1章 6話 「ありがとう」に込められた意味
どうもおはこんばんちは!ピチュをです!
前回は暴力シーンが入ったので、苦手な方には飛ばすようにお願いしました。その方のために、ここで簡単なあらすじを書かせていただきますね!
梨沙と彩香は梨沙の家の近くの十字路で別れた。
梨沙が家に着くと、後ろから41プロのプロデューサーと名乗る男『加藤一樹』が声をかけてきた。なんでも、梨沙をアイドルにスカウトしに来たという。話だけでもといわれ、梨沙はその男についていき車に乗った。だが、それはその男にだまされただけだった。
睡眠薬入りの飲み物を飲まされ、眠ってしまった梨沙は町から離れた廃墟に手足を縛られ連れられていた。男の目的はお金と梨沙自身だったらしい。梨沙は「助けて」と大声で叫んだ。誰も来ないと思っていたが、入口から1人、見覚えのある男が来るのが分かった。健一だった。
健一は、梨沙が車に乗せられる時から見ていたらしい。健一は、男にタイマンを申し込んだ。
もちろん男が無策でいるわけもなく武器を持っていた。それを奪うが、武器は一つではなかった。
健一も攻防...いや、防戦一方だった。そんな時、梨沙のそばにその武器が転がってきた。
それをどうにか拾い、手を縛っているロープを切ると、梨沙はその武器で男に立ち向かった。
何とかその場はおさまったが健一はボロボロ、梨沙は放心状態だった。
その後警察が駆けつけ、結果として事故として処理された。だが、ショックからか、その後数日、梨沙は学校を休んだ。
事件から一週間。午後になって梨沙は久しぶりに登校した。梨沙は先生に連れられ、校長室まで足を運んだ。好調との会話は事件のことで、それ以外は特に何も言ってこなかった。
廊下に出ると先生が待っていた。先生と教室に戻っている途中、先生が「あの誘拐犯ね、先生の同級生なの」と言い出した。梨沙を誘拐した犯人はもう...そう思った梨沙は深々と頭を下げた。
だが先生は不謹慎だと言いながらも「ありがとう」確かにそう言った。
疑問に思った梨沙はなぜそんなことを言うのか聞いた。先生は「少し長くなるけど」そ言いながら過去を離すことにした。
以上があらすじです。いかがでしょうか?意味不明な部分もあると思いますが許してください...
そして、今回はその先生の過去話から始まります。
では、どうぞ!
「それはね、私が加藤君と同じクラスの時だった。あの時までは普通な関係だったの。そう、あの日までわ」
時を遡り先生の高校時代
「よぉ!」
「加藤君、おはよう」
「なあ、お前っていつも声小さくねぇか?」
「そうかな?私は普通に声出してるつもりだけど…」
そんなどうでもいいような会話をしていると後ろから加藤君の友達が来て
「よぉ加藤!」
「おぉ!石沢!風邪は大丈夫か?」
「平気平気!ん?加藤、そこの冴えない顔のやつ誰だ?」
「ん?お前こいつ知らなかったっけ?ってか今更だけど確かに冴えないな」
私はそう言われて悲しかった。けど言い返す気もなかったので流して置いた。
すると次の日。
「あ、加藤君おはよう」
「よ!冴え女!」
「さ、冴え女?」
「おう、冴えない女子で冴え女だ」
「やだ、そんな名前!」
「いいじゃねぇか!おーい!みんなー、冴え女が本読んでるぞ!」
そう加藤君が言うと皆は「字が読めるのか!」「すごーい」などとバカにしてきた。
私はただの遊びだろうとその時は思っていた。
ただ、また次の日になると、何故か靴が片方だけなかった。いくら探してもないので先生と探してると
「お前の靴ってこれか?」
と言い、加藤君が靴を渡してくれた。ビショビショに濡れた靴を。
私はその日はスリッパで生活しなきゃならなかったしその事でもクラスでバカにされた。その時にいじめだと気づいた。
他の日にはトイレの上から水が降ってきたり、机に不吉な事が書いてあったり、教科書を貸してと言われ、帰ってきた時にはズタズタになってたりと、どんどん悪化していった。
それでも私は耐えて、学校に行き続けたの。そしたら、ある日の放課後。
「なぁ、お前らさぁ。いい加減バカじゃねぇの」
と加藤君に言った人がいたの。
「あ?なんだよ河岸、喧嘩でも売ってんのか?」
その河岸と呼ばれた人は拳を握りしめながら、
「クラスの1人を集団でいじめるとかバカじゃねぇのかって言ってるんだよ」
と言った。
「それで?俺に冴え女をいじめるなと?」
「まずその呼び名をどうにかしろよ。名前で呼んであげろよ」
「河岸、お前のほうがバカじゃねぇの?この状況下で冴え女に付くとかさ『どうぞいじめて下さい』と言ってるようなもんだろ」
そういって加藤君は笑いながら何処かに行った。
「大丈夫だった?ごめんね、今まで見過ごしてて」
と河岸君に言われ私は
「謝らないで河岸君。いじめられても反応しなかった私が悪いんだから」
咄嗟にそんな言葉が出てしまった。
次の日から、私をいじめる人はほとんどいなくなった。代わりに、河岸君が私にあったいじめよりも陰湿ないじめに合っていた。私は怖くて、それを見ても、見てみぬ振りをしてしまった。今でも後悔しているわ。
河岸君がいじめられて2週間くらい経ったときに、河岸君が学校に来なくなたの。
でも私にいじめが来ることはなかったわ。河岸君がいない中でも河岸君をいじめてたの。机に落書きして、時には花瓶を置いてたわ。そしたら、さらに1週間くらいしてから先生が泣き出しそうな顔をして、
「河岸が…自殺した…」
そう言ったわ。勿論クラスの全員驚いてたわ、一部を除けば。加藤君だけは反応が違ったの。
「は?なに言ってんすか、あいつが自殺なんてするわけ…」
「あまり細かいことは言えないけど、今朝、部屋で倒れていて病院に行ったが、命はなかったと…」
「んなバカな話があるかよ!なあ、みんな?」
クラスがしんとしてるなか、私は加藤君に苛立って、
「先生、河岸君の自殺について、心当たりがあります」
と言った。
私は加藤君のいじめのことから河岸君に守られたこと、河岸君が受けたいじめのこともしっかり話した。
加藤君は停学処分になったわ。私はそれから、友達と言うものがいなくなったわ。
時は戻り
「それが私の『ありがとう』に込められた過去よ」
そう先生は言った
「そんなことがあったんですか。でも、それでも先生の知りあいです。ごめんなさい」
梨沙は深々と頭を下げた。
「でも、梨沙さんが無事で良かったわ。片思い中の高尾君のお陰かしら?」
そう言われて梨沙は驚いた。「なんで先生が⁉」と口から咄嗟に出そうになった。
「なんで知ってるのって顔ね、梨沙さんは反応が分かりやすいのよ。高尾君と話すとき大体声が高くなるもの」
梨沙は恥ずかしいとばかりに、顔を赤くして、手で顔を覆った。
「でも言い触らしたりなんてしないわよ?乙女の恋ですもの、影で見守ってるわ。さ、教室に付いたわよ。今日はもう最後の授業だけど頑張って来なさい」
そういって先生は、梨沙の背中をポンッと軽く叩いて教室に入れた。