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Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~  作者: 神城弥生
イベント「サバイバル島」
153/218

立花絵里奈



「お、お邪魔します」

「「「「「いらっしゃい!」」」」」


 火曜日。


 今日はダイブインせず学校が終わり帰宅するとトラックとベンツが止まっていた。レイが引っ越してきたからだ。


「さ、さすが山下グループだな。ベンツなんて初めて乗ったぞ」

「だよね。普通は乗らないよね」


 レイはかなり挙動不審のままうちに上がってきた。


 今山下家は誰もいないので、おじさんたちが帰ってくるまで神代家に住むことになっている。今は客間が開いているので(本当は香織さんと千沙が客間で住むはずだったが何故か僕の部屋に入り浸っているので空いている)そこで生活してもらうことになった。


「改めて初めまして。僕はウィル。リアルでは神代弥生と言います」

「初めましてー!!アイリスこと、神代ユイだよ!!」

「私はクリスこと、神代美和よ」

「改めて初めまして。エリザベスこと、山下香織よ」

「ん。エリーゼ。山下千沙。よろしく」


「よ、よろしく頼む。立花絵里奈だ」


 絵里奈は見た目はギャルだった。小麦色に焼けた肌に金髪ロング、ネイルも派手だった。

だが長身で美人だ。


「あら、荷物はそれだけ?」

「あ、ああ。大して持ってくるものがなかったんだ。ほとんど家具は備え付けのあるアパートに住んでいたからな。家具なんて買う金はなかったから」


 本当に苦労していたんだな。絵里奈はスタイルは抜群だが、その話を聞くとなんだかちゃんと食べているのか心配になってしまった。


 とりあえず家に入ってもらい部屋に案内、簡単な家の説明をする。


「じゃあこれの説明をよく読んでよかったらサインして?」

「わかった」


 山下グループはS&Cの被害者の支援をしている。それは自分が被害者、または被害者の家族であることを認め、支援してもらうためのサイン書だ。


「これで大丈夫だわ。これで貴方はしばらく保証金がもらえるし通信の学校にも行ける。学校を卒業するまでの生活保障がされました」

「そうか。ならしばらくバイト生活からもおさらばだな」


 絵里奈は考え深そうに天井を見つめる。その眼にはうっすらと涙を浮かべていた。


「さ、弥生。ご飯にしましょう?」

「そうだね。少し早いけど食べてしまおうか」


 悲しい時、元気がない時はまずは食事だ。腹が減っていては元気になるものもならなくなってしまう。


 食事は昨晩のうちに仕込んでいた。


 今日はかなり気合を入れて作ってある。


 ジャガイモのスライスを、牛乳1に対し生クリーム3を入れ、塩コショウとナツメグを入れる。(牛乳と生クリームはジャガイモが浸るくらい。)あとは液体が1/3減るくらいまで見込むだけだ。


 そのまま加熱皿に乗せ、チーズをかけオーブンで焼き色を付ける。(面倒な人はチーズごと煮込んでもいい)。


 最後に色合いにパプリカパウダーとナツメグをかければ、ヨーロッパの子供に人気の家庭料理「ドフィノワーズ(ジャガイモのグラタン)の完成だ。前日に作っておいて今はレンジで温めれば完成だ。


