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恋の色は濁り色  作者: ピチュを
3章 梨沙の章 / 健一の章
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3章 6話 二人が交わした決意

おはこんばんにちは!ピチュをです!

前回のあとがきでも書いた通り、今回は梨沙の章と健一の章が一緒になっています。ですが、ちゃんと約3700文字になっていますのでご安心を!

それでは混合章をお楽しみください!

梨沙と健一は手を繋ぎ、歩いていた。行き先は健一しか知らない。


「健一君、どこに行くのかくらい教えてほしいな」

「いいからついて来いって。先に教えたら面白くねぇだろ」

「それはそうだけど、知ってた方が楽しさが増すかもしれないよ?」

「それでもだめだな」

「健一君のケチ」


梨沙は頬を膨らませた。健一はそんな梨沙の頬を突っつく。


「リスみてぇな頬だな」

「突っつかないでよー!」

「わりぃわりぃ、面白そうだったからついな」

「もう!」


梨沙は怒って見せるが顔が少し柔らかく、笑っているようにも見えた。健一も普段よりは表情が柔らかく、声のトーンも明るく聞こえた。




梨沙と健一は一緒に歩いていた。向かった先はショッピングモールだった。


「行き先ってここ?」

「まぁ、外れちゃいないが違う」

「それどういうこと?」

「気にすんな。駅に行くぞ」

「駅?うん、わかった」


健一と梨沙は、手を放すことなく歩いていた。ショッピングモールは人がにぎわっていて手を離すとはぐれる可能性があったからだ。そして、その光景を見守る人影があった。




駅に着くと、梨沙を椅子に座らせ、健一は切符を買いに行った。行き先を教えないために一人で買いに行ったのだ。切符売り場は、日曜日ということもあって混んでいた。梨沙は一人、椅子で待っていた。


「やっぱり日曜日は混んでるなー。こんな日に健一君どこに連れていくつもりなんだろう?」


信用していないわけじゃないが不安なものは不安だ。そう考えていると、後ろから目を隠された。


「きゃ!だ、だれ!」

「シー!静かに!高尾にばれちゃう!」

「え?」


聞き覚えのある声だった。だが、目隠しされたままなので確信は持てない。目を隠したまま、その人は梨沙に言い放った。


「あんまり油断してると、食べられちゃうぞ」

「た、食べられるって?」

「それは自分で考えな。じゃあね」


そういうと目隠しを解かれた。梨沙は急いで後ろを振り向くが人が多すぎてだれがそれだったのかわからない。


「あの声って...」

「声がどうしたって?」

「え!?い、いや、なんでもないよ!」

「そうか?切符買ったから行くぞ」

「うん!」


健一は梨沙の手を取り、ホームへと向かった。






「ここだ」

「ここって...」


午前11時。駅で電車に乗り、ついてから少し歩いたところで健一が言った。行きついた先は以前デートした遊園地だった。


「実は今日この遊園地がイベントをやるらしくてな。梨沙と来たかったんだ」

「健一君...!」

「っと。んだよ、そんなにうれしいのか?」


梨沙は健一に抱き着いた。健一はそっと受け止める。少ししたところで梨沙は離れ、健一の手を握った。


「じゃあ健一君!早くいこ!」

「あ、おい!そんな急がんでも逃げねぇぞ」


梨沙はそのまま走り出し、健一を引っ張る形となった。




それから梨沙と健一は様々なアトラクションを楽しんだ。お昼時になり、遊園地のフードコートでご飯を食べることにし、梨沙はカレー、健一はラーメンを注文した。ここの店はあまり品数がなく、そのかわりどの商品も他に劣らないおいしさがあるのだ。注文したメニューが届くまでの間、梨沙と健一は駄弁っていた。


「やっぱりこの遊園地ってアトラクションいっぱいあって楽しいね!」

「あぁ。普段から人が多いのもうなずけるアトラクションの種類だしな」

「次はどこに行こうかなー」

「お化け屋敷なんてどうだ?」

「もう!私が怖いの苦手なのわかってるくせに!」

「わりぃわりぃ、思い出すと面白くてな」

「もう!」


梨沙は頬を膨らました。そのタイミングでカレーとラーメンが同時にテーブルに届いた。それから二人はご飯を食べ、再びアトラクションへと向かう。




「やっぱりきれいだね!」

「そうだな」


午後5時ごろ。梨沙たちは、観覧車に乗っていた。前と同じで綺麗な夕焼け空が広がっていた。梨沙と健一は向かい合って座っている。


「梨沙、今いうことじゃないが、今日は帰りが遅くなるかもしれない。大丈夫か?」

「そうなの?お母さんに電話さえすれば大丈夫だと思うけど」

「ならよかった」


健一はほっとしたように外を見る。


「健一君?」

「...俺さ、引っ越して、向こうの学校でいろいろあったんだ」


健一は語った。


「始めの頃は馴染めるかどうかよりも、梨沙のことが気になっていた。でも、お前の言葉を思い出したんだ」

「私の言葉?」

「ずっと待ってる。そう言ったよな」

「うん。私は健一君が好きなの。きっと健一君はまた戻って来てくれるって思った。だから待ってるって言ったの」

「俺もそうだと思った。その言葉を思い出してから梨沙の心配よりも自分のことを見るようになったんだ。梨沙はいつもとあまり変わらない暮らしになる。でも俺は違う。俺は引っ越して学校も変わって、日常が変わった。だから頑張らなきゃって思ったんだ。でも、学校でいろいろあったんだ」

