなんだか動揺しているように感じる。


「それでも!!そんな世界を私たちは知らないのよ!!」

「これからゆっくり知ればいいさ。俺たちがお前たちのくだらないプライドをぶっ壊してやる。行くぞ!!ウィル!!」


 ドンはかっこいい事を言った僕の名前を叫び敵に突進していく。


 え、僕も行くの?


「まぁ仕方ないか。どっちみち戦わなくちゃならないんだしね。「雷神衣威」!!」


 僕は雷をまといドンについていく。


「くっ。あんた達行くわよ!!「ウィンドウィップ」!!」


 敵のリーダーが鞭を振るうと鞭から風の刃がいくつも飛んでくる。


「うーーー、マッスル!!」


 ドンが僕の正面に立ち盾で魔法を防ぐ。


 僕はその後すぐに盾の横から飛び出し相手の間合いに入り剣を振るう。


「速い!?「ウィップソード」!」


 敵のリーダーは鞭を剣のように硬くし僕の攻撃を防ぐが、魔力を上手く覆えてないので僕の攻撃をさばききれずに後ろに吹っ飛ぶ。


 その隙に他の敵が僕に向かって突進してくるが、エリザベスの「アイスウォール」で片側をふさいでくれたので僕が反対側の敵を蹴散らす。


 その隙にドンが敵のリーダーに向かって突進していく。


「く、来るな!!「ウィップファイアウォール」!!」


 鞭で作った炎の壁だがLVが低いのか壁の厚みがない。


「うぉおお!!マッスル!!」


 ドンは炎の壁を体に魔力を覆い突き抜けていく。


 それに驚いて立ち尽くしている敵をドンが思いっきり殴る。


 盾ででなく、剣ででもなく、拳で。


「いいか?世界はテメェが思っているよりシンプルにできてるんだ!!それを皆勝手に思い込みで複雑にしているだけで!!目ぇ覚ませ馬鹿野郎!!」


 ドンがさらに敵を切りつけ、とうとうリーダーは光になって消えていき、それに伴い仲間たちも光となって消えていく。


「珍しいね。ドンがそんなに怒るのは。」

「まぁな。まぁ大人になるにつれてああいう輩は沢山いるんだ。世の中を汚いものと思い込み、自分はその不幸の中心にいるような眼をした奴がよ。出会ったことのない奴がいくら不幸になろうと知ったこっちゃないが、せっかくAOLの世界で出会ったんだ。出会ったからにはその眼を覚ましてやりてぇじゃねぇか」


 ドンはそう言うと街の中心目指して歩き出した。


 が、突然エリザベス達の方に振り向き。


「いいか?確かにあいつ等のやり方はよくなかった。だからって知りもしない相手にいきなり憶測だけで罵倒するのはよくないぜ?」

「「すいません。」」


 珍しくエリザベス達が素直に謝り僕らは歩き出す。


「お、おいリーダー良かったな。俺達戦わなくて済んだぜ?」

「おう。やっぱり綺麗なお姉さんたちとは戦いずらいよな。胸大きかったし」


 プライドとグリードの会話を聞いたエリザベス達によって、彼らは進みながら説教をされていた。


 とにかく僕らはこうしてまた一つ勝ち星をあげた。


 街の中心を目指しながら戦い続け、だんだんと中心地に近づいてきた。


「これはこれは「カンパニー」さんじゃないですか」

「おお!!やったぜケンちゃん!!ビンゴだ!!」


 そろそろ中心にたどり着くという所で「デスペラーズ」が現れた。


「おい!!こいつらが「カンパニー」か!?」

「何だよ美人さんが多いな」

「こいつらを打ち取ったらうちのクランの名が上がるぜ?」

「おい!ちゃんと協力して倒すんだぞ?」

「わかってるよ!!こいつらを倒すまでの約束だからな!!」


 「デスペラーズ」が出てきた後、僕らの四方からもぞろぞろと敵が出てきた。


 彼らの話から恐らく僕らを倒すために手を組んだんだろう。


 これで1対4の形が出来てしまった。


「くくく。この間の借りは返させてもらうぜ?」


 ケンちゃんは剣の刃を舐めながら僕らを挑発してくる。


 あのままうっかり舌を切ったらいいのに。


「あら、このイベントに参加していたということは最近はPKを行っていないのね?えらいじゃない。」

「だろ?最近は心を入れ替えてまっとうに・・・って違う!!このイベントに参加してお前らをぶっ殺すために我慢してたんだ!!」


 ケンちゃんはエリザベスにまさかのノリ突っ込みをしながら怒りだした。


 しょうもないノリ突っ込みだが。


 だが状況は最悪だ。


 単純計算すれば48人対12人だ。


 流石に勝てる気がしない。


「さぁテメェらパーティの始まりだぁぁぐっは!?」


 ケンちゃんが号令をかけようとした時にケンちゃんが炎の塊によって吹き飛んでいく。


「あらら、パーティならうちらも混ぜてぇや」

「そうね!!ウィルさんは渡しません!ウィルさんを倒すのは私です!!」

「姉様よく言いました!あの変態を倒しましょう!!撃退しましょう!!世界平和のために!!」


 突然現れた「鏡花水月」の3人と知らない二人は「デスペラーズ」に攻撃を仕掛けだした。


 というか副長僕が世界に何をした?


「おいおいおい。弱い者いじめはよくないって前に言わなかったか?」


 今度は後ろの敵が吹き飛び、その間から「さすらい」キルが現れた。

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