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Another Of Life Game~僕のもう一つの物語~  作者: 神城弥生
イベント「サバイバル島」
149/218

サバイバル島、その20

久々に日間ランキング20位台になりました。

これも皆さんのおかげです。


本当にありがとうございます!

 プレイヤー1000人VSサバイバルドラゴン。


 これだけ人数がいてもまだまだ勝てる自信がない。それほどまでにドラゴンは圧倒的存在感がある。


「グルルルルル」


 ドラゴンさんは何度も尻尾とこちらを見ている。大分怒っているようだ。ちょっと尻尾切っただけじゃないですか。


 そんなに怒んなくても。


 ドラゴンは離れたところから口に魔力を集める。


「総員防御隊形!!」


 オリバーの声で盾職は前で盾を構え魔法職は魔法で迎え撃つ準備、それ以外は盾職の後ろで隠れる。


「ガァアアアアア!!」


 オリバーの予想とは違い、ドラゴンは氷の塊の雨を降らせる。これはいくら盾職でも防ぎきれないかもしれない。


「「「「「ウォーターウォール!!」」」」」

「「「「「ファイアーウォール!!」」」」」

「アイスウォール!!」

「「「インパクトショット!!」」」


 様々な攻撃が氷の塊を砕き、防いでいく。そして細かくなった塊を盾職が防ぎ、ダメージを負った者にはすぐに回復魔法が飛ぶ。素晴らしい連携だ。


 僕らが来るまでに何度も攻撃を受けてきたのだろう。そのたびに何度も工夫し対処きたのが今の一撃で見て取れる。僕はPK合戦よりこういった集団戦の方が好きだなとしみじみ思う。


 僕らの方に来た氷の塊は「ダブルナイツ」の皆が対処してくれる。


 新人達もしっかり戦えているようだ。


 ドラゴンは少し下がりながら地面に着地しようとする。


「総員!!攻撃態勢!突撃!!」


 オリバーの指示で接近職は盾職を前に突撃、その頭上を魔法と矢が飛んでいく。


 ドラゴンは羽を大きく羽ばたかせ突風を作り魔法と矢を防ぐ。


「「「「「魔法剣!!」」」」」


 接近職は剣魔法を込め、突風を切り裂いて進んでいく。見事な連携だ。


 全員がドラゴンの足元までたどり着く時、ドラゴンが再び空へと飛んでいく。


 そこに再び魔法と矢。


 ドラゴンは風を起こすし半分は叩き落すが、今度は半分は命中する。


 ドラゴンの残りHPは1本と4割。あれだけの攻撃を受けてそれしか減らないのか。


「ガァアアアアア!!」


 ドラゴンは先ほどより明らかに怒っている。


「やっぱりエリザベスの言う通り、飛ぶには相当の魔力を使うみたいだな!」

「そうね。ずっとは飛んでいられないみたい!」


 オリバーとリタは全員に聞こえるように叫びながら話す。


 そうすることで全員に「今やっていることは正しい。」「突破口が見えた」と伝え、士気を上げるためだ。


 エリザベスといい、こいつと言い、本当に素晴らしい統率力だ。僕も見習わなくては。というか一度くらい「総員突撃」って言ってみたいな。


 ドラゴンは今度はプレイヤー達の後ろで指揮を執っている僕ら目掛けて20近くのかまいたちを放つ。


「っと出番だな。アイリス!」

「うん!!」


 僕とアイリスの「乱れ切り」「かまいたち」によって放たれたかまいたちで攻撃を相殺させる。相殺しきれなかったものを残りのメンバーが相殺する。


「これならいけるんじゃないか?」

「そんな簡単だったら今まで苦労しないさ。来るぞ!!」


 ドラゴンは今度は僕らの頭上まで来て急降下してくる。


「散開!!」


 オリバーの一言で一斉に四方に散らばる。皆何とかよけきり、ドラゴンは地面に着陸する直前で急停止。


 そして1000人ものプレイヤーを背にし僕の方を睨みつける。


 あくまで狙いは僕ってわけだ、ふっ、いい度胸だ。そんなに僕が憎いならやってやる。


「雷神衣威」「俊足」!!退却!!」


 僕は全力でドラゴンから逃げ出す。


 戦う?