「いろいろ?」

「あぁ。隣の席の奴。多々見って言うんだけどよ」

「うん」

「俺、あいつにキスされたんだ」

「......え?」


梨沙の顔が一瞬にして悲しみに溢れた。


「言い回しで察してほしいが、俺はあいつを好きじゃない。ましてやキスだって不意打ちだ」

「そ、そうなんだ」

「だからよ...」


健一は梨沙の近くまで寄った。そして、梨沙の顎を指でひっかけ軽く持ち上げ、キスをした。


「ん!?...んぁ」


梨沙は一瞬体を強張らせたが、すぐに体から力を抜いた。しばらくそうしていると、健一から口を離した。


「今更感はあるかもしれない。でも、俺もお前が好きなんだ。あいつには負けない。その強い意志を持つためにも、今日誘ったんだ」

「健一君...私も、健一君が好き。その多々見さんがどんな人か知らないけど、健一君を渡したくない」

「あぁ」


健一はもう一度梨沙の口に口を重ねようとした。その時観覧車のドアが開いた。


「終わりでーす。危険ですので早く降りてください」

「「え、あ、はい!」」


やる気のない従業員にそういわれ観覧車を出る。


「み、見られたかな?」

「大丈夫だ...と思う」

「き、きっと大丈夫だよ!じゃあ他の乗りにいこ!」

「あぁ!」


梨沙は健一の手を取り健一を引くように走った。






午後7時。空は暗くなり、星が輝きだす時間。この遊園地は8時で閉園する。だが健一が言った通り今日はイベントがある。そのイベントが7時から始まるのだ。健一たちはイベントの会場にいた。


「はじまるぜ」

「何がはじまるの?」

「すぐにわかる」


イベント会場というには何もない。あるのは観覧車だけ。人もあまり多くない。ここで行われるもの。それは


『御来園いただき、誠にありがとうございます。ただいまより、開園4周年を記念して、花火大会を行います。参加するお客様は観覧車前までお越しください』

「花火大会?」

「あぁ。ここは毎年開園記念に花火を打つんだ。それも観覧車からみられる。梨沙と見ようと思ってな」

「健一君...!」


梨沙は目じりに涙を浮かべながら健一の胸に飛び込む。それと同時に花火が打ち上げられ、大きな音を立てて咲いた。


「じゃ、乗るぞ」

「うん!」


梨沙の髪をなでながら健一はそういい、梨沙の手を取った。




星が輝く夜空に花火が咲き乱れる。二人はその光景を観覧車の中で見ていた。


「また少し離れることになる。でも、もう大丈夫だ」

「健一君...私も、もう大丈夫。お互い頑張ろ?」

「あぁ」


二人は観覧車でそう約束し、見つめあう。暗い観覧車の中を花火が照らす。その時の二人の表情は、今にも涙が出そうな顔だった。その顔がゆっくり近づいて行った。






花火が終わり、二人は遊園地を出て、電車を使い家に帰る。健一も梨沙の家までついてきた。時間も遅いので一人で返すのは心配だったのだろう。


「送ってくれてありがとう健一君!」

「気にすんな。ただでさえいろいろあったんだ。こんな時間に一人にはさせたくねぇ」

「やっぱり健一君は優しいね」

「んなんじゃねぇよ。じゃあ俺は行くからな」

「まって!」


振り返って駅に向かおうとした健一を、梨沙は呼び止めた。


「今日はありがとう!すごく楽しかったし、会えて嬉しかった!」

「おう」

「だから...負けないでね。私待ってるから!」

「あたりめぇだ。ぜってぇ負けねぇ」

「うん!」

「...じゃあまた今度な」


健一は歩き出す。その背中を梨沙は見届けた。梨沙は家に入り、ご飯を食べ部屋に戻る。明日の準備をしていると携帯が鳴り響いた。見ると里美からの電話だった。


「もしもし里美?どうしたのこんな時間に」

『もしもしー。どうだった?遊園地デートは』

「え!?なんで知って...あ!イベントのこと知ってたんだ!」

『ずっとこの辺りに住んでるからね、知ってて当然!それで?食べられちゃったのかな?』

「食べられるって...あ!あれも里美だったの!?」


駅の椅子に座っているときの囁き。あれはどうやら里美の仕業らしい。


『気づいてるのかと思ったのに。意外と鈍いね』

「もう!からかって!」

『ごめんごめん。それでどうだった?』

「すごくきれいだったし楽しかったけど」

『それは良かった!大丈夫だと思ってたけどね。それが聞けたならいいや。また明日ね!』

「あ、ちょっと里見?!...切れちゃった」


里見は一方的に言いたいことや聞きたいことがあっただけみたいだった。電話の時間もたった数分。明日でもいいような内容だったがすぐに聞きたかったのだろう。梨沙はあまり気にすることなく、明日の準備を済ませ眠りについた。

どうだったでしょうか?

梨沙と健一の決意と絆が伝わったでしょうか?

執筆している最中ですら、お恥ずかしながら少し涙が出そうになりました(笑)

さぁ、次回からは通常通り梨沙の章と健一の章を分けて執筆します。

今後もご愛読お願いします!

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