1章 8話 熱による急展開
投稿遅くなりました○┓
実はもう10話の途中まではかけているのですが、見直しの時間がなかなか取れずにいて、ずっと先延ばしにしてました。
これからは時間を見つけ次第投稿しようかと思いますので、遅くても月1投稿かと思います。
今後ともよろしくお願いします○┓
では本編どうぞ(= ・ω・)っ
翌日、学校へ行くとなぜか騒がしかった。「時間的に里美も来てる頃だし聞いてみよう」と梨沙は少し嫌な予感がしたが、その予感は違う方向で的中した。
「あ、梨沙!聞いた?高尾のやつ高熱で休みなんだって!」
「はぁ…健一くんが高…え!?健一君が高熱!?」
昨日まで元気…というかいつも通りだった健一が高熱を出したと聞いて声を出して驚く梨沙。
「え、高熱ってどのくらいでたの?!」
「そこまでは言ってなかったけど高熱で休むとだけ連絡が来た」
それを聞いた梨沙は時計を見た。到底健一の家まで行って戻って来れば遅刻は当たり前だった。
当然、少しクラスがざわつくことがあっても授業は行うので遅刻する訳には行かない。
「あ、梨沙今高尾の家行っていろいろ聞いたりして戻って来ようとか思ってたでしょ」
「どうしてわかったの?!か、顔にでてた?」
「そりゃ心配そうな顔して時計見てたらなとなくわかるよ。それより、行くなら帰りじゃない?今行っても遅刻するだけだし」
「う、うん…そうだね」
そう言って梨沙も里美も自分の席に行った。
クラスは少しざわつくことがあったが授業は行う。やはり梨沙は健一の事が気になるようで時々上の空だったり、健一の机をボーっと見たりしていた。度々教科担任に注意されることも。
昼の休み。里美が梨沙と所へ来て、
「高尾が心配なのはわかるけど、あんまりそうすると回りにバレちゃうよ?」
「バレちゃうって何が……は!バ、バレちゃ嫌だよ!」
「だったら心配でも表向きはいつも通りにしなきゃ」
「できたら苦労はしてないよ!」
「そりゃそうだけどさ、バレて嫌なのは梨沙なんだからしっかりしなきゃ!」
「う、うん…わかったよ」
「わかったならもっとシャキッとしなさい!」
そう言って梨沙の背中を叩き、梨沙には聞こえない程の小声で「うちだって高尾が心配なんだから」と言った。
「ん?なにか言った?」
「え!な、何にも言ってないよ?!とりあえずしっかりしなよ?」
「うん…自身はないけどやってみる」
そんな会話をしていると教室の戸が勢いよく開かれた。
そこに立っていたのは、今にも倒れそうなほど息が荒く、真っ赤になった健一だった。
「え…え!?け、健一くん!?」
そして教室で1番の反応を見せたのはもちろん梨紗だった。
「はぁ…はぁ…昼からの授業は…間に合ったか…」
「間に合ったかじゃないよ!なんで来てるの!?」
梨沙はすぐに健一の元へ向いそう言った。
「はぁ…なんでも何も、テストがちけぇ。休んでらんねぇっての…はぁ…」
「そんな体調じゃ休んでないとテストすら受けられなくなっちゃうよ!?」
「梨沙の言う通り!そんな今にも倒れますって感じで授業受けられてもこっちが迷惑するっての!
わかったらとっとと帰って寝なさい!ノートだの授業の内容だのは梨沙と2人で教えるから!」
「お前らの説明じゃ...わかるもんもわかんねぇだろ...はぁ...」
そう言って健一は自分の席を見つめながら歩いていた。
すると、健一は気でも失ったかのように、流れるようにその場に倒れた。
「…ん、ん?保健室か…?俺は教室にいたはずじゃ…」
「途中でぶっ倒れて、あんたの友人がここまで運んだの。ったく、とあるランキング1位の人もここまで弱るなんてね」
「倒れた…?あぁ、そうか、なんか前が暗くなったと思えばそういうことか」
「人騒がせなんだから。梨沙なんてどうしていいかわからず、ずっとあたふたして今は疲れてここで寝てるよ?後でちゃんと礼いいなさいよ!1番心配してたのは梨沙なんだから」
「そうか…ならしっかり…って何故鈴城が俺を心配するんだ?」
「え?!いや、あのー、それはー…そう!高尾がいなくなったら梨沙1人で仕事持つの大変でしょ?だからじゃないかな」
「だとすれば不思議なやつだ、俺が助けた時はなんでかわからんような顔して、いざ逆になれば心配する」
「人間だもの、そういうもんじゃない?」
「んにゃ?」
そう会話してると里美の隣で寝ていた梨沙が目を覚ました
「あ、梨沙起きた?高尾も起きてるよ」
「鈴城、迷惑かけたな」