 無理無理。


 だって怖いもん、あのドラゴン。


 ドラゴンは逃げ出した僕を追って着地し走り、何度も口で僕を噛みつこうとしてくる。


 僕の後ろでは何度もガキィン、ガキィンと牙と牙がぶつかる音がしている。


 不味いな、このままでは追いつかれる。


 ドラゴンは大きい、なら。


「急転回にはついてこれないはず!!」


 僕は一か八か立ち止まり、そしてドラゴン目掛けて走る。


「ガァアアアアア!!」


 ドラゴンはもの凄いスピードでこちらに顔を近づけてくる。そして口が僕の目の前まできた瞬間スライディングをし、その攻撃をかいくぐる。


「……グル!?」


 ドラゴンは食べたはずの僕がいないことに一瞬驚き止まる。が、すぐに股の下にいることに気づき体を回転しようとする。


 僕は逃げながら、目の前に来たドラゴンの足を斬りつけようと全力で「かまいたち」を放つ。


 が、ドラゴンの動きは意外と俊敏で「かまいたち」は躱され足の後ろに飛んでいく。


「クソッ。あ。」


 足には当たらなかったがドラゴンは回転していたため、足の後に来た尻尾に僕の全力の「かまいたち」が当たってしまう。


 ボトッ。


 ドラゴンの尻尾は2割ほど残して斬り落とされてしまった。


 僕は思わずドラゴンの顔を見る。


 ドラゴンは自分の尻尾を見て固まっている。


 しばらく見た後こちらを見る。


 あ、目が合ってしまった。


 僕らは2,3秒目があったまま固まる。


「グラァァァァァ!!」

「ぎゃぁぁぁああ!!??」


 ドラゴンは今まで聞いたことのないほど叫び、走ってくる。


 言葉が通じなくともあれはわかる。


 絶対にキレてる。


 怖い怖い!!


 僕悪くないじゃん!!


 避けたのがいけないんじゃん!!


 僕は全力で逃げ、ドラゴンは僕を全力で追いかけてくる。


 一人と一匹は反転し走っている為、プレイヤー達のど真ん中目掛け走っている。


「「「「「「「こっち来るなぁぁぁああ!!??」」」」」


 皆の心からの叫びが聞こえてくる。


 いやいやいや!助けてよ皆!?一番怖いのは僕だよ?


(ウィル!!タイミングを合わせて「プチボム」と「スパイダーネット」を全てアイツの足元に投げつけて!!」

(合図!?)

(すぐにわかるわ!行くわよ!!)


 エリザベスからの念話に何とか答えたが合図が何なのかわからなかった。とりあえず僕は必死に走りながらアイテムを全て取り出し抱える。


「「「「ファイアーウォール!!」」」」


 僕とプレイヤー達の距離が30mほどまで迫った時、一斉に僕の背後目掛けて魔法が飛んでいく。


 炎は僕の後ろの足元に当たり、大量の雪が上空に舞い、辺りが真っ白になる。


 合図ってこれか?


 僕はすべてのアイテムに魔力を込め後ろに投げる。「気配察知」で他の「カンパニー」達もアイテムを投げているのがわかる。


 ドォォォオオオン!!


「グラァァァァァ!?」


 大きな爆発音と共にドラゴンの足にプチボムが炸裂。さらに「スパイダーネット」が足に絡まり、ドラゴンは頭から倒れこんでくる。


 僕はつぶされまいと「ジャンプ」しドラゴンのヘッドスライディングを躱す。


 ドラゴンはズザザザ・・・と大きな音を立てプレイヤー達の真ん中まで転がっていく。そして僕は背中に着地する。


 あれ?これってチャンスなんじゃ。


「総員!!一斉攻撃!」


「「「「「おう!!」」」」」


「グラァァァァァ!!??」


 このチャンスを見逃すものはここにはいないようだ。


 プレイヤー達の一斉攻撃がドラゴンに降り注ぐ。


 完全にいじめ状態ですね。


 あ、隣を振り向けば立派な羽があるじゃないですか。


 斬っとこっと。


「グァァァァアアア!!」


 HPが半分になり赤い魔力を噴き出しながら怒ったドラゴンは勢いよく立ち上がる。


「グァァァァアアア!!グア?」


 しかし羽といつの間にか根元まで切り落とされた尻尾がないため、ドラゴンはバランスを保てず今度は背中から倒れてしまう。


 僕はその勢いでジャンプし、そして着地する。


 再びすごい音が鳴り、ドラゴンが倒れる。


 皆もあまりの事に驚き固まっている。


 一瞬辺りに静寂が訪れる。


 そして僕の目の前にはド寝そべったドラゴンの顔が。


 ドラゴンは冷汗をだらだらとかいている。


 僕はにっこりと、できるだけ優しくドラゴンに微笑む。


 ドラゴンはそんな僕を見て安心して微笑み返してくれる。


 さて。殺りますか。


「総員!!攻撃!!」


「グァァァァアアア!!??」


 再びプレイヤーの一斉攻撃によってドラゴンは泣きながら光となって消えていった。


 僕はドラゴンを倒した事と「総員攻撃」と叫べたので満足だ。


 こうして僕らの初めてのドラゴン退治は幕を閉じたのだった。

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