 次はサラダ。


 ちぎったレタスの上に一口サイズのチキン、オリーブ、ゆで卵、アボカド、キュウリなどを載せドレッシングをかければこぶサラダの完成だ。


 最後にパスタ。


 前日にソースは作ってあるので、あとは麺を茹でるだけだ。


 ニンニクとアンチョビをEVオリーブオイルで軽く炒め香りを出し、生クリームとトマト缶を加える。

後は、麺を加えるときにカニ缶の中身をたっぷり加えあえればカニクリームパスタのの完成だ。


「今日は何かの記念日なのか?」

「もちろん。絵里奈の歓迎会だよ」

「そうだよ!!今日から一緒に住むんだからもう家族みたいなものでしょ??」

「そうよ。これからはここが自分の家だと思っていいのよ」

「ん。苦しゅうないぞ。良きに計らえ」

「ふふっ。そう言うこと。さ、冷めないうちに食べてしまいましょう?」


 こうして絵里奈の歓迎会が始まった。


「どう?口に合うかな?ってあれ?」

「絵里奈どうしたの?おいしくなかった?」

「何か苦手な物でも入ってたのかな?」

「ん。ぺってしていいよ?ぺって」

「口に合わなかったのかしら?」


 絵里奈はパスタを一口食べ、震えて固まってしまった。


「う、うまい!!こんなにうまい食事は初めてだ!!」

「美味かったんかい。焦ったよ。口に合わなかったんじゃないかと」

「俺に苦手な食べ物などない!金のない時はそれこそ山に野草を取りにいって食べてたこともあるからな!」

「野草って」

「なんか泣けてきた」

「ん。たんとお食べ。おかわりもあるから」

「そうよ。たくさん食べて」


 彼女は想像以上に貧乏生活をしていたようだ。


「でも絵里奈綺麗なんだから男の家に転がり込む選択肢もあったんじゃないか?」

「ぐほっ。こほっごほっ。き、綺麗だなんて」


 絵里奈は顔を真っ赤にしてむせる。そんな綺麗だけで照れる年でもないだろうに。


「思わぬところに伏兵が」

「お兄ちゃんを好きになっちゃだめだよ!!」

「ん。敵なら倒すまで」

「大丈夫よ。弥生にその気にならないように調教するだけよ」


 止めろ香織さん。何する気だ、怖すぎるぞ。


「ん?安心しろ。俺はどちらかというと男よりも女の方が好きだ」


 絵里奈は百合のようだ。


「だから男の家に転がり込む選択肢はなかったな。そんなことするくらいなら野垂れ死んだほうがましだからな」

「いや、ここ僕の家なんだが」

「だがこんなに綺麗ぞろいじゃないか!!お風呂とか除きたい放題だろ?・・・安心しろ。手は出さない。俺はどちらかというと可愛い女の子の方がタイプだしな!!」


 全然安心できないよ。何堂々とお風呂覗く宣言してんだよ。


「まぁお風呂くらいならいいよ!!」

「そうね。別に減るもんじゃないし」

「ん。我の裸に興奮するがよい」

「ふふっ。私も中々いい体してるわよ?」


 うちには変態が多いんだった、また変態が増えてしまうのか。


「ふふっ。後が楽しみだな。だが弥生も中々可愛い顔してるからたぶんいけるぞ?」

「どこに行く気だ。頼むぞ盾職。なんだか一緒に前衛をするのが不安になってきたよ」

「それは任せとけ!こんな綺麗な人たちを傷つけさせはしない!!俺はAOLのベルリンの壁と呼ばれているからな!!」

「すでに崩壊してんじゃないか。それにそんなの聞いたことないぞ?」

「ならAOLの万里の長城だ!」

「規模がでかいな。まぁそれくらい守ってくれれば安心だが。ちゃんと僕も守ってくれよ?」

「任せろ!!可愛い顔してるからな!可愛いは正義だ!」

「お前の正義は歪んでいそうだな」

「そんなことないぞ?俺の固さは針金入りだ!!」

「筋金入りだ。そんな細い針金じゃ信用できないぞ」


 不安だ。なんだかだんだん不安になってきた。


「女の子が好きなら女の子の家に転がり込む選択肢はなかったのー?」

「うむ。それはあったんだが女の子に振られてしまってな。それがトラウマで今まで彼女の一人もできたことがないんだ」