「ん!?健一君いつ起きたの!?まさか、ずっと起きてたけど私が寝てたからずっとここに?!」
「「それはないから安心しろ(して)」」
健一と里美は同時に言った。
「ま、あれだ。とりあえず迷惑かけたな、悪い」
と、健一は頬をぽりぽりかきながら言った。
「え?ううん、私は何もしてない。と言うよりできなかったから…」
「お前バカか?」
「はぁ?!ちょっと高尾何言って」
「前川そう焦るな、話は終わってねぇ」
焦って立ち上がろうとする里美の肩に健一は手を置いた。里美は何も言わずゆっくり座った。
「鈴城、俺は迷惑をかけたって言ったんだ、お前が何したかなんて問題じゃねぇ。俺がそう思ったからそう言っただけだ。」
里美も梨沙も少しの間口を開けてポカンとしていた。
健一があまりにもらしくないことを言ったからだ。
「高尾がすごい真面目なことを言った…」
「俺が常日頃から真面目じゃないみたいな言い方だなぁおい…」
俺って日頃そんなに真面目に見えないのか?と言わんばかりの顔をする健一。それを見て
「んふふ」
「鈴城?なぜ笑ってる?」
「ごめんね。でも、健一君が面白い顔するし、何よりホッとしたから」
梨沙は健一がもし起きなかったら、目を開けなかったら、そんなことを健一が目を覚ますまで考えていた。でも、健一が目を覚まして、梨沙が起きた時には、その考えは何処かに消えていた。
健一の何とも言えない顔を見た時に安心した。それで笑いが込み上げてきたのだ。
「全く、梨沙ってば」
そう言って里美も笑い出した。
「俺、そんなに変な顔してたか?」
うんうんと頷く梨沙と里美。
「あ、そうだ」
と数分話したり笑ったりして、梨沙がそう呟き健一に顔を近づける。
「鈴城、どうかしたか?」
「おでこ借りるよ」
「はぁ?借りるって…!?」
健一がなにかを言おうとした時には、健一と梨沙の額が触れ合っていた。
「熱は…高熱って程じゃないけどまだあるね」
「…なぁ鈴城」
「どうしたの健一君?目を瞑ったまま…で…───!?」
やっと気づいたようで、梨沙はすごい速さで健一から離れる。
「まさかとは思うが…無意識にやってたのか?」
「いやいや、高尾。いくら梨沙でもそこまで天然じゃないでしょ」
と笑いながら健一に言う里美。そして梨沙の顔を見た里美が
「…え?まさか、本当に無意識だったの?!」
躊躇いながらも頷く梨沙に、2人とも呆然としていた。
「こ、このくらい無意識で出るものじゃないかな!先生とかでもやってる人いるし!」
「いや、先生がやるのはわかるが"友達"同士で無意識にやるのはどうかと思う」
健一のその一言は梨沙に深いダメージを与えていた。もちろん無意識に。
「そ、そうだよね…"友達"なら普通やらないよね…」
梨沙はそう言いながら脱力し、床にペタンと落ちた。
「梨沙?どうしたの?なんか凄い元気なくなったけど」
「平気、今になって恥ずかしくなっただけだから」
それからしばらくして、放課後。
健一を支えるかのように左には里美、右には梨沙が付いて歩いていた。
「…なぁ、俺の事を支えるつもりなのはいいんだけどよ、すげぇ歩きにくいんだが」
「全く何言ってんのよ高尾は!本当は両手に花で嬉しんでしょ?」
「え!?里美何言ってるの!?里美はともかく私は花なんかじゃないよ!?」
「梨沙こそ何言ってんのさ、梨沙が花じゃないなら花はどこだって言うのさ。ねぇ、高尾」
「俺に降るな。反応に困る」
健一はまさに両手に花ではあったが何か気に食わないようにそう言った。
「というか前川は帰りこっちじゃないだろ」
「ありゃ?バレた?まぁ、いいじゃない、あんたとわたし、家そこまで遠くないし」
「そうなの?」
梨沙は唐突な疑問を投げた。
「あぁ、遠くはないな。せいぜい歩いて5分ってとこか」
「ま、そんなとこかな。梨沙こそ高尾に付き添いで大丈夫なの?家遠かったりしない?」
「大丈夫だよ、わたしもこっちの道だから」
「というか鈴城は俺ん家の目の前だけどな」
「…へ?」
里美は当たり前と言えば当たり前か、驚きすぎて声が声になってなかった。
「言ってなかったか?鈴城家は俺ん家の目の前の家だ。引っ越してきたんだとよ。帰国子女だし引っ越しは当たり前か」
「え?ってことはいつも2人で帰ってるの?」
「いいいいいつもじゃないよ!?たまにだよたまに!」
「…なに焦ってんだ?鈴城」
「なんでもない!あ、わたし急用を思い出したから先に帰るね!また明日!」
そう言って梨沙は野ウサギの如く颯爽と帰って行った。