「まぁ恋愛のできる幅は狭そうだよな。フクチョーくらいか?知り合いで百合なのは」

「誰だフクチョーとは!!ぜひ紹介してくれ!!」

「あ、ああ。AOLの知り合いだから今度ダイブインしたときにな」

「絶対だぞ?約束だからな!!」

「わかったから落ち着け。そして座ってご飯を食べなさい。食べないなら下げるぞ?」

「駄目だ!全部食べる!!おかわりもする!全部うまい!!」

「そうか。まぁありがとう。」


 多少不安が残るが絵里奈とは皆うまくやっていけそうだった。


「しかしこうやって誰かと食事をするのは久しぶりだ。いいものだな」

「だね。ご飯はやっぱりみんなと食べた方がおいしいよね」

「うむ。だが相手にもよるぞ?仲の悪い奴と食べてもおいしくないからな。旅行と一緒だ。大事なのどこに行くか、何を食べるかじゃなく、誰と行くか、誰と過ごすかが大事だ」

「それ分かるなー!お兄ちゃんのいない修学旅行ほどつまらないものはないもん」

「確かに私も一緒よ」

「ん。私は常に一緒」

「私はめんどくさかったから行かなかったわ」


 そう言えば香織さんは護衛の関係で行けなかったんだったな。千沙は僕がボディーガードしたため大丈夫だったが。


「結局誰といるかで人生って大きく変わるわよね」

「彼氏彼女もただ好きな人より、もし相手が異性じゃなく同姓だった時でも親友でいられるような相手と一緒にいなさいって母親から言われたことあるわ」

「一緒にいる相手や環境で人生って大きく変わるもんね」

「ん。クローン人間が二人いたとしてもその性格は遺伝的なものが2割、あとの8割がどこで過ごしたか、誰と過ごしたかで決まる」

「そうなのか。なら俺も皆と過ごすことで人生まだやり直せるのかな」

「そうだよ。僕が言うのもなんだけど、人生で20年なんてまだ短い方なんじゃない?これからいくらでも人生いい方向に変われるんじゃないかな?僕たちもできる限り協力するし」

「そうか。ありがとう。」



 絵里奈は初めは挙動不審だったが次第にみんなになれ、最終的にはとても楽しそうにみんなと話をしていた。

 歓迎会は大成功と言っていいだろう。


 その後皆それぞれ思い思いの時間を過ごし今日はダイブインしなかった。たまには休息も必要だろう。


 絵里奈が家に来たことによってうちはさらににぎやかになった。彼女はどこまでも真っ直ぐな性格なのだろう。


 嘘も苦手だし、思ったことはすぐ口に出す。褒められるのには慣れてなく、すぐに照れるし、女性陣のお風呂はしっかり覗く。まるで少年をそのまま大きくしたような女性だった。


 流石に寝る部屋は僕の部屋とはいかず、遠慮して自分の部屋で寝ていたが。


 今後はまず今週中に山下グループの協力の元通信に通い、学校の時間を僕らと同じ時間にする。そして放課後はみんなでAOLをするということになった。


 2週間後にイベントがあるので今週来週は絵里奈のLV上げと連携の練習。


 生産組は如何に多くのいいアイテムを作るかによって勝負が決まるため、その為の素材集めになりそうだ 。


 攻略を再び開始するのはイベントが終わってからだろう。



 イベント中にクリスとタクの誕生日も祝わなきゃいけないし(誕生日は毎年神代家で皆で祝っている。)イベント終了後は期末試験、その後は夏休みだ。


 うちの学校はテストは年に3回しかない。中間試験は行われない。


 まぁ進学校では珍しくないかもしれないが。


 そして夏休みも他の学校よりも少し多い。皆夏期講習の為、塾に通い勉強するため休みがなくなっていしまう。

 そのために学校は少しだけ早く休みを作る方針だ。塾などに通わなかったり、家庭教師を呼ばない生徒はほんの一握りだろう。


 因みに神代家と山下家はどちらもない。その為僕は毎年必死に勉強し皆に追いつくのが大変だった。(うちの4人は天才だから。)



 とりあえずこんな感じで2週間を過ごす僕たちだった。


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